デビュー作ならではの熱量(「縁を結うひと」 深沢潮) | 「天に月、地に山」 愛知・豊橋で日本酒なら

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皆さんこんばんは。

 

台風の影響か既に冬の入り口のような肌寒い雨の夜

 

お店も寂しいものです。

 

さて静かな一夜に読み終えた一冊を紹介。

 

「縁を結うひと」 深沢潮

 

2012年女による女のためのR-18文学賞大賞受賞作品。

 

深沢作品は既に(ひとかどの父へ)を読んでます。

 

在日韓国人である深沢さんが描く独特の世界感。

 

さて今作はどうでしょうか?

 

主人公は金江おばさんと呼ばれる、お見合いおばさん。

 

彼女は様々なルートを駆使し在日韓国人同士のお見合いをすることを生業としています。

 

その彼女の元に持ち込まれるお見合い&結婚をベースにした連作短編集。

 

在日韓国人ならではの結婚の難しさもあるのですが、さらに韓国籍か朝鮮籍かという問題、同じ本貫(宗族)同士では結婚できないという問題、優秀な頭脳で日本の有名大学を出ていても、就職などで差別を受けるという大問題。

 

加えて、お見合い相手の学歴や社会的ステータス、容貌・見た目など一筋縄ではいかないお見合いを切実に描いてあります。

 

初めは在日韓国人ならではの問題点が目に付くんだけど、日本人の結婚問題と同じく、家庭同士の問題や年収や見た目の問題が浮かび上がる。

 

結局はどの民族も問題は似たようなもんなんですよよね。

 

そしてお見合いを紹介する金江おばさん自身も息子が北朝鮮に行ったまま音信普通という大きな問題も浮かび上がる。

 

深沢さん上手い!

 

これがデビュー作と思うと凄いです。

 

前に読んだ(ひとかどの父へ)の何倍も良かった!

 

デビューさくならではの熱量なのかもしれない。

 

今後も在日をテーマに書くんだろうけど(それが持ち味だから全然いいんですが)、何時かそこから離れた時の作品も読んでみたい。

 

そして相変わらず女による女のためのR-18文学賞は素晴らしい。

 

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