寅さんシリーズ鑑賞録の今回は第20作『男はつらいよ 寅次郎頑張れ!』(1977年、松竹 山田洋次監督)です。

 

 

本作では、その後もシリーズ中に何度か見られる寅さんの“恋愛指南”がはじめて登場します。

 

その相手は寅さんが旅に出ているさなかに下宿で入っていた青年・良介(中村雅俊)。ほのかに思いを寄せる近所の食堂の娘・幸子(大竹しのぶ)とのデート前夜にいろいろとアドバイス。

 

しかし、良介青年は助言を全く生かせず、デートはしらけたものに。落ち込んだあげくに、母が倒れたと知らされた直後の幸子のもとに結婚を申し込んでしまい…。

 

気が動転している幸子は当然、泣きながら店の奥に入っていきます。「振られてしまった」と思い込んだ良介は絶望し、とらやの2階でガス自殺を試み、遺書を認める際にタバコに火をつけ大爆発…(1階が無事なのが奇跡のよう)。良介は結局、傷心のまま故郷・平戸に戻ってしまいます。

 

心配して平戸まで追いかけてきた寅さん。そこで良介の姉・藤子(藤村志保)に一目ぼれ…と、ここからは相変わらずの恋愛モードに。寅さんは甲斐甲斐しく藤子の店を手伝うのでありました。

 

良介と幸子はよりを戻しますが、一方で藤子には寅さんに対してその気はなく、結果としてまたしても失恋と相成ります。

 

全体的には中村雅俊、大竹しのぶという当時の人気若手俳優がフレッシュな風をスクリーンに吹き込み、渥美清もまだまだ若く、活気にあふれた作品となっています。

 

ラストに再び坂東鶴八郎一座が登場して再会して終わる、というのはいつぞやもありましたが、「見てよかった」と爽やかさを残してくれる一作でありました。

 


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