皆さんこんにちは。

 「J-AC TOP40」2024年6月15日付けチャートの初登場曲、圏外曲を振り返ります。

 

 

  初登場曲

 

 

 今週の初登場曲は5曲でした。

 なお、初登場予想が的中した曲は5曲中2曲でした。

 

 

No.40

 

 

「ハミング」幾田りら

■6/1リリースの配信シングル

■「めざましどようび」テーマソング

■「青春謳歌」以来2か月ぶり、今年2曲目、通算11曲目のエントリー

 

 チャートの幕開けを涼しげに飾ってくれたのは幾田りらさん。6月1日にリリースされた配信シングルで、「めざましどようび」のテーマソングに起用されている楽曲です。タイトルどおり、軽やかなハミングがとても心地よくて、朝にぴったりの楽曲ですね。YOASOBIのikuraさんとはまた違う、幾田りらさんのよさが現れた良曲だと思います。2週連続で初登場予想に挙げていた私は、とりあえずエントリーしてくれてにんまりです。

 

 幾田さんは作詞・作曲を担当。「少しだけ明日が生きやすくなるよう、自分に優しくなれたら」という暖かな気持ちを込めたそうです。このコンセプトを知って、ますますこの曲が好きになりましたね。肩肘張らない、自然体な生き方に向かわせてくれる楽曲だと思います。そんな生き方を実現するためには、他人に優しくすることもそうですが、自分に優しくすることが大切なんでしょうね。この曲を聴きながら、そんな精神を思い出したいと思います。

 

 anoちゃんとコラボした「青春謳歌」以来2か月ぶりのエントリーですが、「青春謳歌」はまさかの1週圏外で撃沈してしまいました。今作では再浮上のきっかけをつかめるでしょうか。1週遅れ、かつ40位と極めて厳しい出足ですが、何とか来週以降も聴けることを願っています。

 

 

No.37

 

 

「Blues in the Closet」ずっと真夜中でいいのに。

■6/6リリースの配信シングル

■映画『好きでも嫌いなあまのじゃく』挿入歌

■「嘘じゃない」に続き今月2曲目、今年2曲目、通算9曲目のエントリー

 

 映画「好きでも嫌いなあまのじゃく」挿入歌。ずとまよ。といえば、同映画の主題歌「嘘じゃない」が2週前にエントリーしたばかりですが、なんと中1週で挿入歌もエントリーしてきました。「主題歌と挿入歌が入れ替わったのかな?」と思いきや、「嘘じゃない」は33位で残留を決めており、ダブルエントリーということになりました。

 

 ずっと真夜中でいいのに。は通算9曲目のエントリーですが、ダブルエントリーを決めたのはこれが初めてです。同じ映画からOPとED、あるいは主題歌と挿入歌が入ってくることはよくありますが、同一アーティストによる主題歌と挿入歌が両方入ってくるというのはあまり記憶にありません(どちらか片方がセレクトされることが多いように思います)。ともに30位台とはいえ、このダブルエントリーは快挙といってよいのではないでしょうか。ずとまよ、かなりこの番組的にも期待のアーティストなのかもしれないですね。

 

 アップテンポだった「嘘じゃない」とは異なり、こちらはかなりスローテンポないわゆるチルソングです。「クローゼットの中のブルース」という狭い世界感が感傷的でいいなと思います。「ずっと真夜中でいいのに。」というアーティスト名にもぴったりで、あるいは自分たちの世界観を象徴するような、そんな立ち位置の楽曲なのかもしれません。まどろみを感じさせるACAねさんのボーカルがいいですね。ハイトーンボイスも映えるんですが、こういうウィスパー系の楽曲にもよく合います。ずとまよ。の異なる魅力を一挙に味わえる、非常にいい主題歌と挿入歌ではないでしょうか。

 

 快挙といえるダブルエントリーを決めたずとまよ。これを何週継続できるか、そして最高位はどこまで行けるか、来週からの見どころとなりそうです。

 

 

No.35

 

 

 

「誰我為」TK from 凛として時雨

■6/5リリースのCDシングル

■アニメ「僕のヒーローアカデミア」第7期OPテーマ

■2022年10月の「first death」以来1年8か月ぶり、3曲目のエントリー

 

 TKfrom凛として時雨が6月5日にリリースしたシングル。このチャートにも主題歌がよく入ってくるおなじみのアニメ、「僕のヒーローアカデミア」第7期OPテーマに起用されている楽曲です。CDセールスは初週1,700枚(24位)と正直そこまでではありませんでした。しかし、安心と信頼の「ヒロアカ」ブランド効果もあったのか、エントリーを決めてきましたね。

 

 TK from 凛として時雨は、以前までJ-ACにエントリーしてくるアーティストではありませんでした。しかし、2022年に稲葉浩志さんとコラボした「As long as I love」で潮目が変わりましたかね。「As long as I love」はトップ10入りするヒットになり、以降もチェンソーマンのEDに起用された「first death」、それにこの曲と来て、これでシングルは3作連続のエントリーです。今後は常連化していくのかもしれないですね。

 

 今期の「ヒロアカ」は、最強の敵との最終決戦が描かれるそうです。TKさんの激情的なボーカルは、最終決戦に向けてボルテージが高まっていく今期にぴったりかもしれないですね。TKさんは、「奪われながら、痛みすら手に入れながら続くこの戦いは自分のためか、誰かのためか。ボロボロの世界に射し込む輝きがこの楽曲と共に刻まれますように」とコメント。「誰我為」というタイトルは戦いの目的を問うたものなんですね。私はアニメ未視聴なので多くを語れませんが、最終決戦に向けての悲壮な決意みたいなものを感じますね。

 

 CDセールスがそこまででないので、正直あまり高望みはできないと思います。まずは残留、それができれば20位台、それ以上を目指していくことになるでしょう。

 

No.34

 

 

「オン・ザ・フロントライン」ヒトリエ

■6/5リリースのCDシングル

■アニメ「無色転生」OPテーマ

■「3分29秒」以来3年ぶり、2015年以降で2曲目のエントリー

 

 今週は常連アーティストのリリースが少なく、私は先週の予想曲を3曲も再予想に挙げました。いわゆる「穴場週」に当たるため、普段はあまり名前を見かけないアーティストが入ってくることになったようです。こちらはヒトリエの最新シングル。2014年メジャーデビューで長いキャリアを数える彼らですが、このチャートにはあまり縁がなく、エントリーは2021年6月の「3分29秒」(最高32位、2週)以来3年ぶり2曲目だと思います。

 

 CDセールスは約1,500枚で初登場28位でした。普段、このくらいの枚数ではエントリーしないことも多いのですが、今週は前述のとおり「穴場週」だったため、1つ上のTKと同じく入ってくることができたようです。

 

 あるいは、これもTKと同じですが、「アニメ効果」もあったのかもしれませんね。こちらはアニメ「無色転生~異世界行ったら本気だす~」のOPテーマ。「なろう系小説」の先駆的作品だそうで、今年の4月から第2クールが放送されています。ヒトリエは、「本当に守らねばならないものは何だろう、強く在らねばならない理由は何だろう」ということに思いを巡らせて楽曲を制作したということで、その結果かなり「筋力的」な曲になったとコメントしています。「筋力的」とは非常に面白い表現ですが、言いえて妙だと思いますね。芯の通った、意志の強い楽曲で、シリアスなひたむきさを感じます。先程のTKと共鳴するような感じもしていいですね(同日リリースで、順位も1つ違い)。

 

 2015年以降で2曲目なので実力は全くの未知数ですが、これもTKと同じく、まずは20位台以上を目指すところでしょう。

 

 

No.29

 

 

「ルバート」ヨルシカ

■5/29リリースの配信シングル

■「晴る」以来5か月ぶり、今年2曲目、通算18曲目のエントリー

 

 アニメ「葬送のフリーレン」第2クール主題歌に起用された「晴る」が自身最大のヒットとなったヨルシカ。その「晴る」が先週36位から圏外となり、22週にわたる長期エントリーを終えたタイミングでこの曲が入ってきました。1週の重なりもない理想的な入れ替わりで、これでヨルシカは曲を変えて23週連続のエントリーです。

 

 こちらは5月29日リリースの配信シングル。6月26日にはアナログ盤もリリースされます。特徴としては、「ブレーメン」との2曲入りで発売されるということです(「ブレーメン」がA面、この曲がB面)。なお、ヨルシカがアナログ盤をリリースするのは初めてで、リリースに合わせてグッズも発売になるそうです。とても楽しみですね。

 

 「ブレーメン」は2022年7月の楽曲ですが、配信限定シングルであり、そこまで目立った曲ではありませんでした。J-ACでも最高34位、2週という低成績に終わっています。それが、約2年たって再びこういう形でスポットライトが当たるというのが意外で、かなり面白いリリースだなと思いましたね。

 

 ジャズのテイストを取り入れた洒落たメロディーが特徴で、歌詞では「楽しい!」というフレーズが連呼されています。ちなみにルバートとは、「自由なテンポで演奏すること」を意味する音楽用語です。さぞ楽しい楽曲なのかと思いきや、実はそうではないというのがヨルシカらしい文学的なところ。この曲では、「忘れること」「亡くす」ことの悲しさが歌われているんですね。歌詞中には「レコード」が登場し、いわゆるキーアイテムになっています。この時代にあえてアナログ盤のレコードをリリースする意味ですが、おそらく「残るもの」「手に取れるもの」をというこだわりがあるんでしょうね。デジタルで様々なものが消費されていく現代で、ちょっと立ち止まって実際に手に取るという体験。そのことの意味、価値は大きいと思います。

 

 配信限定シングルですが、すでに200万回超再生と好調です。さすがに「晴る」ほどとは言いませんが、それなりの好成績を期待したいですね。また、26日にアナログ盤がリリースされるということで、セールスがダイレクトに加算されることはないと思いますが、そのリリース効果による上昇も期待されるところです。

 

 

 圏外曲

 

 

先週40位「Welcom to life」SATOH

IN【3】TOP10【0】HIGH【36】9P

 

 SATOHが5月1日にリリースした配信シングルで、α-station5月のスマッシュブレイク。初エントリーです。5月25日に38位で初登場。これは5月の最終週で、通常より1週遅いタイミングでした。翌週はオンエア効果でランクアップしますが、36位止まり。オンエアが減少した先週は40位まで下げてしまい、そこで圏外となりました。最高36位のトータル3週で、スマッシュブレイクの中ではかなり低い方です。同時にエントリーしたもう1曲のスマッシュブレイク、KOTORIよりも低く、精彩を欠きました。出遅れが響き、浮上のきっかけをつかめませんでしたね。昨年後半から好調な成績が続いていたスマッシュブレイクでしたが、5月は勢いに冷や水をかける結果に終わりましたね。6月のスマッシュブレイクはどうでしょうか。順当なら、来週が入ってくるタイミングです。

 

 

先週38位「リズム64」あいみょん

IN【18】TOP10【7】HIGH【4】???P

 

 あいみょんが2月2日にリリースした配信シングルで、資生堂のCMソング。意外や意外、あいみょんにとっては初のCMソングです。先程のNiziUと同じで、配信限定シングル、かつ後発曲(「会いに行くのに」)が控えていたため、やや苦しいのかなと思っていました。しかし、蓋を開けてみればかなりの好成績で、NiziUもあいみょんもさすがの強さを見せてきたなという感じがします。

 2月10日に19位で初登場。翌週は12位で、3週目に6位でトップ10入り。翌週はさらに上げ4位でしたが、これが最高位となりました。あいみょんは、CDシングルなら1位が多いですが、配信シングルやアルバム曲だと最高5位前後に落ち着く傾向があります。今回も最高位は4位で、前例どおりという感じでした。ただし、トップ10は過去作に比べ長かったです。4位から下げた後も、6→6→5位と推移し、トップ10内は7週でした。前の配信シングルである「ノット・オーケー」が4週(全て10位)だったことを考えると、かなり伸ばしていますし、配信では最高成績ではないかと思います。

 10位台でも安定しており、10位台前半に3週、10位台には6週もランクインしていました。しかし、15週目以降は「会いに行くのに」が急上昇してきた反動で急落。最後は1週粘り、トータルは18週となっています。

 最後の急落だけは惜しまれますが、トップ10内7週に加え、10位台にも8週(2+6週)ですから、ポイントはかなり伸びています。年間入りは確定で、中位まで食い込んできそうです。あいみょんが配信限定でここまで伸ばしたのは初めてですかね。さすがCMソングという活躍ぶりでした。この曲の勢いがシングルの「会いに行くのに」にも持続しているようで、非常に好循環だと思います。

 

 

先週36位「晴る」ヨルシカ

IN【22】TOP10【12】HIGH【2】???P

 

 アニメ「葬送のフリーレン」第2クールOPテーマ。「花に亡霊」「春泥棒」に続く1位とはなりませんでしたが、通算エントリーは22週で、17週、19週の両作品を上回る自己最長記録。トップ10内の12週も自己最長記録で、自身最大のヒットといって差し支えないでしょう。見事なヒット作になりました。

 ちなみに、ヨルシカの三大ヒット作ともいえそうなこれらの作品は、全て「は」から始まっているのが面白いところです。「花」に「春」に「晴れ」ですか。美しい組み合わせだなあ。偶然ではなくて、ヨルシカのことですから、もしかして点と点がつながっているのかもしれませんね。

 1月13日に34位で初登場。この週は「BBBB」「タイムパラドックス」それにこの曲がエントリーするというすごい週でした(全て年間上位に行きます)。今年1番の豪華週になったでしょうね。翌週は18ランクと目が覚めるような上昇で16位。そして3週目に7位でトップ10入りしました。そこからも上げていき、5週目に最高2位を記録。配信限定のため、1位こそ届きませんでしたが、2位と3位を3週連続で記録していました。特筆すべきはトップ10下位に下げてからの粘りです。10週目に9位に下げるのですが、そこから9→10→9→8→9位と推移。なんと5週も粘っていました。この結果、トップ10内は12週と2ケタ超え。2ケタは難しいと思われたところから粘りに粘り、12週まで伸ばしたのは見事の一言です。

 トップ10落ち後も安定の推移で8週にわたりエントリー。急落はなく、10位台、20位台、30位台とバランスよく刻みました。この結果、トータルは大台超えの22週です。配信シングルとしては破格で、非の打ちどころがありません。最近、微妙な成績を出すことも多かったヨルシカですが、今作では気を吐き、見事な成績を残しましたね。年間チャートは上位ランクインが確実。トップ20はまず間違いありません。「花に亡霊」「春泥棒」はいずれも年間13位でしたが、この曲は周囲のレベルによっては初の年間トップ10入りも十分に狙えそうな状況です。

 

 

先週35位「オーバードライブ」KOTORI

IN【3】TOP10【0】HIGH【24】15P

 

 SATOHと同じく、先月5月のスマッシュブレイク。5月最終週に39位で初登場。初登場はSATOHの1つ下でしたが、翌週は5ランクの34位と大きめに上げて向こうを逆転。先週は35位にとどめましたが、オンエアが尽きたことで圏外になり、トータルは3週でした。

 SATOHの成績を少しだけ上回ってはいるものの、正直どんぐりの背比べレベルであり、5月のスマッシュブレイクは2曲とも低調な成績に沈みました。やはり、エントリーの遅れが響いたということになるでしょう。月の最初からオンエアされているのに、入ってくるのが最終週というのはちょっと遅すぎるように感じます。エントリー直後にオンエアが消滅するので、結局こういう風に3週しかエントリーできないんですよね。周囲の曲のレベルなど、いろいろと事情はあるのでしょうが、スマッシュブレイクは3週目、5週ある月は4週目にに入ってくるようにしてほしいです。ちなみに、来週が6月の4週目で、6月のスマッシュブレイクに入ってほしいタイミングとなります。

 

 

先週31位「タイムマシン」SEKAI NO OWARI

IN【13】TOP10【5】HIGH【6】???P

 

 3月5日リリースの配信シングルで、映画「赤ずきん、旅の途中で死体と出会う」主題歌(何度見てもすごいな)。配信オンリーながら、堅調なヒットとなりました。

 配信が好調で、3月16日に15位と高い位置で初登場。翌週はジャンプアップで7位とトップ10入り。初動は抜群でしたが、ここから頭打ちとなり、翌週の6位が最高成績でした。このあたりは配信限定の宿命というか、伸びにくいところがあります。そこからは7位、8位、9位と1ランクずつ下げ、7週目に11位でトップ10落ち。トップ10内は5週で、CDシングルならやや控えめといった感じですが、配信なので良好な成績といえるでしょう。

 トップ10落ち後はそれなりに粘っており、10位台には4週残っていました。新曲「Romantic」が入って苦しくなるのかなと思っていましたが、しばらくは頑張っていましたね。しかし、今週は力尽きてしまったようで、先週の31位から一気に圏外。幕切れだけは残念でしたが、トータルは13週でしっかりロングエントリーに乗せており、このあたりも堅調だったと思わせるゆえんです。トップ10内に5週のトータル13週というところで、一昔で言うところの典型的な「年間40位水準」です。最近はややボーダーが上がっており、年間入りするかどうかは微妙ですが、10位台で4週頑張ったため、ポイントはそれなりです。ボーダーが上がりすぎなければ年間入りしてくる水準だと思います。

 この曲の後にエントリーした「Romantic」もこの曲同等、あるいはそれ以上のヒットを飛ばしているセカオワ。順風満帆の活躍が続いており見事ですね。