性的に求められることが、愛されている、というわけではない。

その事実を自分こととして客観的に見ることがずっと難しかった。

愛情が入り混じり、ともすればその火は途中で消えてしまう。それは相手だけではなく自分にもいえる。


それでも求められることが愛情だと思っていた私は、彼と出会う前、性的なことにすっかりうんざりしていたし、その反面冴えた頭で演技することに慣れきっていて拗らせていた。

求められることに執着するあまり、好きとか愛とかわからなくなってしまっていたように思う。


彼と抱き合うと、自分がコントロールできなくなる。

そんな自分が信じられなくて、ずっとそういう演技を自分がしているのではないかと疑っていた。

この日は、着ていたワンピースが彼の好みだったようで、部屋に入って早々に鏡の前に手をひかれる。

部屋に来る前に散々触られて、スカートを捲し上げられた時には彼の指を迎え入れようとしているのが自分でもわかった。

彼の指に擦り付けるように、腰が動いてしまう。

ワンピースの隙間から彼の指が入ってくる。

固くなった胸の先を、容赦なく摘まれると自分のあげる声が叫ぶような声に変わる。

「感じている自分の顔をみて」

そう囁かれても、自分の顔など見れるものではない。

「目を開けて」

鏡の中では、恍惚とだらしない顔で、腰を突き出して、彼の指を心待ちにしている自分がいる。


「ほら、舐めて」

彼の、大きくなったものをゆっくり、喉の奥まで誘う。

「濡れた?」

いやいや、頭を振る。

「じゃあ濡れるまで舐めて」

その言葉でおかしくなりそうになる。

夢中で、でもやさしく頭を動かす。

身体の中に彼がいる喜びを感じる。

奥まで入ってきて、少し苦しい。それさえも気持ちいい。


「濡れた?」と聞きながら体勢が鏡の前に戻された。

彼の指が入ってくる。

「これが好きなんでしょ?」

指の形が変わる。めちゃくちゃ気持ち良くて、わからなくなる。

叫び声に近い喘ぎ声をあげている自分は、ケモノのようだ。

床に水がしたたり、足に跳ねたことで自分から出たものだと気づく。


いくのを我慢するのと、

いきまくるのと、

どちらが気持ちいいのか。

いつも彼はどちらを望んでいるかを私に問いかけるけど


こんなに簡単にいきそうになるなんて。

彼が動きを変える。

いきそうだったのに、気持ちよさが継続しているのに、それだけでいけなくなる。

彼のものが少しずつ入ってくる。

ほんとに少しずつ。たまらず腰を動かすと彼に動いたことを叱られる。

早く欲しい。


彼は私の反応を見ながら、絶妙に動きを止めたり指で触れたり、中に入っている彼のものですったり、

その動きに翻弄されることがたまらなく気持ち良く、彼がそれだけ私を見てくれることが幸せだと思う。

奥まで突き上げられ、気持ちよくていきそうになる。


気がつくと彼を迎え入れたまま、2人で熟睡していた。

重くはない。彼の重み、手を回した先の彼の背中。彼がくれる優しさや思いやり、例えば道を歩きながら延ばされる手や何気ない日々の言葉。

抱き合うとどれだけ愛をかけてもらえているのかを感じる。

そしてそれは、彼にとって特別なことではないのだ。

そんな人に出会えることを、昔の私に伝えることが出来ればいいのに。

きっと、受け取れなかっただけで、過去にいる私も嘘ではない。

彼が体勢を変える。まどろみの中にいる彼の腕が延びてきて私を包み、また眠りに落ちていく。抱きしめられ、冷えないように彼の脚が私の脚を挟む。

動けないわけではないけど、動きたくない。

この甘さが枷なら喜んで繋がれていたい。

そんなことを彼は望んでないだろうけど。