皆さんこんにちは。

 「J-AC TOP40」2024年4月13日付けチャートの初登場曲、圏外曲を振り返ります。

 

 

  初登場曲

 

 

 今週の初登場曲は6曲でした。

 なお、初登場予想が的中した曲は6曲中3曲でした。

 

 

No.40

 

 

 

「運命」sumika

■5/15リリースのCDシングルより、4/4先行リリースの配信シングル

■アニメ「ダンジョン飯」第2シーズンOPテーマ

■「Starting Over」以来10か月ぶり、今年初、通算11曲目のエントリー

 

 40位に入ってきたのはsumikaの最新曲です。5月15日にリリースされるシングル「Unmei e.p」に収録される表題曲で、アニメ「ダンジョン飯」第2シーズンOPテーマ。「ダンジョン飯」といえば、第1クールはBUMPと緑黄色社会が主題歌で盛り上げてくれましたよね(緑黄色社会の「Party!!」は現在もエントリー中)。第2シーズンの主題歌はsumikaということで、これは楽しみな楽曲になりそうです。ちなみに、EDを手掛けるのはリーガルリリーですね。リーガルリリーはこのチャートにエントリー実績がないと思われ、エントリーするのか、主題歌そろい踏みとなるのか、そのあたりも注目です。

 

 「運命」という壮大なテーマですが、sumikaらしく、ハッピーに、カラフルに仕上げた楽曲です。sumikaは、この「ダンジョン飯」というアニメにインスピレーションを受け、「自らの運命を面白がって、何でも食べていける人生はきっと面白い」という気付きを得たといいます。たしかに、このアニメってすごく「貪欲」ですよね(いい意味で笑)。アニメは、今も挑戦を続けるsumikaと共鳴するところが大きかったのではないかと思います。というわけで、ぴったりの主題歌になっていると思いますね。

 

 EPのリリースは5月15日ですが、早くも先行配信で入ってきたので期待です。ただし、sumikaは「先行配信でエントリーするも圏外になり、のちにリエントリー」という前例を2回もやっていますからね(「Shake&Shake」「Starting Over」)。ちなみに、その2曲は40位1週しかエントリーしませんでした(今回と全く同じ)。もし来週、圏外になってしまった「2度あることは3度ある」になってしまいそうですが、そうならないことを期待しましょう。
 

No.36

 

 

 

 

「poi」Saucy Dog

■4/5リリースの配信シングル

■アニメ「烏は主を選ばない」OPテーマ

■「現在を生きるのだ。」以来1年4か月ぶり、今年初、通算6曲目のエントリー

 

 久しぶりにエントリーしてきたのはSaucy Dogの新曲です。最後のエントリーは2022年末の「現在を生きるのだ。」ですが、以降は新曲をリリースしてもエントリーしない(いわゆる「無視されている」)状態が続いていました。これは今後のエントリーが厳しくなったかな...と思って心配しながら見ていたのですが、1年4か月ぶりのカムバックを決めましたね。久しぶりのエントリーで、ほっと一息というところでしょうか。

 

 4月5日にリリースされた配信シングルで、アニメ「烏は主を選ばない」OPテーマ。こちらはNHKで放送されているアニメで、大人気小説及びそれを漫画化したものが原作になっています。大人気の異世界ファンタジーです。Saucy Dogがアニメの主題歌を手掛けるのは、なんとこれが初めて。大人気バンドですから、これはかなり意外ですね。初のアニメ主題歌、このあたりがカムバックの要因かもしれないですね。それくらい、最近は「アニメ全盛」の音楽界です。

 

 NHKアニメの主題歌ということで、硬派な楽曲になっているのかと思いきや、とんでもございません。とてつもなくアグレッシブな楽曲になっています。歌詞には「どうしようもなく殴って殺してしまいそう」なんていうフレーズも出てきます(NHKがこれを通すんですねえびっくり)。しかし、ただ凶暴な楽曲というわけではありません。私たちは誰かを傷付けながら生きている。傷付けないようにするのではなく、傷付けていることを「自覚する」、あるいは「自分も傷付きながら」生きていく。そういう生き方が歌われているのかな、というのが私の解釈です。石原さんは最近かなりメッセージ性の強い歌詞を書かれますよね。現代という時代に石原さんなりの思いがあるのかなと思っており、私は注目してみています。

 

 1年4か月ぶりのエントリーということで、現状でどこまで行けるのかは未知数ですが、注目してみていきたいと思います。

 

No.33

 

 

 

 

「Happy Oreder?」imase

■4/1リリースの配信シングル

■マクドナルドタイアップソング

■「ヒロイン」以来4か月ぶり、今年初、通算5曲目のエントリー

 

 imaseが4月1日にリリースした配信シングル。新年度初日にリリースされたのは、聴けば分かると思いますが笑、マクドナルドのタイアップソングに起用されている楽曲です。

 

 聴けば分かるといいましたが、それくらい「マクドナルド尽くし」の楽曲になっています。「ポテト」「バンズ」などマックの商品名が散りばめられ、間奏ではマックのおなじみBGMがアレンジされて挿入されています。聴いているだけでマクドナルドの店内に居るような気持ちになる、そんな楽曲です。

 

 いわゆるコラボソング、タイアップソングの極みなわけですが、私がいいなと思ったのは、これが単なる販促曲でなく、「(マクドナルドで)働く人への応援歌」になっているということです。アルバイトに行くときの心境や、働いているときの心境が歌われています。この着眼点がいいなと思っていて、なぜなら、働く人が幸せで楽しく働いていなければ、お客さんを幸せにすることなんて絶対にできないじゃないですか。綺麗ごとかもしれませんが、「ハッピー」と「スマイル」を提唱するマクドナルドにとって、「従業員の幸福」ってすごく大切な指標だと思うんですね。そのあたり、imaseさんは実に上手く捉えているのかと思いました。

 

 昨年は3曲がエントリーし、この曲で通算5曲目になったimaseさん。今やすっかり常連になったとみてよいでしょう。4か月ぶりのオーダーとなったこの曲。その行く末はハッピーか、はたまたアンハッピーか、注目です。

 

 

No.29

 

 

「遥か」Aimer

■4/2リリースの配信シングル

■ドラマ/映画「からかい上手の高木さん」主題歌

■「800」以来2か月ぶり、今年3曲目、2015年以降では22曲目のエントリー

 

 現在「800」がエントリー中のAimerさんの新曲です。このチャートでは常連中の常連ということもあり、しっかりとダブルエントリーを決めてきました。早くも今年3曲目で、かなり精力的だと思いますね。

 

 こちらはドラマ「からかい上手の高木さん」主題歌。TBSで火曜深夜に放送されているドラマで、人気漫画が原作です。5月31日には映画が公開されることになっており、この曲は映画とドラマのダブル主題歌になっています。

 

 「からかい上手の高木さん」。私は作品名とアニメの断片的な映像しか知らなかったのですが、もっとコミカルな作品かと思いました。この曲が主題歌と知って聴いた時は、かなり意外に思いましたね。淡くて儚げなミディアムバラードで、Aimerさんの得意とするところではありますが、「からかい上手の高木さん」のイメージとは異なっていたからです。ただ、ドラマや映画の映像を見ていたら、かなり柔らかいタッチの作品になっており、この曲が主題歌になっているのも納得しました。

 

 「800」は今週35位まで下げており、ダブルエントリーの影響というのはほとんど考慮する必要がないでしょう。春らしい柔らかな仕上がりとなっており、季節感に合っているという意味でもヒットが期待されます。

 

 

No.28

 

 

 

「さよーならまたいつか!」米津玄師

■4/8リリースの配信シングル

■朝ドラ「虎に翼」主題歌

■「地球儀」以来9か月ぶり、今年初、2015年以降では23曲目のエントリー

 

 半年に1回の最強タイアップこと、朝ドラ主題歌の登場です。4月から放送されている朝ドラ「虎に翼」の主題歌を手掛けたのは米津玄師さん。米津さんは2015年以降の総獲得ポイントが全アーティストのうち1位で、いわば「(2015年以降の)J-AC最強アーティスト」です。つまりこの曲は、「最強×最強」の組み合わせということです。米津さんが朝ドラ主題歌を手掛けると知った時から、私はあまりの強さを思って身の毛がよだつようでした。

 

 朝ドラ曲というのは、半年間流れるということもあり、シンプルで聴きやすい作りになっていることが多く、得てしてこの曲もそうなっています。米津さんは、「毎朝聴けるものを」「よくも悪くもさらっと流れていくようなものを」というコンセプトで制作したそうです(実にそのとおりだと思います)。そこから「虎に翼」という作品に触れ、バラードではなく、四つ打ちの小気味いいテンポで制作されることを決めたそうです。

 

 女性の社会進出がテーマにあるこのドラマで、米津さんは自分が主題歌に起用されたことに戸惑いを覚えたそうですが、米津さんなりに作品を俯瞰し、そして出てきたテーマが「キレ」だったそうです。キレというのは、「ブチぎれる」の「キレ」ですね。怒り、ということです。この視点がすごいな、と思いました。女性の社会進出と聞いたら、「鼓舞する・応援する」というのが普通の感情だと思うんです。しかし、米津さんはそれを「無責任」だと感じたそうなんですね。「キレる」というのは、米津さんなりの、これ以上ないくらい誠実な「寄り添い方」なんだなと思い、私はその深い思いに感動しました。全然さらっと流れていかないよ笑

 

 2018年以降、年間トップ10入りを継続している米津さん。私は名実ともに現在最高峰のアーティストだと思います。この曲で年間トップ10入りを継続してほしいですし、願わくば朝ドラ曲として昨年の「愛の花」に続いてほしい。それくらいのことは思っていますね。

 

No.21

 

 

 

 

「サイダー」The Birthday

■4/3リリースのEPより

■「LOVE ROCKETS」以来1年4か月ぶり、2015年以降では9曲目のエントリー

 

 これはちょっと、胸が熱くなるというか、涙なしでは語れないエントリーですね。

 The Birthdayが4月3日にリリースしたEP「April」に収録されている楽曲。The Birthdayは、昨年11月、ボーカルのチバユウスケさんが天国に旅立たれ、バンドとしての活動を終了することが発表されました。しかし、チバさんが病気療養前に録音されていた楽曲があり、2023年9月と2024年4月に2枚のミニアルバムがリリースされる予定でした。チバさんの遺志を継ぎ、録音を終えていた3曲にメンバーが最終アレンジを加えてリリースされたのがこのEP「April」です。

 

 前回のエントリーは、皆さんもよく覚えておいででしょう。2022年12月の「LOVE ROCKETS」です。劇場版「THE FIRST SLAM DUNK」のOP主題歌として、EDの10-FEET「第ゼロ感」とともに大ヒットになりました。トップ10には4週エントリーし、The Birthdayにとっては2015年以降の8曲で初のトップ10入りという大ヒットになりました。まさかそこから1年以内にチバさんが亡くなるなんて、私は夢にも思いませんでした。wikiに「LOVE ROCKETS」の成績を入力したとき、「もうこのページを更新することもないのかな」と思い胸が詰まるようでした(活動終了が発表されていたわけですからね)。生前の曲が残っており、メンバーが遺志を継いでリリースされたことは素晴らしい奇跡だと思いますし、チバさんにとってまさに生きた証、軌跡というべき出来事だと思います。もう更新することはないと思っていたwikiに今週「新曲」を入力することができ、感慨でいっぱいです。

 

 多くのファンがこのEPを手に取られたのでしょう。EPは、初週2万枚超え、初登場3位という素晴らしいセールスを記録しました。これが反映され、21位での初登場です。The Birthdayにとってはこれが正真正銘、最後のエントリーになるのではないかと思います。大きな花を咲かせてほしいです。「LOVE ROCKETS」に続くトップ10入りを願います。チバさんの歌声が、1つでも上の順位で、1週でも長く聴けますように。

 

 

 圏外曲

 

 

先週40位「Value」Ado

IN【6】TOP10【0】HIGH【16】81P

 

 Adoが2月23日にリリースした配信シングル。MVが全てiPadで制作されたというのが特色です。逆にいうと、特色はそれくらいで、それ以外には見どころのないチャートアクションになってしまいました。

 3月2日に31位で初登場。翌週は15ランクもアップし16位と絶好調でしたが、3週目は早くも21位に下げてしまいました。「ショコラカタブラ」とのダブルエントリーで、思うようにポイントを伸ばせなかったのでしょう。対して、その「ショコラカタブラ」もダブルエントリーが祟って急落しているのですから、目を覆うしかありません。過剰リリースの悪いところが詰まった、辞書に載せておきたいような「共倒れ」の見本でした。3週目で早くも下げる曲に未来はなく、その後も急落。トータルは6週に終わっています。悪いなりにトップ10入りした「ショコラカタブラ」と異なり、こちらははっきりとした惨敗となりました。

 厳しいことばかり書いていますが、全て事実に基づいていることであり、それくらいハイペースなリリースはいけないということです。「新時代」や「唱」がメガヒットし、間違いなくこの人の時代が来ようとしているのです。そういうタイミングで、このような雑なリリースをするのはもったいないと思いますよ。私はこのようなリリースにははっきりと反対します。

 

 

先週39位「SOULSOUP」Official髭男dism

IN【16】TOP10【9】HIGH【2】???P(58+???)

 

 Official髭男dismが昨年12月13日にリリースした配信シングルで、劇場版「SPY×FAMILY」主題歌。劇場版「SPY×FAMILY」と主題歌のこの曲は似たような立ち位置だったかもしれないですね。「十分ヒットにはなったが、事前の期待ほどは伸び切らなかった」という点においてです。

 昨年12月23日に18位で初登場。年間チャートの裏だった翌週は6位に急上昇し、年明け1月のチャートではトップ3入り。4週目に2位まで伸ばし、1位も十分あろうかというペースでしたが、惜しくもこれを阻まれました。1位を阻んだのは同じ映画のEDだった星野源さんの「光の跡」だったということで、これは髭男にとってはやや皮肉な展開になりました。星野さんと髭男はアニメでもともに主題歌を担当していましたよね。アニメの時は「ミックスナッツ」を歌った髭男がより大きなヒットを飛ばしましたが、今回は(CDがリリースされたという事情もあり)星野さんが上回りました。

 とはいえ、あまりにも争いがハイレベルすぎるだけで、この曲も大ヒットに違いありません。3位を3回にわたり記録し、8週目は5位から4位に再浮上するなど、いぶし銀の強さが光りました。トップ10内は9週と配信シングルにしては破格ですが、11週目に9位から14位まで急落してしまい、惜しくもトップ10内2ケタには届いていません。以降は大きく下げていきますが、最後は30位台で意地をみせトータルは16週。「事前の期待ほどは伸び切らなかった」とは書いたものの、ちょっと酷でしたかね。まじまじと見れば、十分すぎるヒットだったと思います。トータル16週で、トップ10内に9週というのは、昨年の「TATTOO」と全く同じです。むろん、ポイントも同程度ということになります。この曲も年間入りはするでしょうが、年をまたいでいる事情があり、「TATTOO」(年間23位)よりは下の順位ではないかと思います。

 

 

先週38位「REALLY LOVE」今市隆二

IN【1】TOP10【0】HIGH【38】3P

 

いまいちだったね。

これ以上、何を書けるというのでしょうか。何も書けませんよ。次。

 

 

先週34位「青春謳歌」幾田りらfeat.ano

IN【1】TOP10【0】HIGH【34】7P

 

 コメントすらしたくないですが、空欄はさすがにひどいと思いますので一応。

 前後編で公開された映画「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」の、こちらは後編主題歌。CDシングルのリリースされた前編主題歌が無視され、先行配信された後編主題歌のこちらが入ってきたという「謎推移」でした。そうやって前編主題歌を押しのけて入ってきた曲が、わずか1週で34位からドボンしているのですから、謎は深まるばかりです。「デッド」(死)「デーモンズ」(悪魔)「デストラクション」(破壊)ですか。ええ、まさにそういう感じの推移ですね。

 CDのリリースでリエントリーする可能性もありますので、このあたりにしておきます。

 

 

先週32位「Run」iri

IN【2】TOP10【0】HIGH【32】18P

 

 

 残念な推移の曲が続きます(この後さらなる強者が控えているのが恐ろしいところ)。  iriが3月13日にリリースした配信シングル。初動は32位と、30位台がほとんどの彼女にしてはよく、期待を持たせました。2週目だった先週は32位で変わらず。アップこそしませんでしたが、悪くはない推移です。ところが、3週目の今週は32位からドボンでした。うーん、そうなってしまいますか。もう少し頑張れそうなものかと思いましたが、ノンタイアップの配信シングルということでいわば「吹けば飛ぶような」立ち位置だったかもしれません。

 2月に「hug」、3月にこの曲と2か月連続でエントリーさせたことは実に素晴らしかったのですが、その2曲がいずれも30位台2週ではどうにもなりません。不遇っぷりをますます極めることになってしまいました。ちなみに、これまでの8曲のほとんどがオール30位台のiriさんですが、1週で圏外になった曲は1曲もありません(2~3週の曲が大量)。ここはかろうじて意地を見せているポイントであり、今後も継続してほしいですね。

 

 

先週31位「MISSION」中島美嘉

IN【2】TOP10【0】HIGH【28】23P

 

 先日、水曜日のカンパネラの「幽霊と作家」という曲があり、初登場17位からの即落ち5週に終わりました。私はあの曲が今年最悪の即落ち曲に終わるのかなと思いましたが、直後にそれを上回る曲が出てくるのですからチャートは恐ろしいものです。

 28位→31位→圏外。31位からの圏外というのはそれ自体が相当激しいですが、この曲にいたっては初登場28位からの即落ち2週です。ちょっと考えられないレベルの落ち方です。もう1つひどい点があります。2曲連続の即落ちです。2月にエントリーした「望郷」は即落ち4週でした(24→26→34→38位)。今回は、初登場の順位もエントリーの長さも「望郷」の下。つまり、完全劣化版即落ちです。「望郷」も相当悪かったですが、翌月の曲がそれをさらに下回ったわけですからね。ちょっとどうしようもないというか、絶句するしかありません。ちなみに「望郷」の前の曲「Beyond」は、33位から1週圏外に終わっています。33位から圏外に下がったのですから、この曲も即落ちですね。じゃあ3曲連続の即落ちですか。

 このあたりにしておきたいと思います。

 今週の圏外曲は6曲でしたが、髭男の「SOULSOUP」以外はちょっとひどすぎました。最近、初登場曲は少なめの傾向にあります。その少ない初登場曲の半分くらいがこういうことになっているわけですからね。チャートに「新陳代謝」がほとんど起こっていないんですよ。非常に悪い状態だと思います。また、他にエントリーできる曲があったのではないかとも思います。