前回、前々回と世界中のダイヤモンドを牛耳る会社デビアス社の誕生から現在に至るまでのお話しをしました。
その中で独自のシステムでダイヤを販売しているとお話しをしましたので、今回はその『中央販売機構』についてです。
中央販売機構(CSO)の売り方ですが、私たちがお店でお買い物をするように品物を選んで売買できるわけではありません。
CSOが年10回開く「サイト」と呼ばれる販売マーケットに世界中から購入資格を持った販売会社が集まります。
そこで各販売会社それぞれにダイヤが詰まった袋が渡されます。
その中から好きなものを選べというわけではありません。
その場で袋の中身を確認し、袋を買うか買わないの選択を迫られます。
「買わない」となれば次の袋を見ることができますが、
何度もチェンジばかりしているとその会社は出入り禁止になってしまうようです。
そういった独占的なやり方に反発するものも表れます。
有名な事件としてはイスラエルとアメリカです。
イスラエルは国策としてダイヤモンドの輸出を独自に始めました。
年々規模が拡大しダイヤを扱う技術も発展し、次第に「第2のデビアス」と呼ばれるくらいになりました。
もちろんデビアス社は黙っていませんでした。
イスラエルへの原石供給量を減らしたり国際金融など業界から圧力をかけたりして対抗しましたが、
イスラエルはさらなる反発をしてダイヤをどんどん生産していきます。
結果的にはイスラエルのダイヤ業界は縮小衰退しデビアス社の勝利になりました。
しかしイスラエルのダイヤ生産が需要を大きく超えたものでしたので、ダイヤ価格が暴落してしまい、
それをデビアス社が元に戻すまで対決終了後も頑張りました。
アメリカは、不当に価格を吊り上げていると訴え、独占禁止法に抵触するからアメリカ国内での販売は禁止にするよ。とデビアスに抗議反発しました。
デビアス社は勝てないと目算したのか、イスラエルなどとのやりとりで学び穏便に済ませようとしたのか、
その他何があったかはわかりませんが、超高額の和解金を支払い販売禁止を免れました。
ちなみに金額は2億5千万ドルほどと言われています。
非常に強引で独占的な販売手法はダイヤの価値を守る為にあります。
デビアス社の会長オッペンハイマーは
「ダイヤモンドの価値は、物質的価値ではなく、人々の心の満足である」
といっています。
デビアス社はそれに則った広告戦略を長年世界中で展開しています。
私たちが感じているダイヤの価値はデビアス社の広告戦略で植えつけられたものかもしれませんが、
ダイヤの輝きを見ていると広告戦略を上回るナニカ特別なものを内包しているようにも思います。
ダイヤよりも希少性が高く金額も高い宝石は数多くありますが、ダイヤほど多くの人に特別に思われている宝石は無いでしょう。