乃南アサ 「嗤う闇」 新潮社  | 無節操ニンゲンのきまま生活

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広く浅く多趣味な無節操備忘録ブログ
2015年2月よりイギリス・オックスフォードの近くで生活しています

乃南アサ
嗤う闇

試験が終わって気が抜けたんでしょうか、

早速風邪を引いてしまいました(ノω・、)

先週からずっと関節が痛かったんですけど、

試験前は我慢してくれたのね風邪菌くん♪

というわけで、試験も終わり遠慮せずに風邪菌くんが活動を始めてしまったせいで

高熱がでてしまった今日は用事も早々に切り上げてふとんにもぐっているんですけど、

そんな間に本を1冊読んでしまったので、簡単にご紹介します。


直木賞作家・乃南アサさん。

彼女の受賞作「凍える牙」で登場した女刑事・音道貴子のシリーズ3作目

私は「凍える牙」しか読んでないので、

音道さんは2作目の登場となります。


4つの短編からなっています。


人のいい主婦が何者かに襲われる「その夜の二人」

ストーカーか怨恨か?家の者が壊される事件が起こる「残りの春」

元同僚の娘が夫の女と借金に悩む「木綿の部屋」

連続強姦事件が発生「嗤う闇」



この音道さんという刑事は30代半ばのバツイチ。

「凍える牙」からそうなんだけど、

刑事としてではなく、一人の女性として描かれている部分が多い。

自分の離婚問題や、職場での女性差別に悩みながらも

一人前の刑事になっていくのが「凍える牙」だったけど

今回は一人前になった音道さんの地味な事件の短編集という感じだ。


ずっと音道さんは冷静沈着で寡黙なちょっと冷めた感じの女性だと思ってたけど、

今回の作品では女性の同僚と飲みにいく話とか

職人の恋人とのやりとりが書かれていたりとか

仕事の付き合いで飲み会に顔を出すとか

けっこう人間くさい部分も垣間見えてなかなかおもしろかった。


事件は強姦事件は重いけど、

他のは連続どころか殺人事件でもない話ばかり。

でも普通の警察署なら小さな事件ばかりだよね普通。

殺人事件ばっかり起こってるほうがおかしいものね。

警察官の日常みたいなものが見えて、これはこれでおもしろいと思った。


特に私が気に入ったのは、「木綿の部屋」。

職場での飲み会で偶然再会したかつてコンビを組んでいた先輩、滝沢に

「娘のところに一緒に行ってくれないか」と頼まれ、

急に娘の住む家に一緒に行くことになってしまった音道さん。

父である滝沢の反対を押し切って結婚した娘が、

夫の女性問題と借金に困ってるという。

でも借金取りにつかまってしまったという夫の態度がどうもおかしくて・・・というお話。


事件でもないできごとだけど、

夫の気持ち、妻の気持ち、父親としての愛情などが交錯して

展開を追うごとにドキドキワクワクしていく。



うう、関節痛い・・・(ノω・、)

はい、そろそろまた大人しく寝ます(--)