最近、ロハスという言葉を良く目にします。
アメリカでつくられた言葉で、LOHAS=Lifestyles Of Health And Sustainabilityの略です。
意訳すれば、環境保護と健康な生活を最優先する、持続可能なライフスタイルということになります。
アメリカで実施された国民の価値観調査によると、全人口中、
①信心深い保守派が約24%、
②民主主義と科学技術を信奉する現代主義者が約48%、
③ロハス志向を持った生活創造者が約26%、という結果が報告されているそうです。
この生活創造者は、大量生産、大量消費を良しとする現代主義者への反発から誕生したとされ、
欧州連合(EU)内では成人人口の約35%が、ロハスを志向しているとも言われています。
日本でも最近、『ソトコト』という雑誌がブームに火をつけ、
女性誌をはじめとするメディアや、
新たなビジネスチャンスを開拓する企業の間で注目されています。
ロハスは、イングルハートの唱えた「脱物質主義的価値観」と重なります(政治学で出て来ます)。
飢餓から解放された社会では、金銭や物質に重点を置いた価値観をしだいにかなぐり捨て、
自己実現や他者からの承認、健康や環境の重視といった、脱物質的な価値観へ移行するということは、
以前から指摘されていました。
ロハスも、物質主義的な「大量生産・大量消費型社会」とは一線を画し、
①「持続可能な地球環境や経済システムの実現を願い、そのために行動する」、
②「金銭的、物理的な豊かさを志向せず、社会的成功を最優先しない」、
③「人間関係を大切にし、自己実現に力を入れる」、
④「なるべく薬に頼らず、健康的な食生活や代替医療による予防医学に関心がある」、
という特徴を持つそうです。
イメージ的に言うなら、「太く、短く」生きるのではなく、「細く、長く」生きるのを理想とする考え方です。
中国の古代思想で言うなら『老荘思想』に近いと言えます。
このムーヴメントは、注目に値します。
大賛成だという人もいるでしょうし、
こうした生き方を軽蔑する人もいるでしょう。
また、共感を寄せつつも、ブームについては、
「モノが売れなくなった時代に、新たな付加価値(コト)をつけることで、
少しでも利益につなげようとする企業やメディアに利用されているだけだ」と、
醒めた印象を持つ人もいると思います。
私もこれまでの自分の人生に照らしていろいろと思いがあるのですが、
それを述べる前に、できれば皆さんの自由な感想を聞きたいです。
これは、来年の教養論文ではひとつ要注意ですね。
コメントお待ちしています。