フィットネスブームが高まる中、「スポーツクラブルネサンス」を経営するルネサンスの株価動向が気になる。

 

今期は会員数増によって最高益を達成、ライザップを始めとするフィットネスブームの恩恵を受けた印象がある。

 

しかしこのフィットネスブームはライザップやエニタイムなどの強豪は多い。そのようなトレンドの中でどうしたら競合優位性を保てるのか。

 

2018年3月の中期経営計画によるとスポーツクラブ単一事業から健康をキーワードとする複合事業への転換を図るとある。

具体的にはスポーツクラブ事業での収益性強化、そして新規事業、新業態での収益の柱の確率である。

収益性についてはここ数年の営業、経常利益率を見る限り改善されている。またセントラルスポーツとの相互利用推進、「クラブツーリズム」との提携で会員定着の試みも同時に行っている。

ベトナムへの進出、介護リハビリ事業、VRスタジオ、健康経営会議の開催など先進的な新規事業への進出も積極的に行っている。

 

定性的な面での株価上昇材料は十分である。ならば定量的な面はどうであろうか。

 

そこで、株式会社ルネサンスを投下資本、超過利潤価値、成長価値などに分解する超過利潤(EVA法)によって中期経営計画を分析して株価推計を行った。

 

結論から言うと成長シナリオ次第で、株主価値は795億円。バリューギャップは405億円。予防医学の視点で注目されれば、水準訂正の可能性もあろうか?


 

業績や将来見通しなどを ベースに試算した結果、株主価値は795億円と推計することが可能である。5年程度で売上高が524億円、営業利益が44億 円、10年程度で売上高が568億円、営業利益が48億円,投下資本の売上高比が現在の62.9%で一定推移となる前提である。

 

株主価値と時価総額のギャップは405億円であり(時価総額の104%)、期待形成によっては株価が2倍になるアップサイドあり。

 

実現可能性について吟味してみよう。JPRが毎四半期実施する全上場企業と対象にした統計学分析による推計によると、当社は、借り入れが多いので、投資家が要求するリターン(債権者と株主の加重平均なので加重平均資本コスト、Weighted Average Cost of Capital)は3.2%と推計される。それに比べて、投資家から調達した資本に対するリターン(投下資本利益率 Return on Invested Capital, ROIC)は9%以上と、投資家の要求するリターンの約3倍程度もある。日本全上場企業の平均のROICが6%程度なので、かなり上回っている。

理論的には投下資本と企業価値の比率は、すくなくともROIC/WACC以上になる。企業価値の理論に基づき推計すると、当社の投下資本は300億円程度となるので企業価値は、投下資本300億円の3倍程度の900億円あってもおかしくない。

 

有利子負債は150億円なので、株主価値はざっくり言えば 900-150=750億円と推計される。

さらに年率3%程度で5年程度成長すると前提すれば、成長価値が上乗せされるので、800億円程と株主価値を推計することは全く理論的に整合性が取れている。この視点から見れば今の390億円の時価総額はバーゲンセールといってよいだろう。

 

株価は当然理論通りにいかないので、そう簡単にすぐに株価が倍にはならないだろうが、「家宝は寝て待て」で、バイアンドホールド2年するという気持ちで、投資していけば、やがて、割安状態が投資家の目に留まって水準訂正が突然起こる可能性もあろう。

 

きっかけとしてかんがられるのは予防医学が今後高齢化社会でますます重要視され、若者だけでなく老若男女がフィットネスクラブに予防医学の視点で通うようになれば、テーマ性から注目されるかもしれない。

 

同業のRIZAPの決算説明資料をみると、予防医学のの視点が全面的に打ち出されている。こうした流れで注目されればあっという間に倍になるかもしれない。