今日の仕事中に車で走っていると、通りかかったバス停のベンチの前で横たわっている男性を見かけた。
ん?横たわってる?いや、倒れてるんじゃないのか?
そう思った僕は即座に車を路肩に停め、車から飛び降りてその男性のもとに駆け寄った。
大丈夫ですか、と声をかけるとその男性はちゃんと返事をし、体を起こした。
見た目の年齢は60代から70代といったとこだろうか、返事はするもののやや呂律が回っていないようにも思えたので、熱中症かもしれないと思い、その男性の了承を得て救急車を呼んだ。
119番に電話をかけ、状況を説明する。
消防署の職員に現場の住所を尋ねられたが、そんなのは知らない。
それほどその場所に詳しいわけではないので、とりあえず周りを見渡してみた。
すると、倒れていた場所からわずか10メートルほどの所に交番があるではないか。
とりあえずその事を伝え、救急車の手配が完了したところで、助けを求めるために交番に駆け込んだ。
まだ20代と思われる若い警察官がいたので状況を説明したが、そこでその警官から驚きの言葉が発せられた。
『ああ、○○さんね。あの人はよくあそこで倒れてるんですよ、パトカーをタクシー代わりにするためにね』
わが耳を疑うとはこのことか。
結局その警官は交番からほんの少し出てきただけで、慣れた様子でまた中に戻っていった。
今日はかなり暑く、外を歩いていると汗が流れ落ちてくるくらいだった。
今までは嘘をついて倒れたふりをしていたかもしれないが、今回が本当に体調を悪くして倒れていたとしたらどうするんだ!
と思いつつ、嘘をつき続けて信用を失くした人は、こういう扱いをされるんだなと思った。
きっとあの男性の最期は、また同じ場所で倒れ、警官にも『またかよ』と思われて放置され、そして手遅れになって死ぬんだろう。
そして見て見ぬふりをした警官も処分されるんだろう。
そんなニュースを目にする日が来ないことを願う。