皆さんこんにちは。
「J-AC TOP40」2024年8月31日付けチャートの初登場曲、圏外曲を振り返ります。
初登場曲
今週の初登場曲は4曲でした。
なお、初登場予想が的中した曲は4曲中3曲でした。
No.37
「skirt」aiko
■8/28リリースのアルバムより、8/21先行リリースの配信シングル
■アニメ「アポカリプスホテル」OPテーマ
■「相思相愛」以来4か月ぶり、今年4か月ぶり、2015年以降では22曲目のエントリー
aikoさんが今週28日にリリースしたアルバム「残心残暑」からのリードトラックで、アルバムの1週間前に先行リリースされた配信シングル。アルバム曲が極めて入りにくくなった昨今ですが、週間オンエアが6回と好調で、アルバムリリース週にさっそくエントリーを決めました。ここまで出足が優れたアルバム曲は本当に珍しく、さすがこのチャートのトップランナー、aikoさんという感じがします。なお、来年放送されるアニメ「アポカリプスホテル」のOPテーマに起用されることが発表されています。
アルバムのタイトルは「残心残暑」。残暑はまあ、これからの時期にぴったりなので分かりますが、「残心」が聞きなれないですよね。これは、武士道の世界の言葉で、勝っても負けても常に自分の心を保ち続けておくことをいうそうです。aikoさんは、それを「相手への好きな気持ちを気付かれないようにすること」も「残心」に置き換えたそうです。こうやって置き換えられると、aikoさんらしい発想だなと思いますね。aikoさんにはそういう曲、たくさんありますからね。
そしてこの曲「skirt」ですが、"もう無理!"という感情を書いた曲だそうです。「そのスカートは2度と履きません」という、自分をゼロにしたい気持ちが歌われています。aikoさんらしい、不協和音全開の、それでいてポップなキャッチーな楽曲ですよね。サウンドがすごく不穏で、「これで大丈夫なのか?」と不安になるのですが、曲の展開とともに不思議な魅力を増していく感じ。aikoさんにしかできない芸当で、じつに「らしい」アルバム曲だと思います。
アルバム曲の成績は低調になる傾向があり、最近でも髭男の「Sharon」があっという間に急落するなどかなり苦労している印象です。果たしてaikoさんはどうでしょうか。「相思相愛」は20位台まで下げており、ポイント割れの心配はあまりないと思います。
No.24
「ブラックボックス」LiSA
■8/21リリースのCDシングル
■アニメ「NieR:Automata Ver1.1a」OPテーマ
■「Shouted Serenade」以来2か月ぶり、今年2曲目、通算9曲目のエントリー
LiSAが8月21日にリリースしたCDシングルで、アニメ「NieR:Automata Ver1.1a」主題歌。CDシングルチャートでは初週7,500枚を売り上げ、初登場9位を記録しています。ちなみに、5月にリリースした前作「Shouted Serenade」(最高21位、7週)は初登場13位でしたから、それを上回る1ケタの順位で、J-ACでも前作を上回る成績が期待できそうです。主題歌になっている「NieR:Automata」は第2クール。第1クールは、Aimerの「escalate」とamazarashiの「アンチノミー」が主題歌で、どちらも同時期にエントリーしてチャートを盛り上げていましたよね。そういった意味では、第2クール主題歌のこの曲もそれに続きたいところです。
曲調はシリアスというかちょっとミステリアスな感じでしょうか。第1クールの2曲と雰囲気が似ているなと感じたのですが、それもそのはず、作詞作曲はamazarashiの秋田ひろむさんでした。アニメと関りが深いamazarashiさんの秋田さんが制作ということで、作品の世界観をしっかりと継承しているんですね。サビに向けてボルテージが上がっていく感じが心地よくて、サビの「壊してくれ」という歌い出しに最高潮の高まりを感じます。宇宙に関するワードが散りばめられており、それが壮大さも感じさせます。
幾多のアニメ主題歌を手掛け、出来栄えは抜群の安定感を誇るLiSAさんですが、今作でもそれは健在に思えます。前作は最高21位とトップ20の手前で止まりましたから、今作はまず10位台が目標になるでしょう。
No.23
「がらくた」米津玄師
■8/21リリースのアルバムより、8/20先行リリースの配信シングル
■映画「ラストマイル」主題歌
■「RED OUT」に続き今月2曲目、今年4曲目、2015年以降では26曲目のエントリー
アルバム曲が2曲も入ってくるのは極めて異例ですが、やはりこの曲を差し置いてはおけないでしょう。米津玄師さんの最新アルバム「LOST CORNER」に収録された新曲「がらくた」。映画「ラストマイル」主題歌です。映画「ラストマイル」は、大ヒットドラマ「アンナチュラル」「MIU404」を手掛けた塚原あゆ子監督、脚本家・野木亜紀子さんによる再タッグです。私はこの曲がいつエントリーするかと煽りまくってきましたが笑、それは過去の主題歌の成績がものすごいからです。ドラマ「アンナチュラル」「MIU404」、そして今回「ラストマイル」の主題歌を手掛けたのはいずれも米津玄師さん。J-ACでの成績を振り返ると、「アンナチュラル」の主題歌「Lemon」(2018)は年間1位、「MIU404」の主題歌「感電」(2020)は年間3位ということで、まばゆいばかりの成績を残しています。年間1位、年間3位と来て、集大成的位置づけにあるこの曲がエントリーすらしないのはありえないですよね。ということで、アルバムからは2曲目ですが、エントリーすることは確信していました。
さて、映画「ラストマイル」主題歌のこの曲ですが、実は1度別の曲がボツになっているそうです(なんと、制作陣のの威光で)。これには本当に驚きました。まさか、米津さんの方がタイアップでボツを出していたとは。最初の曲はもう少しローテーションでさらっと歌う、冷たい感じの曲だったそうなんですが、制作陣からは「これじゃないかも」という話があったそう。米津さんの曲にNGを出す制作陣の覚悟もすごいですよね(米津さんは自信作だったそうですから、なおさらに)。並大抵の覚悟じゃできないですよ。どれだけ信念をもってこの作品に向き合っているのか分かるエピソードでした。
そうやって生まれたこの曲「がらくた」は、冷たい感じだった最初の曲とは反対の、優しく温かみのある曲になっています。アルバムについて語ったインタビューで、この曲についても詳しく語られています。「別に壊れてたっていいじゃないか」という米津さんの言葉が頭にこびりついて離れません。「壊れている」ことも含めて受容する、これはそういう曲で、制作陣同様、米津さんも相当の覚悟をもって送り出した楽曲だと思います。
というわけで、曲については絶賛しますが、過剰なリリースについては苦言を呈します(先日、あいみょんの「ラッキーカラー」と「ざらめ」の連続リリースに苦言を呈したところです。米津さんには何も言わないというのでは不平等ですから)。「RED OUT」からここまで短期間で2曲リリースしたのは解せないですし、私はこの曲に絞ってほしかったです。しかし、J-ACチャートは「RED OUT」に飛びつき、トップ10入りまでさせてしまいました。2曲が中途半端に共倒れということだけは絶対にやめてもらいたいです。個人的には、早急な入れ替えを要望します。
No.21
「夢で逢いましょう」SARD UNDERGROUND
■8/21リリースのCDシングル
■アニメ「名探偵コナン」EDテーマ
■「これからの君に乾杯」以来4年2か月ぶり、通算2曲目のエントリー
大穴、なんて言ったら失礼かもしれませんが、4年以上ぶりに入ってきた彼女たちが米津玄師さんより上位、しかも自己最高位に入ってきたのですからさすがに驚きましたね。夢じゃないかしら、という感じのビッグサプライズになりました。
今年デビュー5周年を迎えたSARD UNDERGROUND、通算7枚目のシングルです。J-ACにエントリーしたのは、2020年6月にリリースされた2枚目のシングル、「これからの君に乾杯」以来2枚目、年月にして4年2か月ぶりだと思います。「これからの君に乾杯」は最高30位、4週という成績でしたから、今作は初登場にしていきなり最高位となり、まごうことなき大躍進です。気になるCDセールスですが、初週4,500枚で初登場11位でした。この時代に5,000枚近くは立派すぎる数字で、初登場21位でもおかしくはありませんが、初週7,500枚で24位だったLiSAさんよりも上の順位だったので驚きました(今週のオンエアは1回で特に多かったわけではありません)。プッシュポイントやリクエストが強かったものと思われます。いずれにしても、繰り返しますが、大躍進です。
この曲はアニメ「名探偵コナン」EDテーマ。私はコナンが大好きなのでもちろんよく知っています(しかし、エントリーするとは思っていなかったので驚きました)。彼女たちはZARDのトリビュートバンドで、ボーカル神野さんの、ZARDを彷彿とさせる愁いのあるボーカルがたまらなく好きなんですよね。今回は、曲調も儚く愁いのある感じで、すごくいい曲だなと思ってコナンのEDを見ていました。ZARDの他に、コナンでよく主題歌を歌っていたGARNET CROWにも似ていて、懐かしさを抱くんですよね(GARNET CROWとSARD UNDERGROUNDは同じ事務所で、曲調が似ています)。そんなこともあって、個人的にもすごくお気に入りのバンドなんですね。SARD UNDERGROUNDを、J-ACのこんないい位置で紹介できることがうれしいです。来週は即落ちせず、ぜひ10位台へ!
圏外曲
先週39位「Hush-Hush」BE:FIRST
IN【8】TOP10【0】HIGH【14】130P
BE:FIRSTが7月1日にリリースした配信シングル。韓国の8人組ダンス&ボーカルグループATEEZとのコラボナンバーです。リリース週の7月6日に33位で初登場すると、オンエアが絶好調で翌週は18位までジャンプアップ。さらに上げ、14位に付けますが、ここらでオンエアが途切れてしまい、4週目は19位にダウン。以降は順位を落としていきました。最後はBE:FIRSTの新曲「Blissful」がエントリーしたこともあり、2週連続の大ダウン。最高位は14位で、トータル8週という成績になっています。
大型コラボの割にはやや振るわなかったでしょうか。3つ前の「Glorious」と大体一緒の成績で、BE:FIRSTの中では低調な方です。「Blissful」がエントリーし、粘りを絶たれたのもこの曲にとっては不運なことでした。まあ、今後「Blissful」に切り替えていくという感じで、そこまで深刻な不調ではないと思います。
先週37位「Summer Princess」平井大
IN【1】TOP10【0】HIGH【37】4P
エントリーすらできないのと、温情で1週だけエントリーさせてもらうのと、どっちがましなんでしょうね。
2週前、コメントゲストだった平井大さん。その翌週、この曲がエントリーしました。コメントゲストへの御礼というか、温情的意味合いが大きかったと思います。なぜそう思うかというと、1週で圏外になっているからです。2週目のチャートにも残留する力がないということですから、そういう目で見られても仕方ないのではないでしょうか。
1週で圏外になる曲は去年から減少傾向にあり、今年はまだ9曲です。そのうち2曲がこの方というのはちょっと悲しいですね。5月の「Walk Together」から2曲連続、通算7曲目の1週圏外ですか。直近6曲のうち、4曲が1週圏外。ちょっとさすがにフォローできないですね。これじゃあ、エントリーしている「だけ」じゃないですか。厳しいことを書きますが、そのうちエントリーすらできないようになっても文句は言えないと思いますね。その「予兆」ははっきり出ていますので。
先週35位「Never Run」ビッケブランカ
IN【15】TOP10【10】HIGH【3】???P
ビッケブランカが5月5日にリリースした配信シングルで、北米ツアーを通じて生まれた異国間の漂う楽曲です。全編英語詞、しかも配信シングルということで、ここJ-ACチャートではヒットは難しいのかなと当初は予想していました。しかし、私の予想を上回るヒットとなり、さすがビッケブランカさんという感じです。5月18日に24位で初登場。翌週は16ランクも上げて8位でトップ10入り。そこからも上げ、4週目には3位でトップ3入りしました。そこからは4位と5位を2回ずつ往復。トップ3への復帰はなりませんでしたが、トップ5には6週と長くエントリーしていました。9週目からは少しずつ下げますが、さらに3週伸ばし、トップ10には堂々の2ケタ10週エントリー。英語曲&配信シングルといういわば「悪条件」でこの長さですから、あっぱれというよりありません。
12週目に、新曲「白夜」が入ったこともあり10位から17位まで急落。新曲にポイントを吸われ、トップ10落ち後は7ランクダウンが3回と振るわず、4週しかエントリーできませんでした。最後は崩してしまいましたが、トップ10内の安定した成績が光り、トータルは15週と悠々のロングエントリーになっています。2020年の「ミラージュ」から12曲連続で年間入りしているビッケブランカさん。年間入り継続なるかというところですが、この曲はトップ10が十分に長いのでまず間違いなく大丈夫でしょう。問題はそう、皆さんもお気付きかと思いますが、「白夜」です。
先週33位「忘れてください」ヨルシカ
IN【5】TOP10【0】HIGH【23】58P
うーん、忘れたいなあ。忘れてしまいたい低成績となりました。ヨルシカが7月13日にリリースした配信シングルで、小芝風花さん主演のドラマ「GO HOME~警視庁身元不明人相談室~」主題歌。7月27日に37位で初登場すると、翌週から31位、23位と順調にアップ。10位台をうかがいましたが、4週目も23位と変わらず、5週目の先週は33位に急落してしまいました。最高23位のトータル5週ということで、平凡な配信シングルの成績ですが、ヨルシカのドラマ主題歌がこれではいけないでしょう。期待を下回る結果となってしまいました。
再生回数は非常によく、Spotifyのトップソングに長くエントリーするなど好調に見えたのですが、それがチャート成績に必ずしも結びつかないのが難しいところです(まあ、「晴る」よりは少ないといえばそれまでですが…)。今年初頭に「晴る」が大ヒットしたヨルシカですが、その後は「ルバート」、そしてこの曲と伸び悩み、二の矢が継げません。配信は悪くないだけに、非常にもどかしい感じになっています。