皆さんこんにちは。

 「J-AC TOP40」2024年5月11日付けチャートの初登場曲、圏外曲を振り返ります。

 

 

  初登場曲

 

 

 今週の初登場曲は5曲でした。

 なお、初登場予想が的中した曲は5曲中3曲でした。

 

 

No.36

 

 

「FORGIVE ME」ちゃんみな

■4/6リリースの配信シングル

■ドラマ「肝臓を奪われた妻」主題歌

■「命日」以来9か月ぶり、今年初、通算5曲目のエントリー

 

 ちゃんみなの新曲が1週遅れで入ってきました。エントリーは昨年8月の「命日」以来9か月ぶりです。「命日」は、自身初のトップ10入りを記録し、最高7位のスマッシュヒットになりましたね。大ヒット曲の次回作ということで期待です。

 

 今作はドラマ「肝臓を奪われた妻」主題歌(すごいタイトルだな...)。タイトルどおり、主人公が肝臓を奪われたところから始まる復讐劇ということで、主演は伊原六花さんです。ちゃんみなの主題歌は非常にクールでスタイリッシュですね。英語と日本語を流ちょうに使いこなし、ボーダーレスな彼女の強みがよく出ています。サクサクと聴けるおしゃれな感じがすごく好きですね。ちゃんみなといえば、イギリスで活動する日本人アーティスト、リナ・サワヤマさんとのコラボ「This Hell」も見事な仕上がりでしたね。これはLGBTQ+コミュニティの取り組みとして制作されたんですが、もの凄いエネルギーに圧倒されました。順調に活躍の場を広げている、そういう印象を受けます。

 

 過去2週のオンエアはありませんが、配信が約50万回と好調で、配信セールスによるエントリーと思われます。配信効果でどこまで伸ばせるかに注目で、「命日」からのいい流れを切らさぬようにしたいところです。

 

 

No.32

 

 

「声明」yama

■4/27リリースの配信シングル

■「SusHi Tech Tokyo 2024」テーマソング

■「はなにあらし」以来半年ぶり、今年初、通算10曲目のエントリー

 

 ちゃんみなと同じく、こちらも1週遅れ。今週は先週入り損ねた曲がエントリーをつかんでいるようです。昨年11月の「はなにあらし」以来となるyamaの新曲で、これでyamaは記念すべき通算10曲目のエントリーです。

 

 「SusHi Tech Tokyo2024」のテーマソング。この「SusHi Tech...」とは何ぞやという話ですが、世界共通の都市課題解決に向けた東京発のイノベーションを創出するとともに、未来の都市モデルを発信する国際イベントということです。「SusHi」は日本の象徴なんですかね。近未来感のあるイベントで、テクニカルなyamaとはピッタリのタイアップだと思います。夢や未来に対する困難と向き合い、過去を振り返りながらも未来へと希望をもって挑戦する姿勢が描かれているそうです。yamaのハイトーンボイスに加速感のあるサウンドが融合し、光の流れを見ているような煌びやかで流麗な楽曲だと思いますね。

 

 昨年11月の「はなにあらし」はまさかのトータル1週に終わったyama。しかし、その前は「色彩」が18週、「slash」が13週と連続でヒットを飛ばしていました。記念すべき2ケタ10曲目、少しでもいい成績で存在感を示したいところでしょう。

 

 

No.27

 

 

 

「こぼれてしまうよ」YUKI

■5/1リリースのCDシングル

■「鳴り響く限り」以来2年ぶり、2015年以降では8曲目のエントリー

 

 2022年の「鳴り響く限り」以来ちょうど2年ぶりとなるYUKIさんのシングルです。今作は「こぼれてしまうよ」と「Hello,it’s me」の両A面。入ってきたのはこちらで、もう1曲の「Hello,it’s me」はファンケルのCMソングです。  

 

 この曲「こぼれてしまうよ」はYUKiさん渾身のミディアムチューン。私は、最初に聴いた時から「言葉の力がすごいな」という印象を持っています。歌詞の1つ1つが、ぐっと心に響き、鷲掴みにしてくるんですね。それはYUKIさんが紡ぐ歌詞の力であり、ボーカルがなす力でもあると思います。曲のタイトルは「こぼれてしまうよ」ですが、歌詞では大切なことがこぼれおちないようにしたい、そういうことを歌っているんですね。1番のサビ、最後に歌われている、「好きなものを好きと言って何も悪くないんだよ そんなことあたりまえの世界にしたいなあ」 というのがこの曲の骨子かと思うのですが、本当にそうだと思いますし、素晴らしい歌詞ですよね。現代社会を覆う「抑圧」。真綿で首を絞められるような感覚を覚えることもありますが、そういった抑圧を歌の力で振り払っていくような、そういう曲にも思えます。聴けば聴くほど凄さが分かる、渾身の1曲だと思いますね。

 

 CDセールスは、初週4.3万枚で初登場12位を記録。それなりの枚数であると思います。前作「鳴り響く限り」は最高25位止まりでトップ10入りを逃しました。2021年に1位も獲得した「Baby, it's you」以来のトップ10入りなるかに注目です。

 

 

No.24

 

 

 

「記憶の旅人」Mr.Children

■5/3リリースの配信シングル

■映画「青春18×2 君へと続く道」主題歌

■「ケモノミチ」以来8か月ぶり、今年初、2015年以降では12曲目のエントリー

 

 キヨピーさんが「ええ声」のアーティストとして桜井和寿さんを挙げられていましたが、「噂をすれば」という感じでMr.Childrenの楽曲が入ってきました。5月3日リリースの配信シングルで、映画「青春18×2 君へと続く道」の主題歌に起用されている「記憶の旅人」です。

 

 「青春18×2」は、「余命10年」のスタッフが紡ぐ、日本と台湾を舞台にしたラブストーリー。台湾のスター俳優シュー・グァンハンさんと、清原果耶さんが主演を務めています。主人公は36歳の設定で、「18×2」は18歳の2周という意味になるそうです。

 

 監督の藤井道人さんは10代の頃からミスチルを愛してやまず、今回はダメ元でオファーしたところ、映画に共鳴した桜井さんがこれを快諾し、主題歌が実現したそうです。桜井さんは、「かつて自分の中に『確かにあったもの』そして今も自分の中に『あって欲しいと強く願うもの』がずっと流れている」と映画を評します。これは青春時代の純粋な気持ちのことを言っているんですかね。年を取ると、どうしても目は曇り、心はくすんでいってしまうような気がしています。なかなか昔と同じようには生きられないですよね。そんな中で、年を重ねても青春の記憶をたぐり寄せようとする、そんな強い意志を感じます。ミスチル史に刻まれる名バラードになるのではないかと思いますね。

 

 前作「ケモノミチ」は、アルバム曲ということもありましたが、最高27位にとどまり、ミスチルにしては信じられないような低成績となりました。それ以前は常にトップ10入りを続けていたミスチル。今作では2作ぶりのトップ10復帰、そしてさらなる上位を目指していけるでしょうか。

 

 

No.22

 

 

「会いに行くのに」あいみょん

■5/22リリースのCDシングルより、5/1先行リリースの配信シングル

■ドラマ「アンメット ある脳外科医の日記」主題歌

■「リズム64」以来3か月ぶり、今年4曲目、通算24曲目のエントリー

 

 現在CMソングの「リズム64」が好調のあいみょんですが、大人気ということで各方面から引っ張りだこ。次なる作品は杉咲花さんが主演のドラマ「アンメット ある脳外科医の日記」主題歌に起用されている「会いに行くのに」です。5月22日にシングルとしてリリースされることになっていますが、5月1日から先行配信が始まっており、配信とオンエアが好調です。今週は3回のオンエアがあり、早くも22位に入ってきました。

 

 ドラマ「アンメット」は、記憶障害の脳外科医が主人公というものすごい設定のドラマです。「記憶障害の人物に脳外科医が務まるのか?」と思いますよね(私は思いました)。主人公は1日ごとに記憶を失ってしまうのですが、毎日の出来事を日記に書き残し、記憶を取り戻しているんですね。この設定にはほとほと関心しました。このドラマのテーマ、そして主題歌のテーマは「記憶」で、記憶について考えずにはいられない、そういう作品になっています。

 

 あいみょんは、「さまざまな記憶が私の中で生きていて、その記憶が私の財産になり曲になります」とコメント。財産とはなるほどよく言ったもので、記憶は私たち人間を形成しているものですよね。必ずしもよい記憶ばかりではありませんが、たくさんの記憶が積み重なって、今の私たちがあります。記憶とは人生そのものだなと思いますね。主人公はその記憶が1日ごとに失われるわけで、考えれば考えるほどすごい設定です。それは人の「輪郭」を失わせるような大変な障害だと思うのですが、杉咲さん演じる主人公は懸命に人生を生きていますね。杉咲さんの好演が光りますし、あいみょんの主題歌もさすがの解像度の高さで、安心して聴いていられます。非常に水準の高いドラマですね。

 

 リリース週は5月25日(2週後)、セールス反映週はその翌週の6月1日です。安心と信頼のあいみょん。今作もまた上位に進出し、1位を争うことは間違いないでしょう。

 

 

 圏外曲

 

 

 

先週40位「Walk Together」平井大

IN【1】TOP10【0】HIGH【40】1P

 

 先週、実に1年ぶりのエントリーを決めましたが、40位から息をするように圏外となりました。1週で圏外になるのは今回が6曲目。うち、40位1週で圏外になるのは2022年の「マイレージ」に続き2曲目です。通算では26曲ですから、1週圏外率は驚異の23%超え。過去には、初登場31位や32位から1週ドボンしたこともあり、1週で圏外になることに関しては(悪い意味で)格が違います。その点、1年ぶりのエントリーでも「健在」だったというべきなのかもしれません。  糞みそに書いてしまいましたが、これは「愛のムチ」的なところもあり、この方が入ってこない1年間は寂しく思っていました。「常にそこにいる存在」でしたからね。いないと違和感があるくらいでした。また定期的にエントリーしてほしいと思います。

 

 

 

先週39位「月へ行こう」マカロニえんぴつ

IN【8】TOP10【0】HIGH【18】120P

 

 マカロニえんぴつが3月8日にリリースした配信シングルで、映画「FLY!」日本版主題歌。3月16日に34位で初登場すると、オンエアが絶好調で翌週は22位にジャンプアップしました。しかし、オンエア以外にポイントが乏しかったようで、以降は伸びが鈍化。20位、19位、18位と1ランクずつ上げ、意地を見せてはいましたが、5週目の18位が最高位になりました。6週目からは大きくダウン。最後は7ランク、8ランクと続落し、トータルは先週までの8週でした。これについては、新曲の「忘レナ唄」が入ってきたことからも仕方ないと思います。  トータル8週ということで、5週だった「愛の波」、4週だった「悲しみはバスに乗って」からは回復したものの、本来期待される活躍には届いていないという風に思います。「なんでもないよ、」「リンジュー・ラヴ」という大ヒット曲を2曲生み出したマカロニえんぴつ。「第三の矢」があれば、その地位は確固たるものになるでしょう。次なるヒット曲が望まれます。

 

 

先週37位「FREEDOM」西川貴教with.t.komuro

IN【13】TOP10【2】HIGH【10】???P

 

 西川貴教さんと小室哲哉さんによるコラボシングルで、映画「機動戦士ガンダム SEED FREEDOM」主題歌。1月24日にCDリリースされると、2月10日に25位で初登場。1週遅れのタイミングではありましたが、CDセールスが素晴らしく、リリース後もしばらく売れ続けていたため、それが反映されて順位を上げていきました。2週目に18位に付けると、3週目は10位でトップ10入り。西川さんのトップ10入りですが、なんと2018年以来6年ぶりという快挙になりました。いつもは10位台で止まることが多く、この6年間に最高11位が2曲もあった西川さんでしたが、今回は見事に壁を越えてみせました。CDセールスが好調で、映画の興行収入も絶好調(シリーズ最高)だったことが勝因でしょうね。11位の壁を越えたことは見事でした。  2週連続で10位を獲得した後は、14位に降下。トップ10は2週連続の10位のみでしたが、その後もCDセールスに支えられて順位は安定していました。トップ10落ち後、10位台には4週、20位台にも4週とどまっており、抜群の安定感を誇りました。CDセールスで長くトップ50をキープしていましたからね。やはりCDセールスというのは大きなポイント要素で、この曲はそのことを裏付ける好例となりました。  トータルは先週までの13週で、見事ロングエントリーに到達です。トータルポイントも250を上回り、西川さんのソロ曲8曲の中では最高成績です(そもそも、200ポイント超え自体が初めて)。映画ともども、見事な結果を残しましたね。西川さん、本当によくやられたと思います。

 

 

 

先週33位「オレンジ」SPYAIR

IN【11】TOP10【0】HIGH【11】221P

 

 劇場版「ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦」主題歌。映画は興行収入100億円超のメガヒットとなり、この曲も映画程ではありませんが、トータル11週の好成績をマークしました。  2月24日に最下位の40位で初登場。翌週は26位、3週目は12位で、なんと2週連続の14ランクという圧巻の上昇をみせました。このままトップ10入りは確実かと思われましたが、4週目は11位止まりで、5週目は初のダウンで13位。惜しくもトップ10に届かないという結果になってしまいました。世間での大ヒットを思うと、最低でもトップ10入りはするだろうと思っていましたから、11位で止まったのはかなり意外でしたね。とはいえ、CDセールスに加え配信も好調で、10位台を長くキープしていました。なんと、11位から15位までの順位を1回ずつ(15位は2週連続)記録しており、10位台前半をコンプリートということになりました。10位台前半に6週連続もとどまっており、「トップ10級」の力を保っていたことが分かります。ロングエントリーは確実かと思われましたが、10週目に20位から31位まで急落したのが痛く、トータルは11週止まり。トータルは200ポイント台の前半となっています。  トップ10入りがならなかったこと、ロングエントリーに届かなかったことは残念ですが、3年4か月ぶりのエントリーにしては随分健闘し、最高11位とトップ10に肉薄したことは見事でした。タイトルの「オレンジ」は、主人公たちのユニフォーム、そして夕日からすぐに浮かんだそうですが、本当に作品にピッタリの素晴らしいものだったと思いますね。私は、この曲も「100億」の大きな要因の1つであったと思います。

 

 

 

先週30位「冬と春」back number

IN【14】TOP10【5】HIGH【2】???P

 

 back numberが1月24日にリリースした配信シングル。これぞback numberという名バラードで、タイトルはシンプルに「冬と春」でした。季節感がぴったりで、きっと冬から春にかけてヒットするのだろうなと思っていたら、得てしてそのとおりになりましたね。ただし、今週は先週30位からまさかの圏外になりました。気温がぐっと上がり、初夏の陽気が訪れた瞬間、「もうチャートにはいられない」とばかりにすっと姿を消しましたね。あまりにも潔すぎる幕切れとなってしまいました。  2月3日に16位と高い位置で初登場。久しぶりのback numberの新曲、そして十八番のバラードということで「待ってました」という感じの順位でしたね。そこからは急伸し、3週目には一気に2位まで上昇。1位は確実かと思われましたが、配信限定シングルということもあったか、ここから失速してしまいました。さしたる粘りもなく、4位、7位、10位と下落。トップ10は5週で、決して悪くはありませんが、事前の期待を踏まえるとかなりあっさりしていた印象です。しかし、前作「怪獣のサイズ」はそもそもトップ10入りすらできなかったですからね。トップ10入りし、最高2位まで持って行ったことは1つの成果でした。  トップ10落ち後も安定しており、10位台に4週、20位台に4週と順調にエントリーを増やしていました。そこから、30位台が「0週」になるとは衝撃の幕切れになりましたね。最後だけは残念ですが、トータルは14週で、うち5週はトップ10といわゆる「年間水準」にあります。今年のレベルにもよりますが、余程のことがない限り年間入りは確実です。