皆さんこんにちは。
「J-AC TOP40」2024年8月3日付けチャートの初登場曲、圏外曲を振り返ります。
初登場曲
今週の初登場曲は4曲でした。
なお、初登場予想が的中した曲は4曲中4曲でした(パーフェクトありがとうございます)。
No.29
「舞台に立って」YOASOBI
■7/26リリースの配信シングル
■NHK2024スポーツテーマソング
■「UNDEAD」から2か月連続、今年5曲目、通算21曲目のエントリー
今日は30位台に全く初登場曲がなく、最初の初登場曲が29位という非常に珍しい展開になりました。ということで、入ってきた曲はどれもそれなりに強いとみることができます。まずはこちらですが、これは「それなり」どころか相当な強さの曲かもしれません。
先週「UNDEAD」が2位まで上り詰めていたYOASOBIですが、息を付く間もなく新曲をリリースです。7月26日にリリースした配信シングルで、「NHKスポーツテーマ2024」として、同日に開幕したパリオリンピック・それにパラリンピックの放送や、今年度のさまざまなスポーツの放送で使用されるということです。デジタルシングルチャートでは、堂々の初週1位を獲得。これでYOASOBIのデジタルシングル1位は通算14作目となり、BE:FIRSTを上回り単独2位になったそうです(ちなみに1位は米津玄師さんの15作。この3組は今後も鎬を削ることでしょう)。
さて、NHKの夏季五輪テーマソングと言えば、「栄光の架橋」「GIFT」「Hero」など、誰もが知っている言わずと知れた名曲ばかりです。五輪終了後も歌い継がれ、日本を代表する曲になっていますよね。非常に重厚な系譜ですが、この曲はどうでしょうか。巷では「あまり印象に残らない」という評価もあり、たしかにこれまでの名曲と比べるとそう思わないこともないですが、私は非常に「令和ナイズ」されたいい曲ではないかなという風に思っています。
これまでの五輪ソングと比べると、電子音が前面に出ており、お洒落な仕上がりではありますが、そんな中にもギターサウンドには一抹の情熱が感じられ、YOASOBIの中ではかなり「血の通った」楽曲という風に感じます。私が特に印象に残るのは、歌詞にある「もう何のために戦ってんだろ」という一節です。五輪ソングとしては一見そぐわない、かなり耳に残る歌詞ですよね。こういう「葛藤」「内省」的な言葉が前に出てくるというが、今のアスリートたちの置かれている立場を非常に鋭く捉えているのかなという風に思いました。アスリートの皆さんって、想像できないくらい過酷な、たくさんのものを背負って戦っていると思うんです。そういうところに寄り添っている歌詞なのかなという風に思いました。そういう葛藤を乗り越えて「舞台に立つ」、その決意と覚悟が際立つ楽曲です。
「UNDEAD」との兼ね合いがどうなるのかは不透明ですが、配信で大ヒットしており、この曲も上位に進出していくことは間違いないでしょう。
No.21
「KO.DA.MA」THE ALFEE
■7/24リリースのCDシングル
■アニメ「シンカリオン チェンジ ザ ワールド」ED主題歌
■「鋼の騎士Q」以来1年3か月ぶり、2015年以降では3曲目のエントリー
キター!!
いやあ、このイントロにはブチ上がりますし、五臓六腑に染みわたりますねえ。令和の曲はサブスク対策でイントロを短くする傾向にありますが、彼らにとってそんなことは関係ございません。丹精に作られた約45秒のイントロこそ彼らの「本流」、そう、THE ALFEEの新曲であります。
...すみません、1年3か月ぶりのエントリーということでかなり筆が走りました笑 以前まではほとんどエントリーがなかったTHE ALFEEですが、2022年10月に「星空のCeremony」が突如エントリーし、これがなんと18週の特大ロングヒット。これで弾みがついたか、次作の「鋼の騎士Q」(2023)もエントリーし、10週のミディアムヒット。往年のレジェンドバンドが、「星空のCeremony」でチャートに復活し、俄然チャートを沸かせました。今回、「鋼の騎士Q」以来のシングルということで大変楽しみにしていましたが、期待に応え、見事シングル3作連続のエントリーです。
CDセールスチャートでは、初週2.8万枚を売り上げ、3位に初登場。彼らはCDセールスが非常に強く、今作でも健在でした。これが評価され、チャートでも21位という非常にいい位置から入ってきました。ちなみに、Spotifyの再生数は2,800回程度なので、清々しいまでのCDセールス重視型です。それにしても、この時代に2.8万枚は素晴らしいですよね。「星空のCeremony」は初登場31位、「鋼の騎士Q」は同じく32位でしたから、2作を大きく上回るロケットスタートです。
今作は両A面で、こちらはアニメ「シンカリオン チェンジ ザ ワールド」のエンディング主題歌。デビュー50周年記念リリースです。タイトルからもわかるように、山陽新幹線の「こだま」をモチーフにしています。新幹線フリークの高見沢さんにとって、タイトルに新幹線のネーミングを入れるのは願ってもない話だったとのこと。歌詞にも新幹線にちなんだフレーズが散りばめられており、愛の大きさを感じさせます。重厚なコーラス、そしてメタルなサウンドがこれでもかと詰め込まれたハードな楽曲で、夏を熱く盛り上げてくれることは間違いなし!いやあ、ALFEEのエントリーで俄然夏のチャートが楽しみになりました。
No.20
「24karats GOLD GENESIS」THE RAMPAGE from EXILE TRIBE
■7/24リリースのCDシングル
■「CyberHelix」以来3か月ぶり、今年3曲目、通算10曲目のエントリー
2020年の「FEARS」以来、コンスタントにエントリーを重ねてきたTHE RAMPAGE from EXILE TRIBE。トップ10入りは1曲(「Summer Riot~熱帯夜~」)のみですが、それ以外に最高11位が4作もあり、上位で安定した活躍を続けています。今回、記念すべき2ケタ10作目となりました。そして、それに相応しいメモリアルなリリースといえそうです。EXILEシリーズが歴代手がけてきた「24karats」シリーズのRAMPAGEバージョンとなります。
歴史あるシリーズの継承作ということで、セールスは抜群によい数字を叩き出しました。初週売上は約22万枚で、「Summer Riot」以来自身2作目となる初登場1位を獲得!前作「CyberHelix」は初週6.7万枚ですから、なんと3倍以上です。初週6.7万枚でも十分にすごいのですが、20万枚超えとは本当にインパクトのある数字が出ましたね。素晴らしいと思います。これが評価され、初登場でいきなりトップ20、20位からの初登場です。
「24karats」シリーズに相応しく、非常に豪華絢爛、ゴージャスな仕上がりになっています。エレキギターとシンガロングが鳴り響き、歌とラップがこれでもかといわんばかりに重なります。さながら、「盆と正月が一緒にやってきた」お祭り状態。ダンスパフォーマンスも圧巻で、MVはすでに800万回以上再生されています。
RAMPAGEがシングルチャートで1位を獲得したのは「Summer Riot」以来2作ぶりと書きましたが、J-ACでトップ10入りしたのも過去には「Summer Riot」のみです。つまり、これだけ爆発的なセールスがあれば、この曲も(11位の壁を超え、)トップ10を狙える可能性は高いのではないかと思われます。現在の上位は強豪がひしめきますが、その中でRAMPAGEは24karatsのきらめきを放てるでしょうか。
No.15
「Feelin' Go(o)d」藤井風
■7/26リリースの配信シングル
■「ランドリン」CMソング
■「満ちてゆく」以来5か月ぶり、今年3曲目、通算12曲目のエントリー
3月にリリースした「満ちてゆく」が大ヒットし、現在もチャートにエントリー中の藤井風さん。5か月ぶりとなる新曲が入ってきました。7月26日にリリースされた配信シングルで、「ランドリン」(フレグランス)のCMソング。藤井風さんはCMでナレーションも担当しており、これがまたセクシーなのでぜひチェックしてみてください(YouTubeで公開になっています)。配信とオンエアで圧倒的なポイントを稼ぎ、順当な位置からエントリーを決めてきています。最近は10位台からの初登場が定番化しており、貫録すら感じさせますね。
プロデューサーは昨年の「花」でもタッグを組んだA.G.Cookさん。私はCookさんのプロデュースが好きで、何というかすごく「熟れ」を感じるおしゃれなサウンドですよね。藤井風さんの他には、宇多田ヒカルさんなどの楽曲もプロデュースしていますが、本当に素晴らしいプロデューサーだと思います。楽曲のテイストですが、これまでの藤井風さんにはなかったポップでワクワクさせるようなサウンドですよね。
藤井風さんのコメントがまたかわいらしいんです。「4つのシングルをリリースした後の、かわいいデザートみたいな曲になりました。お口に合えばいいな^^」ですって。いやあ、デザートとはなんと洒落ていて、言い得て妙でしょうか。ポップさの中にうっとりするような甘美さがあり、風さんのコメントを借りれば「口当たり」は最高。夏の時期にサクサクと聴ける、まさにFeel’in Go(o)dな楽曲だと思います。「花」「満ちてゆく」という大型ヒットを連発し、ご本人はデザートみたいと評する楽曲ですが、この曲の出来も相当にいいと思いますね。というわけで、デザートでも大ヒットを期待したいと思います。
圏外曲
先週39位「ハチス」折坂悠太
IN【2】TOP10【0】HIGH【35】8P
先月のスマッシュブレイク、3曲のうちの1曲。6月26日にリリースされたアルバム「呪文」のラストに収録されたナンバーです。オンエアを受け、7月20日に35位で初登場。2019年8月の「朝顔」以来約5年ぶりのエントリーでした。しかし、先週は39位に即落ち。月をまたぐことなく、2週で圏外となっています。前回の「朝顔」は1週きりでしたから、それに比べれば1週増えましたが、それにしても約5年ぶりのエントリーが2週というのは寂しいものでした。スマッシュブレイクが2週のエントリーというのもまた寂しい限りです。7月は新曲が異常に強く、スマッシュブレイクはどうしても厳しい戦いを強いられましたね。
先週36位「SWEET NONFICTION」NiziU
IN【19】TOP10【8】HIGH【3】???P
NiziUが3月14日にリリースした配信シングル。2月の「Memories」から2か月連続の配信作で、こちらは映画「恋わずらいのエリー」主題歌です。配信セールスを受け、3月23日に29位で初登場すると、翌週は17位にジャンプアップ。3週目に6位でトップ10入りしました。2月の「Memories」との入れ替わりでのトップ10入りで、「Memories」もそこそこ長くヒットしていましたから、理想的な入れ替わりとなりました。そこからはトップ10に定着。少しずつ順位を上げ、5週目に3位を記録したのが最高位です。
翌週からは1~2ランクずつ順位を下げていきますが、トップ10には定着。安定の推移でトップ10内は8週をマークしました。「Memories」のトップ10内は4週でしたから、倍の長さになり、配信シングルとしてはかなりのヒットです。11週目にトップ10落ちしますが、その後も推移は安定。10位台、20位台には4週ずつと勢いを保って長くエントリーしていました。最後はEPから「RISE UP」がエントリーして大きく下げますが、それでもトータルは19週と非常に長く、大台の20週に迫る好記録となりました。
トータル19週は、自身4番目の長さとなります(この曲の上は昨年年間入りした「Paradise」「Blue Moon」「COCONUT」の3曲です)。19週で4番目というのは非常にハイレベルで、NiziUの安定ぶりを示していますね。2月、3月に行った連続リリースは、「Memories」が16週、この曲が19週と大成功。NiziUの辞書に共倒れという文字はなく、ともに好成績を収めました。このいい流れのまま、きっと「RISE UP」も大ヒットすることでしょう。
先週31位「Bling-Bang-Bang-Born」Creepy Nuts
IN【29】TOP10【19】HIGH【1】???P
えっ
31位から圏外になることはたまにありますが、まさかこの曲が圏外になろうとは思ってもいませんでした。押しも押されぬ、今年を代表する楽曲となったこの曲。トップ10落ち後も安定した推移で8週チャートにランクインしており、大ダウンは1度もありませんでしたが、先週の31位から突然の圏外となりました。私は、wikiで30週以上エントリーしたランクインした楽曲を記録しています。30週以上の楽曲は極めて数が少なく、これを超えればレジェンド級のヒットと言えると思いますが、この曲はそこに王手をかけたところでまさかの急落、圏外になりました。レジェンドの壁はあまりにも高かったようです。
最後だけは無念でしたが、全体を振り返れば本当に素晴らしいチャートアクションでした。1月13日に39位で初登場。Creepy NutsはJ-ACでそこまで強くなく、過去にはトップ10入りすらしていません。ですから、正直そこまで注目していなかったですね。しかし、全世界的なヒットとなり、週間300万回以上も再生されたことで、「これはどうやらちょっと今までと違うぞ」と目の色が変わりました。翌週は22位まで特大ジャンプアップを決めると、さらに上げて3週目は9位。これまで1度もトップ10入りしたことなかったのがウソのようにトップ10入りしたことが、この曲の類まれなる勢いを物語っています。
トップ10内では少しずつ順位を上げ、5週目に3位を記録。いったん下げますが、7週目に2位を記録。またしても下げますが、負けじと再浮上し、5位から4位にとどまっていました。配信が圧倒的に強かったので上位をキープできたようです。そうしているうちにCDがリリースされ、このセールスが加算されたことで12週目に1位を獲得。初のトップ10入りどころか、なんと初の1位獲得となりました(とはいえ、この頃はすっかり今年を代表する曲として定着しており、まさかという感じは全くなかったですね)。そこからは堂々の3連覇。遅咲きにしては見事な連覇だったと思います。首位陥落後も4週にわたりトップ5にランクインしており、勢いは衰えませんでした。結局、21週目までトップ10にランクインし、トップ10内は驚異の19週となりました。
(私は、トータル30週、トップ10内20週をレジェンド曲の条件だと思っていますが、この曲はどちらも1週ずつ足りません。まるで、レジェンド枠に入らないよう調整でもされているかのようです)
トップ10落ち後は前述のとおり、8週チャートインし、トータルが29週です。トップ10落ち後8週のうち、5週は10位台ですから、圏外になる直前までずっと強かった印象ですね。これだけの強さですから、年間入りは100%当確です。というか、もはや隠す必要もないので書きますが、2024年の上半期はこの曲が1位でした。あとは、ここから5か月でこれを上回る曲があるかどうかです。年間最上位争いが最終的にどうなっているか、年末が楽しみですね。
先週30位「whodunit」GLAY×JAY(ENHYPEN)
IN【8】TOP10【2】HIGH【8】198P
GLAYが5月29日にリリースしたCDシングルで、デビュー30周年記念の両A面シングルです。こちらはグローバルグループENHYPEN(エンハイプン)のJAYさんとのコラボ。周年記念に相応しい大型コラボになりました。初回1.8万枚と素晴らしいCDセールスに加え、オンエアも好調だったことにより、6月8日に20位の好位置に初登場。翌週は11位まで上げ、3週目に10位でトップ10入りしました。トップ10入りは2022年の「Only One, Only You」以来3作ぶりです。さらに上げ、4週目には8位を記録。「Only…」の最高9位を上回り、2021年以降では最高順位となりました。
ここまでは絶好調でしたが、翌週は11位でトップ10落ちし、トップ10は2週にとどまりました。まあ、GLAYの場合、2016年の「超音速デスティニー」以降7曲がトップ10入りしていますが、トップ10の長さは全てが2~3週であり、長期トップ10入りがありません。今作もそこは見事に「前例どおり」でした。トップ10落ちしてからは急落。16→24→30位と真っ逆さまで、最後は30位から一気に圏外となる悪い推移でした。トータルは8週で、2ケタに届かないのも「あるある」。これで7作連続となっています。
後半に失速し、結局いつもどおりの成績にとどまってしまったわけではありますが、10位台にも入れなかった前2作からは大きく成績を回復させ、久しぶりに8位まで上昇したのですから価値のある1作でした。メモリアルリリースとして、それなりの格好は付いたでしょう。