死ぬ瞬間で人生は変わる(「すばらしき世界」 西川和美和督) | 「天に月、地に山」 愛知・豊橋で日本酒なら

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今週は2021年キネマ旬報ベストテン日本映画入賞作品紹介週。

 

二日目はコチラ!

 

「すばらしき世界」 西川美和監督

 

キネ旬4位入賞&日本アカデミー賞を総なめにした話題作。

 

そして傑作だった前作(永い言い訳)以来年ぶりの西川作品です。

 

もう観る前からワクワクが止まらなかった一本。

 

さてどうでしょうか?

 

物語は主人公が網走刑務所から出所してくる所から始まります。

 

主人公は人生の大半を刑務所で過ごし、元ヤクザにして殺人犯の中年男性です。

 

今回も13年ぶりの娑婆で、流石にもう二度と刑務所には入りたくないと決意をしている状態。

 

身元引受人の弁護士に助けてもらい何とか就職をするものに、やはり社会は厳しく中々上手く行きません。

 

そんな時、刑務所時代からTV局に送っていた生き分かれていた母を探して欲しいという身分帳をみた若手デレクターが、その模様をドキュメンタリーで撮影したいと近づいてきます。

 

彼らは、社会に適応しようとあがきながら、生き別れた母親を捜す姿を感動ドキュメンタリーに仕立て上げようとしていたのですが、時折本性である暴力性が出る瞬間もあり、ちゃっかりその姿も撮影をしていました。

 

初めはそういう姿を含めて信用をしていなかったのですが、長い事言る事で次第に心が通じていきます。

 

その他にも、近所のスーパーの店主や市役所の生活保護課の社員など、主人公を応援する人達が増えていきます。

 

何とか老人介護施設に就職も決まり、元妻とも連絡が復活した主人公。

 

主人公の未来は明るいのか?

 

という物語。

 

今作は実話をベースにした佐々木隆三氏の(身分帳)が原作だそうです。

 

勿論今風に味付けはし直してあります。

 

先ず感じるのは役所広司の演技の凄さ。

 

もう旨いとか技術とかでは語れないレベル。

 

主人公になり切っているというか、本当に主人公が本人じゃないかと思うほど。

 

そして西川さんの脚本の妙。

 

主人公が善にも悪にもみえる瞬間が交差する。

 

それが実に自然。

 

そして主人公の周りに居る人達も、主人公同様善にも悪にも場面で変わる。

 

これこそがこの映画の言いたい部分なんではないのかな?

 

今生きている世界は本当に素晴らしいのか?

 

恐らく人で全然違うし、その時々でも違う風に感じるだろう。

 

でも人生の最後に幸せだったら、それが一番ではないのだろうか?

 

そう問いかけて、この映画は幕を閉じます。

 

良い映画でした。

 

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