借りたままの君の推理小説
真ん中辺りのページの角が
少し大きめに折られていた
英語でこれを犬の耳という
僕の声は聴こえているかい
噛みつく隙を伺ってるかい
使った形跡のないしおりが
表紙の次に挟まっていたよ
知らない言語でメッセージ
君は結末まで読みましたか
それとも耳で止めましたか
犯人が誰か気になりますか
その耳に何が聴こえたのか
開いたら教えてくれますか
そんな勇気なんてないけど
受け取ってくれる君もなく
この本はずっと僕の手の中
塞いだまま吠えない犬の耳
もう答えを知ることはない
そんな君へ贈るプレゼント
それがボクだと言ったなら
信じるかい