最初から存在しなかったものが
指の隙間からこぼれ落ちる錯覚
液体でも気体でも粉末でもない
なのにその全てに該当する何か
未体験の感覚が何故か懐かしく
何度も繰り返し欲し続けていた
心の痛みさえ快感に思えるほど
他人の傷を笑えてしまえるほど
時間という概念が消えた世界で
ただ指先の神経を研ぎ澄ませた
月蝕の欠けた影に潜む君の笑顔
そんな夢の中で腕を伸ばした僕
僕が欲しかったのは普通の日々
苦痛の日常なんてもういらない
幸せな今日が終わらないように
辛い明日が来ませんようにって
強制的に見せつけられた夢から
逃げたくて地球の自転を止めた
朝は朝で昼は昼で夜は夜として
変化のない世界へと逃げ込んで
それで安心できたふりをしてた
本当は不安しかなかったくせに
もし僕の指先に君が触れたなら
もう一度地球は回り出すのかな
暗闇しかない世界から手探りで
優しい朝の陽射しを心が求めた
僕の夜が朝を迎えられるように
誰かの昼間に夕陽が差すように
僕達がまた巡り合えますように
新しい世界が始まりますように
強制的に見せつけられた夢さえ
生きてく力に昇華できるように
僕は目を開いて歩いた