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ユウタの小説ブログ

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自分が先導して下に降りた。このまま邪魔になる状態で自転車を停めていれば、犯人を逆上させてしまう気がしたからだ。これでも駄目か、なら次はこうだという発想が生まれる可能性もある。
エレベーターで降っている最中、大助が例の文字を真剣に見つめていた。こいつなりの正義感なのかもしれないが、巻き込まれるのはごめんだ。頼むから何も起こらないでくれよ。
一階に着き、駐輪場に向かう。後ろから大助が付いてくる。駐輪場に付くと人目であれが大助の自転車だとわかった。
「やりすぎだ。」
邪魔というか、通り道をほとんど塞いでしまっている。
「アピールは大きくないと。」
いつもの調子で大助が言う。無視して自転車を正しい位置に停める。
「大和ちゃん何やってんだよー。」
「直してんだよ。見てわかれ。」
流石に今日は苛ついてしまう。いつにも増して悪ふざけが過ぎている。
「待った待った。このまま少し様子みよーぜ。」
大助が自転車のサドルを掴んで制す。負けじとサドルを握りしめる。
「いい加減にしろよ。」
真剣な顔で大助に警告する。流石に大助も悪いと感じたのか顔が少しひきつった。
「気になるだろー。30分だけ様子みよーぜ。」
本当に子供だ。自分の興味のみで動いている。流石に付き合いきれないな。
「なら一人でやれよ。」
本当は止めてほしいが、こいつを止めるのは骨が折れそうだ。それに大助はここに住んでいる訳ではないから、目をつけられても大丈夫だろう。もちろん俺が巻き込まれる可能性はあるが、昨日の今日で再犯するとも思えないし、俺自身は部屋にいれば大丈夫だろう。
「いやいや。大助がいないと意味ないじゃん。犯人来てもここの住人かすらわかんねぇんだから。」
「確かにそうだが、頭のおかしい奴に付け狙われたくないんだよ。大体どこで見張っとくつもりなんだお前は?」
「お任せあれ。すでに下見しております隊長。」
ふざけた口調で、駐輪場の隅にある物置を指差す。
恐らく、大家が使用している物置だろう。二人くらいなら入れるだろうが、鍵が閉まってるに決まっている。
「あの中に入るつもりか?」
「違う違う。とりあえず行って見よーぜ。そしたらわかるから。」
大助が物置目指して悠然と歩き始める。溜め息を漏らしながらあとに続く。こいつには押し売りだとかそういう類いの商売の才能があるに違いない。
「ほら。どう?このベストプレイス。」
物置の前まで来た大助が、物置と塀の隙間を指して言う。
「小学生のかくれんぼでも使わないな。」
大人1人が入れるような隙間だ。縦に並べば何とか二人入れなくもないが、後ろになれば仮に犯人が来たとしても何も見えないだろう。
「侮るなかれ。この隙間には驚きのシステムがあるのだ。」
下らないことを言う大助を見ながら、そうですか。頼むから早く帰りましょうよ大助さんと思う。
「大和の顔が割れないように、俺が前になって、監視する。怪しい奴が来たら、大和が顔を確認するという二段構えなのだ。」
「絶対に後付けだ。」
こいつはただ隙間に挟まりたいのだ。
その時、駐輪場の方から足音が聞こえた。
「もしかして?」
大助が駐輪場の方を見ながらにやける。ただ出かけるだけのここの住人に決まっていると思うが、やはり少し気になってしまう。心臓が高鳴っているのを感じる。
駐輪場の方を見てると、前から強い衝撃を受けた。二発、三発と大助が俺の胸を両手で強く押しているのだ。抵抗虚しく、例の隙間に押し込められてしまった。続けて大助が隙間に入り込んでくる。
人差し指を口元に当てて、静かにというジェスチャーをする。これでこいつの思い通りになってしまった。
駐輪場に誰かが現れたという緊張よりも隙間に押し込められた憤りが上回ってしまった。

自転車の鍵を開けるような音が聞こえてくる。
大助が顔を出して様子を見てる。次の瞬間、大助が隙間から飛び出した。何かが起こったのか全くわからなかったが、飛び出すだけの理由があったのだろうか。
勇気を出して顔を出して確認する。
誰かが駐輪場にいるのはわかるが、顔は暗くてわからない。それで大助は移動したのか。大助は駐輪場の柱の裏側にいる。距離は近づけるがこっちに来られれば、たちまち見付けられてしまうだろう。
ただ、自転車の鍵がなかなか開かないだとか、誰かを待っているだけの人物だろう。だから、大助が見付かっても特に危険は無いはずだ。
大助の方を見ると、こっちに来いというジェスチャーをしている。駐輪場の人物に特に動きは無い。ただ、普通に自分の自転車を取りに来たわけではなさそうだ。
辺りが暗くてこっちを向いてるのかもわからない。一か八かで、大助の後ろまで小走りで向かった。
ここまで来ても顔は良く見えなかった。体格からして男性であることしかわからない。
「何してんだろな?」
大助が小声で話す。
「誰か待ってるだけじゃないか?」
相変わらず動きは無く、ただ立っている。その姿が少し不気味だった。
それから10分ほどそのままだったが、様子を伺っていた大助が俺の体を叩く。
「動いた。」
大助が柱から飛び出し、音を立てないように駐輪場へ進む。
後を着けるつもりだろう。結局待ち人がいるわけではなかったのか。
いじっていた携帯電話をポケットに仕舞い、大助に続いて音を立てないように歩く。しかし、あの人物の行動には疑問が残る。何のためにここにいたのだろうか。
大助に続いて歩く。音をたてない様に歩く大助が可笑しかった。

次の瞬間、頭に激痛が走った。
誰かに殴られた。視界が黒くなる。何も見えない。薄れゆく意識の中で、大助に逃げろと伝えようとしたが、間もなく意識は消えた。





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