本日8月27日は「男はつらいよの日」だそうです。第1作が公開されたことを記念してのものだとか。

 

寅さんシリーズをあらためて第1作から見直すシリーズの今回は、第26作『男はつらいよ 寅次郎かもめ歌』(1980年・山田洋次監督 松竹)を取り上げます。

 

 

今回は寅(渥美清)が“父親代わり”となって、マドンナ・すみれ(伊藤蘭)の自立を支えるというのが一つのトピックとなっています。

 

北海道の江差でテキヤ仲間が亡くなったことを知り、彼を悼むべく奥尻島に向かった寅。その一人娘・すみれと出会います。

 

聞くと、父親のせいでまともな教育を受けておらず、母親も家を飛び出しており頼るものもなし。「東京で定時制高校で学びながら働きたい」という想いがあることを知り、柴又のとらやへと連れていきます。

 

とらやの周辺の人々のサポートで、試験勉強を手伝ってもらったり、働き口を見つけてもらったり。学校を辞めてからしばらくブランクがあるため弱気になるすみれに対し、寅は懸命にはっぱをかけます。まるで実の父親のように。

 

こうした努力のかいもあり、無事に試験に合格。セブンイレブンで働けるようにもなり、すみれは新たな一歩を踏み出したのです。

 

すみれの学校への送り迎えで、いつしか生徒たちや先生とも親しくなっていく寅。実に甲斐甲斐しいです。しかし、こうしたささやかな幸せの日々も長くは続かず。

 

ある日、すみれの恋人・貞夫(村田雄浩)が北海道からわざわざ現れ、復縁を迫ります。ケンカ別れしていたものの貞夫の想いを知ったすみれも受け入れ、とらやに連絡もせず外泊してしまい…。

 

翌朝、とらやに戻ってきたすみれから恋人と結婚することを告げられた寅は、再び旅に出ることに。翌正月にはすみれと貞夫が二人でとらやを訪れ、結婚式を挙げること、そして高校にも通い続ける覚悟があることをとらやの人たちに告げるのでした。

 

結果、すみれに裏切られた形となった寅でしたが、最後の別れ際に「幸せになれるんだろうな、お前。もしならなかったら俺は承知しないぞ」と語るところは、父親の目でしたね。父替わりの役割をしっかりと果たしたんだなあ、とぐっときました。

 

また、終盤に寅が夜間高校への入学を希望していたことも発覚します。しかし中学中退のため認定試験を受けるか、夜間中学に通う必要があるとのこと。学びたいのに学べない人々の想いも描いていますが、これが山田監督の後年の「学校シリーズ」につながるんですね。

 

また、冒頭で寅がさくらと博夫妻が購入した一戸建ての家を訪問するシーンがありますが、二階の一室が寅の部屋としてあてがわれていることを知り、感激するというくだりがあります。

 

非常にいい場面でありますが、新居祝いでよりによって源公(佐藤蛾次郎)から取った二万円を出すものの、博たちに心配され突っ返されるというオチが待っていました。

 

その後も寅は源公に「返済はもう少し待ってくれ」と手紙を出しており義理堅さを感じさせます。まあ、戻って来ることはないんでしょうけどね。
 

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