過去に起こした罪は、死ぬまでついてくる(「アンチェルの蝶」 遠田潤子) | 「天に月、地に山」 愛知・豊橋で日本酒なら

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皆さんこんばんは。

 

今日はお休みでしたが、明後日に何組か予約を頂いているので夜はお店で仕込みしてました。

 

自営業に休みなしですね。

 

さて恒例の夜中の本紹介。

 

「アンチェルの蝶」 遠田潤子

 

エンタメ系の小説ばかりの昨今。

 

人間の業の深みみたいなのを書ける作家さんが殆どいない状態。

 

遠田さんは主婦から作家になった稀有な存在で、今までに三冊読みましたが、書ける作家さんだという印象。

 

なので見つけたら必ず読んでます。

 

さて今作はどうでしょうか?

 

主人公は父親から引き継いだ小さくて潰れそうな居酒屋を惰性で営む中年男性。

 

ある日暫く会ってなかった同級生の親友の弁護士が店を訪れ、少女を夏休みの間預かって欲しいとお願いしてきます。

 

酔っ払いが日々訪れる汚い店なので当然断るのですが、少女の母親は主人公が昔愛した唯一の女性の子供でした。

 

仕方なく受け入れるものの、慣れない生活に二人は中々上手く行きません。

 

しかし徐々に心を通い合わせ出し、店も少女のお陰で明るくなり主人公もやる気を出しだします。

 

しかしある日少女の父親だという男が現れたことで過去の記憶が蘇ります。

 

主人公と親友と少女の母は、どうしようもない親達のせいで人には語れない悲惨な子供時代を送っており、彼らは父親達を火事に見せかけて殺してしまうんです。

 

消えない過去の影が現在にも影を落としだします。

 

果たして少女と主人公の運命は?

 

という物語。

 

読んでいて天童荒太さんの名作(永遠の仔)を思い出しました。

 

相変わらずの重厚な人間ドラマ。

 

グイグイ世界に引き込む筆力は流石です。

 

全く救いの無いラストには賛否両論あるかもですが、やっぱ好きだな~。

 

こういう話を退屈せずに読ませる人は少ないので遠田さんには今後も頑張ってもらいたい。

 

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