6月上旬のことになりますが、柏市民ギャラリーで開催されている『柏市民ギャラリー新装開館記念 摘水軒記念文化振興財団コレクション展』を鑑賞してきました。今回は後期展示の『花鳥動物画』になります。(前期展示は→コチラ

 

摘水軒記念文化振興財団コレクション展

 

前期が割といい感じだったこともあり、後期も大いに期待していました。今回は入り口で目録と一緒に作品の解説文付きの紙ももらいましたが、パネルで文字を追うより楽ですので、これはありがたかったですね。

 

テーマが花鳥動物画ということで、虎やライオン、象、猫、犬、牛、鳥、猿、ネズミとさまざまな動物が登場。さしずめ日本画の動物園といった趣でした。絵師の顔ぶれも前回の浮世絵とは一転して文人画や南画系ばかり。そのためタッチも非常にリアルなものでした。

 

とはいえ、当時の日本人が虎やライオンをじかに拝む機会はなかったため、資料を基にイマジネーションを膨らます必要があります。作家の技量はもとより表現力が試されることになり、その意味でも見応えのある“競演”でありました。

 

個人的に印象に残ったのは、鳥野尾藤安の『柳下馬図』。知らない絵師の作品ではありますが、毛並みの精密さは見事でしたね。中林竹洞の『胡羊跪乳図』、ヒツジが描かれているというのが珍しく、何となく気になりました。

 

酒井抱一の『牡丹獅子図』、こちらも素晴らしかったですね。獅子も牡丹もち密さという画力と、想像力の豊かさが生み出す大胆さが同居しており、あらゆる面で卓越していなければ描けない作品ですね。

 

中国の画家だそうですが、韓葆純の『百鳥図』で描かれた鳳凰の美しさも、実にインパクト十分。岡本秋暉の作品も数点展示されていましたが、なかでも『白閑鳥・金鶏鳥図』は細かさだけでなく綺麗さも兼ね備えられており、優れた技術力を感じます。

 

円山応挙の『猛虎図』、猛々しいはずの虎を描いたはずなのになぜか憎めない可愛げが表現されているのが何とも言えません。長澤蘆雪の『狗犬図』は癒し系ですね。コロコロした感じの犬の体型や緩めの表情がとてもよく、このあたりさすが師弟という感じ。

 

誇り高く気高さを感じる鷲を描いた葛飾北斎の『雪中鷲図』、白く浮かび上がるような狐の姿が強烈な吉川一渓の『白狐図』、まさに縁起物という感じの伊藤若冲『旭日松鶴図』もよかったです。

 

今回も満足させてもらいました。これで無料なのですからありがたい限り。若冲の作品もありましたが、さすがに行列になるようなことはないようです。とはいえ、この日は平日のお昼ながら結構なお客さんがいらっしゃいました。気軽に立ち寄れるような場所でもないと思うので、やはり熱心な美術ファンが多いということなのでしょうね。

 


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