皆さんこんにちは。

 「J-AC TOP40」2024年5月25日付けチャートの初登場曲、圏外曲を振り返ります。

 

 

  初登場曲

 

 

 今週の初登場曲は6曲でした。

 なお、初登場予想が的中した曲は6曲中5曲でした。

 

 

No.39

 

 

 

「オーバードライブ」KOTORI

■5/29リリースの配信シングルより、5/15先行リリースの配信シングル

■α-station 2024年5月のスマッシュブレイク

初エントリー

 

 α-station、今月のスマッシュブレイクが登場です。皆さんご存じのとおり、今月のスマッシュブレイクは3週目までエントリーできないという厳しい状況に置かれていました。今週エントリーできなければ、月が変わってしまいますからエントリーの可能性は事実上消滅です。非常に厳しい状況でしたが、まさに「滑り込みセーフ」とでもいいましょうか、最終に39位という位置で初登場を決めてきました。

 

 KOTORIは、2014年に埼玉で結成した4ピースバンド。スマッシュブレイクのアーティストでは珍しい、かなり長いキャリアを持ったバンドです。ボーカル横山さんのエモーショナルな歌声と、生々しくも卓越したパフォーマンスが持ち味とのこと。私はこの曲、「マイヘア(My Hair is Bad)っぽいな」と思いました。すごくパワフルで、楽曲という枠には収まり切らないエネルギーを感じましたね。オーバードライブというか、オーバーフローしている感じがします。5月29日にアルバム「KOTORI」をリリース(お、自信のあらわれと言われるセルフタイトル!)。この曲はそこからの先行配信です。オンエアが多いのは来週までですが、アルバムリリース効果で上を目指していけるかに注目です。

 

 

No.38

 

 

「Welcome to life」SATOH

■5/1リリースの配信シングル

■α-station 2024年5月のスマッシュブレイク

初エントリー

 

 崖っぷちに追い込まれていた5月のスマッシュブレイクその2。こちらも最終週に滑り込みでエントリーということになりました。

 

 SATOHは、2人組ロックデュオです。コロナの期間に活動を本格化し、シークレットパーティーなどを開催してきました。今作は5月1日にリリースされた3枚目の配信シングル。大量オンエアを獲得し、初エントリーを決めています。この曲「Welcome to life」は、人生をテーマにした楽曲。エモーショナルで独特な言い回し、それに心地よいメロディラインが印象的な楽曲です。すごくサクサクと聴ける印象で、夏のドライブなんかにもぴったりだと思いましたね。初エントリーおめでとうございます。


 さて、今月のスマッシュブレイクは最終週に38位&39位という限りなく低い出足になりました。来週にはオンエアがなくなり、厳しくなることは目に見えていますが、それでもエントリーするのとしないのでは天と地ほどの違いがあります。エントリーをつかんだのですから、1つでも上の順位を取ってほしいですね。

 

No.32

 

 

「世界feat.Moto from Chilli Beans&Who-ya Extended」KERENMI

■5/6リリースの配信シングル

■Honda VEZEL CMソング

初エントリー

 

 本日は、なんと3曲連続の初エントリー。非常にフレッシュなチャートとなっています。こちらはKERENMI(ケレンミ)。蔦屋好位置さんによるプロジェクトで、毎回異なるアーティストをフィーチャリングに迎えて展開されています。「ケレンミ」というのは、歌舞伎用語でいろいろな使われ方をしますが、ここでは「粋な計らい」のような意味でつかわれているのかと思います。粋なプロデュースを連発される蔦屋さんにはピッタリの「屋号」です。

 

 今回フィーチャリングに迎えたのは、このチャートでもおなじみのChilli BeansからボーカルのMotoさん、それにクリエイターズユニットの「Who-ya Extended(フーヤエクステンデッド)」です。「Who-ya Extended」は、メインのWho-yaさん以外は流動的なメンバーで活動しているユニットです。この2組と、蔦屋さんによるプロデュースが最高に融合して、本当にかっこいい曲に仕上がっていますよね!疾走感とエモーショナルさが溢れる楽曲で、気付けば何度でも聴いてしまう良さがあります。VEZELのCMソングに起用されたということで、思わず頷きましたね。VEZELのCMソングってすごくかっこいいんです。藤井風さんの「きらり」とか、サチモスの「SATY TUNE」とか。この曲もそこに加わるに相応しい快作でしょう。

 

 このお洒落さがα-stationで受けており、オンエアが絶好調です。今週は7回、先週は5回もオンエアされ、上2つのスマッシュブレイクにも負けじとも劣らぬ好調さです。このオンエアが評価され、見事初エントリーをつかみました。こういうハイクオリティーの楽曲がオンエアポイントで入ってくる。これこそラジオの魅力だと思いますし、最高ですね!

 

No.30

 

 

「Dear」Mrs.GREEN APPLE

■5/20リリースの配信シングル

■映画「ディア・ファミリー」主題歌

■「ライラック」から2か月連続、今年3曲目、通算18曲目のエントリー

 

 現在「ライラック」がトップ5でヒットを飛ばしているミセス。最高位である4位の更新はどうも難しそうですが、息を付く間もないままさらなる新曲を送り込んできました。5月20日リリースの配信シングルで、映画「ディア・ファミリー」主題歌の「Dear」です。

 

 「ライラック」がサクサクと軽快に聴ける最近お得意のミセスサウンドだったのに対し、こちらは壮大なアレンジが印象的なミディアムロックナンバーです。合唱曲にしたらすごく映えそうだなと思いました。重層的な声と音の重なりが壮観で、迫力のある楽曲です。この曲のMVでは、ミセスのバンド演奏がフォーカスされています。ミセスのバンドスタイルはあまり印象がなかったのですが、それもそのはず、MVで全面的にバンド演奏を披露するのは、2019年の「インフェルノ」以来みたいですね。ミセスは、バンド演奏というより曲で魅せてきたバンドだと思うので、こういう「ド直球」な演奏スタイルは一周回ってシンプルです。しかし、この真剣な曲には直球の演奏スタイルが合うという判断なんでしょうね。楽曲の雰囲気とすごく合っていてよいと思います。

 

 現在、「Soranji」から5曲連続でトップ10入りと絶好調なミセス。今回は「ライラック」とのダブルエントリーという難題がありますが、それでもトップ10入りできたなら大したものです。そういう意味では「真価」が問われるところで、これがどう出るでしょうか。

 

No.24

 

 

「冷めちゃう」[Alexandros]

■5/15リリースのEPより

■「todayyyyy」以来4か月ぶり、今年2曲目、2015年以降では17曲目のエントリー

 

 [Alexandros]が5月15日にリリースしたEP「SINGLE1」の1曲目に収録されている楽曲。「SINGLE1」は、この曲や、1月にJ-ACにエントリーしていた「todayyyyy」(最高38位、3週)など全4曲入りのEPで、約2年ぶりのパッケージリリースとなります。シングルチャートでは初週1.1万枚を売り上げ、初登場7位を記録。これにより、「todayyyyyy」とは比べ物にならない好位置、24位から初登場しています。CDリリースの効果は絶大ですね。

 

 この曲「冷めちゃう」は、今までに全くなかった、惹きつけられるタイトルの楽曲だと思います。楽曲を再生するまで、どんなタイプの楽曲なのか、得体の知れない楽しみがありました。聴いてみたら、クールに熱い、そんな楽曲でした。バンドサウンド、川上さんのボーカルはいずれも低音が目立ちますが、あえて低くしている感じがすごくクールで、アレキの新境地という感じがします。アイスクリームをバーナーであぶっているような、冷たさと熱さの融合を感じます。この曲に「冷めちゃう」というタイトルを持ってきたのは実に秀逸だと思いますし、得体の知れなかったタイトルがすとんと落ちてきた感じがしました。

 

 パッケージリリースは2022年2月の「Rock The World」となるアレキ。「Rock The World」は最高3位、12週というかなりの好成績でした。以来は低調な成績が続いており、ここで一つ、いいところを見せられるかというところです。

 

No.19

 

 

「運命」sumika

■5/15リリースのEPより

■アニメ「ダンジョン飯」OPテーマ

■4月27日以来、4週ぶりのリエントリー

 

 sumikaが5月5日にリリースした「Unmei e.p.」より、表題曲に起用されている楽曲で、アニメ「ダンジョン飯」のOPテーマです。先行配信により、4月13日にエントリー。3週エントリーで圏外になっていました(36→36→40位)。今回、EPのセールスが加算され、4月27日以来4週ぶりのエントリーということになりました。ちなみに、EPのセールスは初週1.1万枚で初登場8位でした。7位のアレキとはわずか25枚の差でしたね(!?)。セールスはアレキがわずかに上でしたが、チャートの順位ではsumikaが5つ上回っています。

 

 さて、sumikaといえばリエントリーというイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。それもそのはず、今回がなんと3度目のリエントリーです。1度目が2021年の「Shake&Shake」、2度目が昨年の「Starting Over」、それに続く3回目が今回ですね。2015年以降で3回もリエントリーしているのはsumikaだけです。なかなか珍しい記録が生まれましたね。「ミスター・リエントリー」とでも呼べばよいのでしょうか笑 リエントリーは、いずれも先行配信→CDというパターンです。先行配信で入ってくるが、チャートインし続けるだけの力はない、しかしCDで戻ってくる。そういうことを3回も繰り返しています。

 

 3度目のリエントリーとなったsumikaですが、リエントリー後の成績はどうなるでしょうか。「Shake&Shake」は25位でリエントリーし、最高位は14位、エントリーが7週、そして「Starting Over」は21位にリエントリー、最高位12位、エントリーは10週でした。この曲は、前の2曲よりリエントリーの順位が高く、前の2曲が届かなかったトップ10入りに期待が持たれますね。それと、前回3週エントリーしていますので、あと10週エントリーすれば合わせ技でロングエントリーということになります。リエントリー後の成績に注目です。

 

 

 圏外曲

 

 

先週40位「風に戦ぐブルーズfeat.TAKUMA(10-FEET)」東京スカパラダイスオーケストラ

IN【1】TOP10【0】HIGH【40】1P

 

 ちょっとこれはひどすぎますね。絶句するしかないです。

 東京スカパラダイスオーケストラが10-FEETのTAKUMAさんを迎えて制作した配信シングル。5月11日のコメントゲストに登場し、翌週に40位で初登場しました。しかし、配信セールスが乏しかったのか、わずか1週で圏外となりました。

 オンエア回数は、過去3週で4+4+1回でした。先週はJ-ACしかオンエアがありませんでしたが、その前はチャート以外で4回もオンエアされています。これだけオンエアがあれば、今週はさすがに圏外はないかなと思って見ていました。初登場40位は異常に低かったですし、そこからバッサリと切られたのもかなりの冷遇に思えます。オンエア以外が寂しかったのかもしれませんが、それにしてもあまりにも寂しい幕切れでした。

 スカパラは、ここ最近成績が下降しておりはっきり厳しいです。前回の「るろうの形代」も1週で圏外になりましたが、CDのセールスで何とか戻り、+4週エントリーしました。しかし、今作は今のところCDセールスの予定はないようです。このまま戻ってこないようなら、バンドの立ち位置は非常に厳しいものになるでしょう。

 

 

先週39位「大胆」WANDS

IN【5】TOP10【0】HIGH【21】69P

 

 WANDSが4月10日にリリースしたシングルで、映画「名探偵コナン vs. 怪盗キッド」主題歌。劇場版最新作の前に公開されている「おさらい」用の総集編です。

 4月20日に23位で初登場。これは、新体制となってからは自己最高位で、最高のスタートを切りました。翌週はアップしますが、21位でトップ20には届かず。3週目は24位にダウンし、4週目からは急落。最後は10ランクダウンで姿を消し、トータルは5週でした。

 初動が高い割にはほとんど伸びず、CDセールス以外のポイントに乏しいことが明らかになりました。とはいえ、トータルポイントの69は2020年以降にエントリーした5曲では最高成績です。これまでとほとんど変わらなかったものの、若干伸ばすことができたといえるでしょう。

 

 

先週37位「何色でもない花」宇多田ヒカル

IN【13】TOP10【1】HIGH【10】???P

 

 宇多田ヒカルが2月12日にリリースした配信シングルで、月9ドラマ「君が心をくれたから」主題歌。4月10日にはこの曲も収録したベストアルバムがリリースされ、こちらもまた話題になっています。

 2月24日に21位で初登場。12位、11位と上げていきます。これは奇しくも前作「Gold」と全く同じでした。「Gold」はそこからトップ10入りを逃したんですね。嫌なムードが漂いましたが、翌週は10位でトップ10入り。見事前作の借りを返したということになりました。ただし、トップ10への定着はならず、5週目は12位にダウン。トップ10内は1週に終わっています。

 思い出トップ10になったこの曲ですが、10位台では健闘し、4週にわたりランクインしていました。さらに20位台でも3週と踏ん張り、このあたりはベストアルバムリリースの影響もあったのではないかと思います。10位台以下での粘りが実を結び、トータルは13週のロングエントリー。宇多田さんのトップ10入り、ロングエントリー到達は、いずれも2021年末の「君に夢中」以来3作ぶりです。「BADモード」「Gold」が今一つ伸び切らなかったですから、少し調子を戻したということがいえるでしょう(トップ10が1週なので、完全復活という感じではないです)。トータルは200ポイント台の後半。それなりに健闘しましたが、年間には少し届かなさそうな感じです。

 

 

先週36位「輝けるもの」ACIDMAN

IN【17】TOP10【4】HIGH【5】???P

 

 ACIDMANが1月17日にリリースしたシングルで、映画「ゴールデンカムイ」主題歌。ACIDMANは2015年以降でこの曲含め3曲しかエントリーしておらず、最高は2020年の「灰色の街」が記録した6週とこのチャートにあまり縁がありませんでした。しかし、この曲は映画のヒットも手伝っての大ヒット。最高5位、トータル17週という素晴らしい成績になっています。

 1月27日に18位で初登場。翌週に9位でトップ10入り。2ランクずつ上げ、4週目に記録した5位が最高位です。6週目に7位から11に下げ、トップ10は4週でした。そこから10位台に3週。ここまではまあ普通ですが、この曲は20位台での粘りが凄かったですね。11週目には25位から22位に再浮上し、これも手伝って、20位台にはなんと8週も連続でエントリーしていました。back numberの「冬と春」と長く競り合っていましたが、この曲はあのback numberを振り落とし、さらに長い間エントリーしたのだから見事ですね。詳細は把握していませんが、オンエアが長期間にわたり好調だったようです。

 20位台の粘りが大きく、トータルは17週まで伸ばしました。トップ10内(4週)と10位台の成績では正直年間入りは微妙(五分五分)かなという水準でした。しかし、20位台に8週という驚異的な粘りがきき、どうやら年間入りはほぼ確実だと思います。もし、20位台での粘りによって年間入りできたとしたらかなり珍しいですし、価値のある偉業ですよね。この曲の頑張りは見事なものがありましたし、まさにこの曲自身が「輝けるもの」でした。

 

 

先週35位「この世界のあちこちに」アンジェラ・アキ

IN【14】TOP10【0】HIGH【22】189P

 

 ロングエントリーが続きます。これで3曲連続のロングエントリーですが、こちらは前の2曲とはまだ毛色が異なります。最高位22位というのが異色ですよね。最高位は22位ながら、長く長く粘り、トータルは14週のロングエントリーということになりました。

 2月17日に25位で初登場。翌週は24位に下げますが、3週目は30位まで大きくダウン。この時点で、「このまま下げてトータル5週くらいかな?」と思いますよね。ところがどっこい、4週目は26位に再浮上し、5週目には22位まで上げて見せました(これが最高位)。再び下げていきますが、8週目には26位から25位に戻し、2度目の再浮上。さらに29位を2週連続で記録し、これにより、初登場から11週連続で20位台という記録が生まれました。10位台に上げることもなく、かといって30位台にも下げず11週ですからね。かなり珍しい記録で、後にも先にも出てこないのではないかと思います。30位台であと3週入った後、最後は35位で力尽き、トータル14週となっています。

 息の長い粘りは本当に素晴らしかったです。アンジェラさんといえば、かつて「手紙」が66週にわたりエントリーし、2009年の年間チャートでは年間1位を獲得したそうです(私は当時聴いていなかったので、伝聞でしか凄さを知れず残念...)。この曲の粘りは、さすがかつて66週もエントリーさせたアーティストだなと思いましたし、その「威光」のようなものを感じましたね。10年ぶりに日本で活動を再開され、こうやって新曲で健在ぶりを示されたわけです。本当に喜ばしいことだなと思いました。

 

 

先週34位「声明」yama

IN【2】TOP10【0】HIGH【32】16P

 

 ロングエントリーが3曲続きましたが、最後はたった2週で吹き飛ばされてしまった残念曲です。

 yamaが4月27日にリリースした配信シングルで、「SusHi Tech Tokyo2024」テーマソング。1週遅れの5月11日に32位で登場しました。1週遅れのため順位はそれなりでしたが、翌週はあえなく34位に即落ち。そのまま圏外でトータルは2週でした。1週遅れで入ってきたということは勢いに欠けるということで、それがもろに響いています。

 これでyamaは、前作「はなにあらし」が1週、この曲が2週ということになりました。その前が18週(「色彩」)、13週(「slash」)ですからね。これではあまりにももったいない。勢いは完全にしぼんでしまいました。