以下に文章理解の問題があります。

この問題で、論文が書ける人かどうかをある程度チェックすることができます。

 

空欄補充問題で制限時間は3分です。

解いてみてください。

 

 

スポーツの解釈にあたって、私はその中に二つの要素を認める。その上に複合体としてスポーツの意味が構成される。すなわちそれは競争性と筋肉操作の二作用である。

 それがたとえ肉体的運動であっても散歩ではスポーツの意味を構成しない。それはウォーキングレース、登山のごとく、距離あるいは高さにおける( A )的比較の可能をもってのみスポーツの意味をもつ。また競争性も単に麻雀のごとく知的の場合もスポーツの意味の外にある。この二つの要素の複合的構造の上にスポーツの意味が構成される。もしそれが許さるるならば、従って各々二つの要素の上にスポーツのもつ快感の構造が依拠することとなる。

 競争性の意味は本質的に( A )的比較でなければならない。従ってそれは( B )的でなければならない。換言すれば、二個以上の( C )的実体がその共通なる属性の領域内で、すなわち( D )的属性の上にその( A )的比較を行うことを指す。

 そこに( C )的なるものの( A )的転換が行われること、あたかも現象の数量化においてなされるところのごときものがそこに在る。

 

  A   B   C    D

1. 量  同質  同質  異質

2. 量  同質  異質  同質

3. 量  異質  異質  同質

4. 質  同量  同量  同質

5. 質  異質  異質  同質

 

 

いかがでしょうか。

すらすらと解けた人は抽象概念を使った論理操作に強い人です。

逆に頭を抱えてしまった人は、論文も苦手かもしれません。

 

上の文章は「スポーツ」という身近にある具体的なテーマを扱いつつ、

抽象的概念(「質」や「量」)を用いて、スポーツの普遍的な定義づけを呈示しています。

このように、あるテーマについて、抽象的な概念を使って整理し一般化・普遍化するのが論文です。

 

具体的な物事から普遍的な一般論を抽出すること、

抽象と具体との間を行き来して物事の本質について理解を深めること、

これが論文に必要な能力です。

 

抽象概念の操作に慣れている人は上記の問題が難なく解けるし、論文も書けます。

これが苦手な人は、まずは抽象的概念の操作に慣れることが必要です。

それには、論文を書く以前に、論説文をたくさん読むことです。

公務員試験の文章理解の問題を解くことも役立ちます。

 

上記の問題の正解は2ですが、できましたでしょうか。

次回はより実践的に、経験論文の書き方を例に解説したいと思います。

 

喜治塾の 特別区経験者論文対策講座 は こちら