今年は温暖で雪が積もることもなかった。雨も少なく、風も穏やかな日が続く。
おかげで自宅近くのサクラも、長期間愉しむことができた。
比較的平穏な日々の中、いよいよコロナ禍が猛威を奮いだすことになる。
県内でも初の飲食店クラスターの影響を、店に出入りしていた病院の医師も受けることになる。
結果としては陰性ではあったが、外来診療を2週間休止するという事態になった。
四月は耳鼻科の診察の予定も入っていたが延期となる。病院のHPを確認すると主治医の電話連絡があるとのことなので、待つことになる。
仕事中は留守電にしてあるので、ある日の午前中、メッセージが入っていた。
電話に出て欲しかったのだろう。トーン低めで泣きそうな感じだった。
昼休みが終わって、留守電をオフにして仕事をしながら待つ。
15時頃だったと思う。スマホが鳴る。
出てみると180度反転したかのように、
嬉しそうなトーンの高い声が聴こえてきた。
〜さんの携帯ですか?  
そうですけど。   〜コロナ禍の影響で〜
説明が続く。診察ですけど
     今度、いつにしますか?
この日しかワタシ居ないよ。
それでもいい?  
  周りの他の女子に聞こえるかのような、張りのある大きな声だった。
遠隔で姿は見えないけど、めっちゃ、キラキラしている感じだった。

医師でもあり今どきの女子でもある。

デートの予定立ててるような錯覚に陥った。
こういう感覚ってのは俺的には人生初に
近いもので、季節感も奏して心地の良いものだった。
次の診察は来月になった。内科の診察と同じ日である。
この頃から先生がやたら気になるようになる。
若いし、可愛いところもある。だんだん会うのが楽しみになってくる。