
結論から書きます。
結果的に素晴らしい基礎に仕上がっていました。
ただし、その過程が私の望まない方法であり、今でも残念に感じています。
それは、アンカーボルトが事前に結束されていなかったからです。
現在、基礎の型枠が外れるところまで来ています。
前回も書きましたが、私はMBC開発の基礎工事を見るのは今回が初めてでした。
MBC開発にはMBCハウスの木造事業だけでなく、MBCビルドというマンション・ビル等を手掛ける部署もあります。
紫原に建つ3階建て(3世代住宅)の邸宅もMBCビルドの手がけたものの一つです。完成後、部屋の中から屋上まで見せていただいた事があります。
鹿児島にはRC(鉄筋コンクリート)造りといえば、ベロコンハウスや小永吉建設などがありますが、小永吉建設のラーメン工法(通常は壁式)やベロコンハウスの壁式工法を見てきましたが、それぞれを比較した時にMBCビルドが圧倒的に良いという印象でした。
つまり、MBCハウスは木造事業とはいえ、他のメーカーよりもRC施工には慣れており、安心・確実だろうと思っておりました。
私自身、その”思い込み”からMBCハウスの基礎に関しての事前のチェックが甘くなったと反省しております。
私がMBC開発にお願いした基礎(長期優良住宅仕様)の要望は3つありました。
1.基礎天端が水平であること(誤差±3mm以内を目指す)
2.アンカーボルトを事前に結束すること
3.雨の時は打設(コンクリートを流しこむこと)しない
1.基礎天端が水平であること
要望した理由は、以前MBCハウス設計責任者さんと気密の件で話をした際に、星ケ峯みなみ台モデルハウスでの気密測定の際、「床下からの気密漏れがわずかにあった」とのことでした。
そのため、私の家では基礎断熱部分の断熱材を気密強化目的でアクアフォームに変更してあります。(通常、基礎断熱ではA種 押出法ポリスチレンフォーム保温板)
さらに、基礎天端の不陸をなくすこと(水平にすること)も、気密パッキンを使用するとはいえ、気密性の確保と維持において重要なポイントとなります。 MBC開発の使用する基礎気密パッキンの素材はEPDM(スポンジ状)で圧縮率が高く、チューブ状のものと比べ、より基礎天端レベルが必要となります。(精度が求められるが換気システム澄家ecoとの相性は抜群)
2.アンカーボルトを事前に結束
アンカーボルトの設置の方法には主に2種類あります。
一つは、事前に配筋と結束する方法。
一つは、田植え式。
事前に結束する方法は、コンクリートを流しこむ前にあらかじめ図面通りの場所に垂直に設置・固定しておく方法です。
事前に確認ができるため間違いがありません。決して特殊な作業ではなく、大手ハウスメーカーでは標準的に採用されている方法です。
それに対し、田植え式とはコンクリートを打設(流し込み)しながらアンカーボルトを稲を植えるような感じで、その場で差し込んでいく方法です。
コンクリートの流しこみは時間との勝負なので(25℃以上の外気温で90分以内)
慣れていない作業者が、ゆっくり差し込んでいく暇はありません。
基礎が完成してしまうと田植え行為を行ったかどうかがわからなくなりますので、注意が必要です。
そもそも、アンカーボルトの役割とは、
台風や地震により建物には水平力(横からの力)がかかります。
その横からの力に耐えるように耐力壁や金物を使って強固にしていきます。
私の家も耐震等級3です。
ただし、壁や金物で強固にすればするほど土台に引っ張る力が発生します。
アンカーボルトは土台と基礎が抜けて倒壊しないようにする大切な役割があります。
田植え方式の場合、作業効率は上がりますが、図面通り(構造計算通り)にできないというリスクも高まります。せっかくのN値計算も意味がなくなります。
限られた時間の中、目測での施工となるので傾いてしまったり、生コンに差し込む際に空気が入り、コンクリートの割れが発生するだけでなく年数経過で爆裂するリスクが上がります。
アンカーボルトは設置した方が良い場所、または設置すると逆に構造上極端に弱くなってしまう場所(継ぎ目の部分など)も存在します。
それらは、現場を見ただけでは分かりません。図面で確認しながらの作業になります。
このアンカーボルトは瑕疵担保責任の対象となり、施工者の責任が法的に義務化されている部分です。
3.雨の時は打設しない
夏時期で雨も多かったことから、念のため要望として伝えてありました。
前回も書きましたが、
MBCハウスは、基礎工事で委託しているのは現在信頼のおける1社だけとの契約です。
今回は、お願いしていたやり方ではない方法での施工でありました。
確かに今回の基礎屋さんは作業が丁寧で、最後の仕上げまできっちり仕事がなされていました。技術もあり、誤差も±3mm以内に収まっていました。 MBC開発の標準仕様のアンカーボルトは他社が使用しているM12ではなく、高性能なフリークランクアンカーボルトを使用していました。それだけに、お願いしていた結束方式でなく、田植え方式だったことが残念です。
MBCハウスは、現在パッシブデザイン第一人者(野池氏)が推薦する建設会社となっています。
パッシブデザインの大きなメリットの1つに、基礎部分のコンクリートスラブを蓄熱体として利用することがあります。
そうであれば、基礎部分は他社の床断熱工法以上に、基礎断熱工法の施工精度を高めなければなりません。
コンピューターで算出した通りの基礎を恒常的に造るためには職人の経験、技術に左右されることがあってはなりません。今回、私は職人さんの技術が良かったために助けられましたが、次にMBC開発で契約される方が同じような精度でいくかは、わかりません。ですから、MBC開発だけに限らず建設会社と契約される方、もしくは打ち合わせ中の方は旧来の田植え方式か、結束方式かは、確認すべきだと思います。

マイホーム(計画中) ブログランキングへ