また一つ日本サッカー史に残る名言が生まれたと思いました。
アンドレア・イニエスタ選手が、神戸への入団会見で語った内容について隔日刊「エル・ゴラッソ」紙が、そう見出しをつけたのです。

イニエスタ選手が、日本でプレーする道を選んでくれて、日本人は何と幸運なのでしょう。私は、1990年代半ばのスーパーな選手・監督たちの来日当時と同じ、久びさに誇らしい気持ちになりました。

あの頃、名古屋の監督に就任したベンゲル監督も、ジュビロ磐田に入団したドゥンガ選手も、しきりに日本文化に対する称賛と敬意を口にしていました。

5/25・26日号の「エル・ゴラッソ」紙に、イニエスタ選手の会見概要が載っています。さらにスカパーが「神戸入団会見」を放送してくれました。それによると、イニエスタ選手はまず「今日私にとって特別な日です」と切り出しました。

そして「神戸が示してくれたプロジェクトに感謝しています」と続け「何より、私自身、日本という国がとても好きですし、家族ととも一日も早く日本に溶け込み、楽しみ、日本という国の文化を堪能したいと思っています」と話しました。

記者からの「数ある選択肢の中から日本を、そして神戸を選んだ理由を教えてください」との質問に対しては「多くのオファーをもらいましたが、神戸が示してくれたプロジェクトに一番、共感、共鳴したということ、そして自分という選手、人としてのあり方を神戸が評価してくれたことが決め手です。」と語り、

同じ記者が、追いかけるように「日本の文化って、具体的にどんなところに関心がありますか?」と愚問を投げかけたのに対し「それは全体的なものです。人であったり国民性であったり・・・。これから出会うさまざまな文化から学びたいと思っています」と返しました。

「エル・ゴラッソ」紙は「皆さんと同じような、国民の一員になりたい。家族も同じです。文化の一つになりたいと思っています」と書いていました。実際はそこまでは言っていないのですが、そういう気持で日本でのプレーを選択したと伝えたかったのでしょう。

前回の書き込みで私は「チーム作りの明確なコンセプトがあって、その具体化のために一人ひとりピースを埋めていく作業の一環だとわかれば、ワクワク感は神戸というチームに対して出てくるのですが。」と書きました。

会見の冒頭、三木谷社長が、まるで「まぁ、よく聞いてヨ」と言わんばかりに、そのことに触れました。

少し長くなりますが、彼の発言をご紹介します。
「イニエスタ選手を獲得したのは、単に1プレーヤーとしての役割だけを期待してのことではありません。
・神戸のユース世代の育成に、バルサ・カンテラしかもラ・マシア(選手寮)出身のDNAを注入して欲しいということ。
・イニエスタ選手というアイコンによってJリーグが世界中から注目され、他の優秀な選手たちがJリーグを目指すという効果を発揮して欲しいということ。
・神戸が、ここから本気でアジアNO.1チームを目指していきたい、そういう新・神戸のキーマンになって欲しいということ。
・イニエスタ選手がSNSでは世界で7400万人ものフォロワーを持つ大変な発信力を持った人であり、その効果によって、神戸というチームもJリーグも、そして日本全体としても注目されるよう、さまざまな仕掛けをしていきたいということ。
・「スポーツには人々を元気にして力を与えることができる効果がある」という信念のもと、楽天という会社が、これまでバルセロナ、楽天イーグルス、ヴィッセル神戸を応援しているが、イニエスタ選手の加入が、必ずや日本の社会や人々をエンパワーする(注・力になって新たな活力を引き出してくれる)と信じて交渉してきたので、今日という日を迎えられて本当に感動している。」

このように説明されては、もう前回書き込んだような「楽天・三木谷社長の個人的な買い物?」とは言えなくなってしまいます。

とはいえ、別なため息も出ます。夢を実現するにも、やはり「お金持ち」でなくてはできないことだなぁ、ということです。

3年契約で、1年の推定年俸が32.5億円、日本の、Jリーグの水準からすれば途方もない数字ですが、神戸は、それ以上の数字を提示しているであろう中国のチームやUAEのチームとのコンペティションを制したことになるわけです。

三木谷社長は、まさにケタ違いのレベルで勝負しているわけですが、その結果として「お金じゃないよ、心だよ」を地で行く契約に漕ぎ着けたことになります。「プレゼン力」が「資金力」を上回ったということになのでしょうか。

イニエスタ選手が神戸のプロジェクトに共感、共鳴してくれたことで、表面的な数字だけでは見劣りする獲得合戦を制することができたというわけです。

幸運なことです。何といっても、イニエスタ選手が、これほど「日本びいき」の選手だったとは・・・。ドゥンガ選手の時もそうでしたが、その選手が、それほどまでに日本文化というものに強く関心を持ってくれているなんて、わかりませんものね。

よく言われる「サッカーというスポーツは、その国の国民性、文化をそのまま反映するスポーツだ」ということ、そして、私たち日本人があまり強く意識はしていない日本文化の素晴らしさ、海外からよく称賛される日本人の国民性の素晴らしさというものを、イニエスタ選手は意識させてくれました。

私は前回「神戸のオーナーは、日本版銀河系軍団ができるまでビッグネームを買い続けるのか、途中で投げ出してしまうのか、」と書きましたが、本気でアジアNO.1クラブの座を取りに行く第一歩ということであれば、2年後、3年後の神戸を見てみたい、という気にはなりますね。

イニエスタ選手について、最後に2つ。

一つは、スカパーの会見番組でキャスターが言ってましたが、イニエスタ選手は個人的なトレーナー、メディカルも持っていて「チーム・イニエスタ」として来日するそうです。すごいですね。

もう一つ、お気づきの読者の方もいらっしゃると思いますが、私は「アンドレア・イニエスタ」選手と表記していましたが、いまは、どのメディアも「アンドレス・イニエスタ」選手にしているようです。はやり、そう変えなければならないでしょうか・・・。

では、また。