キーワードから読む 「明日の売れ筋!」 現代マーケット攻略法!
牛窪 恵 氏 (マケティングライター) 、楽天新春カンファレンス講演から
★ 時代の「数字」を読む
私が『男が知らない「おひとりさま」マーケットという本を書いたのは2004年ことです。
1900年代以降、30代のシングル女性は急増し
2000年の時点で5人に1人(2005年には4人に1人)が未婚でした。
彼女たちの特徴は、既婚女性に比べて「可処分所得」が多いこと。
この2つの数字から、「おひとりさまマーケット」が予測できたわけです。
このように、数字を読むことで、隠れたニーズを発掘することができます。
今年は5年ぶりの国税調査が発表される年。
ぜひ注目してください。
★ 売れているモノ・コトを眺める
私たちマーケットライターは、日々街に出て「なにが売れているか?
なにが注目されているか?」を調査します。
なぜなら、トレンドのきざしは、いつも「街」にあるからです。
宿泊施設の皆さまが手軽にトレンドのきざしを知る方法は「街」以外にもあります。
それは電車の車内吊りで週刊誌の見出しや広告を見たり、テレビのCMに注目すること。
たとえば、最近のCMは「子育てパパと子ども」「父と大人になった娘」という組み合わせが増えています。見方を変えるだけで
マーケティングが可能になるのです。
★ 「旬のキーワード」からイメージする
おひとりさまのニーズが高まる中
トレンドを決定づけたのは2003年に発売された『負け犬の遠吠え』でした。
「30代以上・未婚・子どもがいない」、女性の生き方を表したこの本
、翌年からのおひとりさまブームの下地になりました。
実は、その年のトレンドは、前年、前々の流行が影響することが多いのです。
たとえば、2009年の流行語は「イエナカ」「巣ごもり」。
旅先でもまったりお部屋で過ごしたい層が見えてきますね。
★ 「世代」のベーシックな特徴を知る
世代の特徴、特に青春時代を知ることも、マーケティングには重要です。
たとえば、アラフォーの青春はバブル最盛期。
「ワンレンボディコン、渋カジ、ねるとん」が流行り、男性は女性をエスコートするものでした。
バブル崩壊後、青春時代の団塊ジュニアには「イタメシエコロジー」などが流行。
就職時から男女平等が当たり前です。
草食世代は不況の時代が青春。
「ユニクロ、コギャル、プリクラ」等女性が消費をリードしています。
世代ごとのキーワードを書き出して傾向を読んでみましょう。
★ 「世代」の消費傾向を知る
世代の特徴をつかんだら消費傾向も見てみましょう。
バブル世代のアラフォーの世代はI ラブ自分で自分への投資が大好き。
“輝く”という言葉がキーワードです。
受験など、常に競争にさらされた団塊ジュニアは、お金よりも情報を重視。
Gショックなどの限定モノに惹かれます。
景気低迷期に青春時代を送った草食系は、身近なところに安定を求めます。
地元志向、家族好きも多いですね。
ちなみに
旅行の場合は、各世代の親が財布を握るケースが多いのでこちらも分析を。
★ ターゲットの「生の声」をつかむ
ターゲット層の生の声を聞くことも大切です。
私が続けているグループインタビューでは、現在子育てをしている40代女性は
「子どもの手が離れるのが楽しみ」と口を揃えて言います。
子育てが終わったら自分のために時間とお金を使おうと虎視眈々とねらっているのです。
この傾向を受けてか、ファッション業界でも“40代女子”の雑誌やブランドが続々と出てきています。
このように生の声を聞くことで
データや報道だけでは見えない需要が見えてくるのです。
★ ターゲットの「ココロ」を読む
集めたデータや世代傾向から、ターゲットの心も読んでみましょう。
昨年、なぜ女子会ブームが起きたのか?
それは「婚活」に疲れた
女子が、「同性の方が楽しい」と思ったからです。
20代、30代の未婚は恋人がいない、というデータがありますが
「カップル」需要は見込めなくても「友達」「父娘」「母娘」需要があります。
マーケティングはブームやデータを捉えることも大切ですが
一歩踏み込んで、理由や裏側を考えることでさらに効果が生まれます。
ターゲットの心を読むことを心がけてください。
本日は以上です。