今回は集団討論に関してよくある質問にお答えします。

Q1:司会は必ず決めた方がよいのでしょうか。
A:原則として決めた方がよいです。司会を置かずに秩序だった議論をするには、メンバー間であらかじめ相当なコミュニケーションがあることが必要です。3~4人ぐらいであれば自由討論形式もOKですが、その場合にはあらかじめ議論の順序や時間配分を打ち合わせ、議論が始まってからも進行がこの通りでよいのか何度も確認しあう必要があります。

Q2:司会は自分の意見を述べてもよいのですか。
A:原則として述べてはいけません。司会者の役割は議論の整序にリーダーシップを発揮することにあります。リーダーが最初に自説を明らかにすると、反対の意見の人たちは司会者に警戒感を持ち、自由で活発な議論を阻害する原因になります。ただ、参加者から意見が出なかったり、意見が偏ってしまった場合には、適切な発問で意見を誘導したり、マイルドなかたちで意見を表明するのはOKです。「~とは考えられませんか」「~というような意見はどうですか」)

Q3:課題について知識が豊富な方が高く評価されますか。
A:知識の豊富さや問題意識の高さは必ずしも評価の対象ではありません。豊富な知識がある場合には、適時に・適量にそれを提出しながら議論に貢献できれば評価が上がります。逆にいくら知識が豊富で見識が高くても、他人の意見を無視して自分の意見を滔々と展開し結論づけるようでは評価されません。

Q4:発言回数は多いほうがよいのですか。
A:もちろんです。積極性を示せるからです。ただ、他者への配慮が欠けている場合にはかえって評価が低くなります。他者の話をきちんと聞かずに議論の腰を折る、他者をさえぎって発言する、他者をやりこめる、議論に参加できていない人を無視する、等の行動です。

Q5:グループ全体の議論が活性化しなければ全員が連帯責任を負うのでしょうか。
A:そう覚悟してください。ただ、メンバー全体が沈滞する中で孤軍奮闘している人があれば目にとまり、相対評価で救済されることもあります。逆に、自分だけがグループの中で生き残ろうと利己的に行動する(一人だけで発言し仕切ろうとする等)と低く評価されます。

Q6:司会役が下手な場合、どうすれば良いのでしょうか。
A:いったん司会を決めた以上、司会を無視して進めたり、司会役をとってしまうのは良くありません。そのような場合には、司会に対して「議論の進め方に付き意見があります」とか、「ここで今までの議論をまとめてはどうでしょうか」等、メンツをつぶさないようにやんわりとアドバイスや誘導をしてください。議事進行に関するこのような介入は、適切であれば高い評価がつきます。議論への貢献度という観点からすると、意見の内容自体が優れていることよりも評価は高いです。

Q7:司会役に立候補した方が良いですか。
A:経験豊富で自信のある人は立候補してください。司会役で成功すれば最も高い評価を得られます。自信がないときは避けた方が無難です。自信ありげな人が立候補するのを待ちましょう。ただ、どうしても立候補者がおらず議論が始まらないときには、自分が一肌脱ごうという積極性も必要です。少なくとも採点者に注目してもらえます。自信がないのに司会を引き受けたときは独走せずに、随時、「この進め方でよいでしょうか」等、メンバーの意見を聞きながら進めるとよいでしょう。

Q8:議論の腰を折ったり、自分だけ目立とうとする人はどう扱えばよいのですか。
A:司会者が責任を持って介入すべきです。「申し訳ありませんが、今はその点は議論していませんので後ほどお願いできますでしょうか」、「申し訳ありませんが、○さんの発言が続いていますので×さんの意見も伺いたいのですが」等のやんわりした口調で誘導してください。司会者が放置し目に余るようでしたら、他のメンバーが介入しても構いません。

Q9:自分の説が少数反対意見だった場合、撤回しないと協調性を疑われますか。
A:少数反対意見があるからこそ議論する意味があるのですから、自分の意見を大切にしてください。少数反対意見を封殺するような議論の流れは低く評価されます。ただ、自分の意見が極端でないか、常識外れでないか等、常に他者からの批判に耳を傾ける姿勢は持ってください。そのうえで妥協できるところは妥協します。Q:制限時間内に必ずグループとしての結論をまとめなければならないのですか。A:もちろんそれが理想ですが、こだわりすぎる必要はありません。結果よりもプロセスが重要です。参加者が「まとめよう、まとめよう」と焦るあまり、反対意見を差し控えたり、少数意見を押さえつけたり、対立点を十分に検討せずに無理に妥協したりすると、そもそも討論の機会を設けた意味がなくなり、本末転倒です。人の意見を「疑う」「反論する」中で、お互いに議論の精度が高まり、成長・発展につながるのです。ただ、終了間近のまとめの段階に入ってから議論を蒸し返したり、急に反対意見を出すのはよくありません。

以上を頭で理解できても実際に実践できるかは別問題です。
とくに一緒にやるメンバー次第でなかなか思うようにいきません。
本番の危機管理のためにも最低1回は練習会に参加しましょう。

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