登りのエスカレーターに運ばれる。

後ろに彼がいることの安心感と安定感。

言葉を交わしながら、切り取られた空を目指す。

ふいに背後から、彼の指が腕に触れる。

最近よくこうして腕に触れることが多い。

特に気にもせず、会話を続けようとすると、彼の指が脇のそばから出てきて、胸の先に触れる。

彼の身体が私に沿うように密着する。

控えめに、でも着実な動きに声をあげそうになった。彼の後ろに人がいるのに。


最近、彼が情熱的だ。

そう言うと、いつも通りだけど、と答えが返ってくる。

本当にいつも通りなのかもしれない。

彼の情熱を気付かず、やっと私が受け止められるようになったのかもしれない。

「少し痩せた?」

以前は何度となく繰り返されたセリフを久しぶりに聞いた。

私が痩せると好きな体型に近づくのが嬉しそうだ。

キスを交わす。濃厚さは情熱さにも思える。

脚の付け根に触れられる。性急さと紙一重に感じながらも、彼の指の動きにあっという間に自分を保てなくなる。

なんだろう、彼は純粋さと経験値の高さが同居している。

余裕があるようでないような、真っ直ぐで少年のようだ。

「もっと痩せて、可愛くなって他の人に行っちゃったらどうしよう」

本気で言ってる?

10年を超える付き合いの中でも、まだそんな新鮮な気持ちを抱いてくれているのが嬉しい。


「すごく濡れてる、もう入れたい」

そう囁かれると、入ってきてくれることを期待してしまう。

待ち望む私の脚の間に彼は顔を埋めた。

「それはいいから…」

至近距離で見られることに慣れることができない。いつまでも恥ずかしく感じる。

皮を捲りあげられ、剥き出しになった場所に彼の唇が触れる。

柔らかく、やさしく唇にのまれる。動きに反して、次第に強く衝動に意識が追いやられる。

「お願い、もう…」

「いきたいの?」

顔をあげた彼の顔は、嬉しそうだ。

彼が身体をずらした。入れてくれるのかと期待する身体に、知らない顔をして彼は身体の向きを変えた。

彼のを咥えながら、彼に舐められる。

恥ずかしさに悶えながら、彼のものを咥える。羞恥と享楽に理性は勝てない。


彼が入ってくると、身体の芯が一瞬震えるのがわかった。彼にも伝わっているのかもしれない。

そのまま抱きすくめられる。

唇をかわす。

抱きしめられながら、何度も唇を合わせる。ひとつも離れているところがない。

彼との境界線が崩れる。この瞬間がとても好きだ。

彼を見つめながら突かれる。抱きしめられながら突き上げられる。この時間が終わらないといい。

「ずっと欲しかったの」

欲しかったのは彼のものではない。繋がりを感じるこの瞬間のために日々を過ごす。

「俺も欲しかった」

汗で前髪を濡らした彼が囁く。

幸せだ。


「私があなたを好きだという確信がある?」

帰り道、ふと聞いてみた。

「確信というか、、ずっと一緒にいるというのはそうかなって思う」

彼は本当に口下手なのだ。この口下手さに初めは気づかなかった。