僕 私 俺
君 あなた おまえ
みんな名前があるんだよ
数字なんかじゃないんだ

犠牲者と呼ばないでくれ
一括りにはしないでくれ
死んだつもりなんてない
どこに行けばいいんだよ

名前を呼んでおくれよ
生きていた証をくれよ
帰る場所を見つけてよ
誰か早く迎えにきてよ

そんな声が聞こえない
手がかりさえ何もない
伸ばした手に触れてよ
まだ遅くはないからさ

終わったことにするなよ
忘れた頃にまた来るから





ベッドの上でしか愛を語らない
それだけが僕らの暗黙のルール
沈黙が時間と空間を支配しても
そんなもんだよと受け流すだけ

淹れ立てのホットコーヒーから
漂う香りとカップ越しの温もり
僕が今叶えてみたい望みなんて
それ以上でもそれ以下でもない

なのにどうして君は
最後のひと雫までも
全て飲み干すことに
執着するのでしょう

もう何も出ないよ





全体像すら把握できない
巨大で堅固な岩石でさえ
何千年も何万年もかけて
小さな砂粒に変わってく

誰もその存在に気付かず
ただ無造作に踏まれてく
ひとつひとつに刻まれた
歴史を語る機会もなしに

いつからここにいるんだ
どの道を旅してきたんだ
誰の勇姿を見てきたんだ
これからどこへ行くんだ

今の時代を生きる僕らが
生まれる前も死んだ後も
この世界に存在し続ける
微粒子へ敬礼を捧げよう

なんて言うと思ったのか
靴の中への無礼な侵入者
世間を賑わす異人の如く
我が領域から排除されよ

と 靴を脱ぎ
天地を返して砂を出す
異物のなくなった世界は

快適だよ
あなたもそう思うだろ?