春のごちそう
晴れて家の中にいるとあったかいから
つい薄着で買い物に出たら、風が冷たい。
それでも野菜売り場を覗いたら、春キャベツに 新玉 新じゃが
それに、あさりのいいのが出ている。
春やら新やらの冠をかぶった野菜を見ると
気持ちが弾んで、
いろいろな春の献立が浮かんでくる。
海水と同じ濃さの塩水にあさりを入れて砂出しをする。
しばらくしてそおっと覗いてみたら
殻から顔を出してみんなのびのびリラックスしている。
ぴゅっとひと吹きして殻の中にもぐるのもいるし、
そのままのんびりしているのもいて
食べてしまうのがちょっとかわいそうになったりする。
新玉の薄い皮をそぉっとはぐと
真っ白つやつや、
スナップエンドウも買った。
新玉にえびにスナップエンドウ、
これは炒めてもサラダでもおいしい組み合わせ。
ちょっとお高いでこぽんも たまにはとふんぱつした。
あれこれ買ったから、
おやつにプリンを買おうと思ってたけど 今日はやめとこう。
そうしたら 帰り道 ご近所の小西さんの家の前で奥さんに呼び止められた。
「これ、おすそ分け 丁度いま届いたとこ」
わあ・・プリンにタルト、ひゃぁうれしい。
ありがとう ありがとう と お礼を言って帰りかけると
「あっ、ちょっと待って 忘れるとこだった」と
パックの中に10個並んだ生みたて卵を
「半分こしよね」と五個持たせてくれた。
うれしいなぁ と だいじにそおっと持って帰った。
明日の昼ご飯のメインは たまごかけごはん。
新玉と新じゃがのお味噌汁に
春キャベツのコールスローもたっぷり作ろう。
新ワカメが待ち遠しい。
これをごま油とニンニクで炒めてお醤油をざっとまわしかけたの、大好き。
春はいいなぁ
もう怖いものなどないと思ってたけど
子どもの頃 怖いものがたくさんあった。
たくさんの怖いものの中で一番怖かったのはお母ちゃんだったけど
それよりも、そんだけ怖いはずのお母ちゃんが死ぬのを想像するだけで怯えた。
そしてお母ちゃんがずいぶん年をとって、
毎日のように電話がかかってくるようになった。
地獄の底からの救いを求めるような声を聞くたび
早くお母ちゃんを救いに行かなきゃと焦る。
だから電話が鳴るたびにドキドキした。
いや、鳴ってなくても、いつ鳴るかと思うだけでハラハラしてた。
出かけてもスマホにばかり気持ちがいった。
それが延々と何年も続くと
いったい この状況はいつまで続くんだろうか・・
もういいよ お互いにラクになりたいよな とか思うのである。
そうすると、
お母ちゃんが死ぬことを怖いとは思わなくなった。
むしろ死なないでこのままが続くことの方を娘は恐れるのである。
いつまで続くかと思っていたことにも ちゃんと終わりがあった。
これでおしまいとなった日も それからも ぜんぜん泣かなかった。
悲しいとか寂しいとか後悔とか、そんなのぜんぜんなかった。
でもなんとなく心に虫食いほどの穴は開いた。
親がいなくなることが怖くなくなるために必要だったんだと思う。
あの電話も 呼び出しも 無理難題の数々も。
はらはらもドキドキも ぜんぶ。
そうして すっかり私も年とった。
もう怖いものなどなんにもなくなったと思ってたけど、
びっくりした。かなりの衝撃にうろたえた。
老眼鏡で見る自分の顔、
すごいんだねぇ こんななんだわたし。
楽しいのかしらん
テレビの番組で、豪邸訪問とかいうのを見る。
広々とした玄関ホール
大きな花瓶にたっぷりの色とりどりの花
ウォークインクローゼットにはぎっしりと吊るされた洋服
そしてブランドバッグに宝石
来客用の浴室や寝室もあって
ふかふかのベッドに長い毛の猫が寝てた。
奥さまは歩くたびに長く伸ばした髪がくるんくるんと揺れて
長く伸ばした爪も綺麗な色にぬられてて
どこかにお出かけかと思うような普段着で静かにほほ笑んでいる。
こんなでかい家、誰が掃除するんだろうか
お手伝いさんは何人いるんだろうか
そのお手伝いさんたちの給料はいかほどだろうか
口あけてそれを眺めつつ
楽しいのかなぁ と 思う。
お手伝いさんが掃除もしてくれて ごはんも作ってくれて
奥さま一日中なにしてんだろうかと思う。
あ、自分の会社持ってんだって。
仕事して金かせいで豪邸に住んで
豪邸に住んではいるけど豪邸の中で家事はしないのね。
楽しいのかしらん
かと 思えば・・
電気も水道も通ってない山ン中で 夫婦で自給自足の生活してるというのも見た。
とても家とは呼べそうもない狭い掘っ立て小屋で
必要最低限のもので暮らしている。
風呂もないけど気にしてない。
口あけてそれを眺めつつ
楽しいのかしらん と 思う。
豪邸の奥様も 風呂なしの夫婦も
どんな子どもだったんだろうか
どんなことがあって、今の暮らしに落ち着いたんだろうか
そこが知りたいわ。
まぁどっちにしても
あたしのような者には到底できぬ暮らしだな。
レシート1枚から
スーパーで自動精算したら、
前に並んでいたおばあさんがレシートを取らなかったようで
私のと一緒に2枚くっついて出てきた。
そのまま2枚財布にしまって持って帰った。
帰ってから おもむろに私のじゃない方のレシートを眺める。
・ 外レジ袋 5円
・ ふんわりワッフル 218円
・ 交雑牛 焼肉用 1399円
・ 京風割烹白だし 228円
・ いちごパック 498円
・ 青ネギ 128円 割引20%26円
合計 2821円
今夜は焼肉なんだ
ワッフルは おやつだろうか それとも明日の朝ごはんにするのかな
いちご、ああ 私も買おうか迷ってりんごにしたのよ
おじいさんがいちごを好きなんだろうか
それとも一人暮らしの家に孫が来るから焼肉にして
いちごも買ってやったのかしらん。
そうやって 見ず知らずの誰かの買ったものを見ながら
あれこれ思うのは楽しい。
背中の丸くなった後ろ姿しか覚えてないけど、
誰かと一緒に食べる楽しい晩ごはんだといいな。
ひな祭りの3日の日はちらし寿司を作ろうと思っていた。
総菜コーナーには綺麗に盛り付けたちらし寿司が並んでいたから、
ふたり分なら作るより買ったほうが安いかなぁと思いつつ、
刺身やエビを買って、海鮮ちらしを作った。
次は具のたっぷり入った菜の花ちらしを作ろうか・・
ちらし寿司、父が好きだったなぁ
結婚してから一度だけ父に私の作ったちらし寿司を食べてもらったことがある。
美味しいと食べてくれた気がするけど、どうもぼんやりとしか思い出せない。
今なら もっと上手なちらしを作れるのになぁと
少し寂しく少しザンネンに思った。
自分の手で片をつけながら
しとしと雨の降る。
うすぼんやりした朝、雨の日のなんとも静かな。
こういう日は動きがゆっくりとなって、
それはそれで落ち着く。
昨日は吊るし雛を飾った。
そこだけ ぱっと明るくなって、一気に春めいて気分が上がる。
娘や息子の生まれたときに
両親がりっぱな節句飾りを買ってくれた。
飾るのも仕舞うのも半日がかりで、
だんだんそれがしんどくなって、思い切って処分した。
人形を処分するのはかなり心が痛いものだ。
それでもそうするなら、痛みも引き受けるしかない。
毎年三月や五月になると、
処分したことを申し訳なく思う一方
それをいつかの誰かに背負わせなくて済んだことに
まぁ これでよかったとも思う。
自分の手で いろんなものに片をつけながら
一年一年が過ぎていく。
たくさんの喜びや幸せを、その時々で味わわせてもらった。
お雛様も五月人形も、
それを飾って一番嬉しそうだったのは、両親だった。
自分たちの子ども時代は、戦争のさなか。
お雛様でも人形どころでもなかっただろうから・・
世の中がどんどんあらぬ方向に進んでいる気がする。
戦争も よそごとではない気がする。
ある日とつぜん、
ぐるりと世の中がひっくり返りそうな。
それどころじゃない時代かやってきそうな。
つくしみつけた
いつもの散歩の途中に広い野っ原があって、
その野っ原の端っこで畑をしていたおじいさんがいてね、
それがある日を境に畑がおしまいになって
おじいさんを見かけることもなくなった。
草ぼうぼうになっていたけど
市の土地になったのか、草刈りされて柵もされて
畑があったことも
おじいさんのことも 最初からなんにもなかったかのようになった。
でも、おじいさんが植えてた水仙の花が
行儀よく列を作って次々と咲いてる。
誰のものでもないのだね 土があれば植物は自由だ。
柵をくぐって歩いてみたら
そこかしこに つくしが出てた。
嬉しくなったけど、摘まずにじっと見るだけにした。
母がいたころ、ここでつくしを摘んだ。
指先を黒くして袴をとって佃煮にした。
ほんのちょっぴりの佃煮を いっしょに食べた。
平和な母との時間もあったんだ。
そうじゃないことの方ばっかり思い出すけど。
三月が始まったね。
いよいよ の 三月だ。
いよいよ!
いよいよと言えば確定申告、また出費か・・
税金払いが次々と列をなしてやってくる、ああ こわいこわい。
なめこにハマる
最近になって初めて食べた「なめこ」
初めて?でもないか。
外では食べたことあったけど
自分で買って食べたことはなかった。
実家でもなめこが食卓に登場したことはなかったと思う。
このあいだ佐藤さんに
「なめこって子どもの頃食べた?」と聞いたら
「ああ、たまに食べた」と言う。
「なめこのお味噌汁飲んだことある?」
「味噌汁?いや、だってあれは硬いしなぁ」
「硬い?」
「こりこりしてる」
「ぬるぬるではなく こりこり?」
「そう、こりこり」
どうも なめこを なまこと勘違いしていたらしい。
スーパーで真空パックに入ったなめこを買った。
パッケージに「さっと洗ってから煮てください」
さっと洗って味噌汁にしたら、これが つるりとのどごし良くてハマった。
なぁんだ もっと早く買ってみたらよかった。
ちくわぶ、これも ずっと大人になってから初めて食べた。
もっちりしていて大好きになった。
子どもの頃は見かけなかったけど、
最近はふつうに売ってるから おでんには必ず入れる。
昨日 重機で空き家をぶっ壊しているのをみかけた。
ぶっ壊すというのがぴったりなくらい、堂々と迷いなくがんがんやってた。
一日で、なにごともなかったように
きれいさっぱりとした空き地になっていた。
いつも通って見慣れているはずの風景なのに
ある日気づくと、一か所ぽっかりと更地になっていたりする。
歩きながら このあいだまでそこに何が建っていのたか
いくら考えても、思い出せない不思議。
自分の家でもないのに 空き家を見かけたり
家が壊されるというのは なんだか寂しいものがある。
そこに家族の暮らしがあったのになぁと思う。
結婚してよかったか
当たり前のように日々は過ぎていく。
今日は佐藤さんと結婚した日。
数えてみたら42年も一緒に暮らしている。
「42年お世話になりありがとうございます、43年めもよろしくお願いします」
などと言ってみる。
佐藤さんは
「はいはい、よろしく」
考えてみれば
結婚してから ようやく 自由になった気がする。
もう結婚しろと言われなくてすむ。
親と暮らすよりよっぽどらく。
血は水より濃い。
そうだと思う。濃すぎてめまいがしてたわ。
そこいくと 夫婦は もと他人。
ゼロから始められる。
どんなふうに暮らしたいか、自分たちで少しずつ組み上げていく。
喧嘩したり 諦めたり 力合わせたりして
よそとは違う、自分たちにとっての当たり前の暮らしが出来上がっていく。
このあいだ 息子たちと ごはん食べに行ったとき
なにげなくケイちゃんに
結婚してよかったか?と聞いたら 「はい よかったです!」
結婚して まだ二年たってないもんね(笑)
でも 今 そう思えるなら それがなにより。
結婚してよかったか? 自分に問うてみる。
よかったような気がする。
でも結婚せず ひとりでいたとしても、
たぶんこたえは同じ、「これでよかった」と思う気がする。
closeしようよ
天気予報どうり朝から雨の降る。
窓から見えるものがみんな静かにじっと濡れるにまかせている。
こういう日もよい。
みんな揃ってcloseしようよ。
とくになにかをするでもなく、一日過ごす。
午後三時をまわって雨、降りやむ。
外に出てみる。
すうっとする。
歩いて買い物に行く。
毎日行く。
ほんの少し買って、ぶらぶら帰る。
高いところから小枝がおちてくる。
カラスの落とし物。
小枝の先に梅の小さなつぼみ。
今夜はカレーライス。
「冬の運動会」 懐かしいドラマの再放送に歓喜する。
久しぶりの雨。
冬がゆっくりとけていくような。
買い物
明日は雨らしい。
明日雨なら今日のうちにと
溜まってもないけど、洗濯した。
昨日の午後、あーヒマだーどっか連れてけー と騒いでいたら
佐藤さんが じゃぁイオンでもいくか と言った。
いつも行く近くのイオンじゃなくて
車でちょっと遠いとこのイオンに行った。
イオンに着いたら私を降ろして、佐藤さんはさっさとゴルフショップに行った。
ひとりで うろうろ あちこち店内をまわって
あれやら これやら手に取って戻す。買わないけど楽しい。
それにしても なんでも高いわ。
カルディでサービスの無料コーヒーをもらって飲んで
本屋に行って立ち読みして
無印で1枚590円のパンツを(下着です)2枚買った。
佐藤さんからライン入る。
「カルディの前で待ってる」
はいはい と カルディまで戻ると
「ちょっと来て」と佐藤さんが紳士ものの洋服の店に私を誘導する。
「どう これ!買おうかな」
私は 1枚590円のパンツを買うのにかなり迷った。
2980円の春物のカーディガンも
かわいいなぁと手に取った1050円のカップも
やめとこうと戻した。
佐藤さんは にこにこして
さっさと 何万円もする洋服を買った。
それでいいと思う。
欲しいなら買えばいいし、やめとこうと思うならやめときゃいい。
背中を押しもしないし、
引き止めもせず。
佐藤さんがなにを買おうが知らんがな。
あたしは、あたし。
590円で迷うのがたのしいのよ~
で、またカルディーに寄って 無料のコーヒーもらって飲んだ。
ああ タダって おいしい(笑)