先週の土曜日、『柏市民ギャラリー新装開館記念 摘水軒記念文化振興財団コレクション展 春信、清長、歌麿、北斎、広重そして写楽~六大浮世絵師肉筆浮世絵そろい踏み』を見に行ってきました。

 

摘水軒記念文化振興財団コレクション展

 

会場となったのは柏市民ギャラリー。柏市民の交流や活動の場として5月14日に柏駅の東口にオープンしたばかりの文化・交流複合施設「パレット柏」(DayOneタワー)の3階にあります。

 

柏駅から歩いて2~3分、アーケードの脇と交通の便も良く、市民の方にとっては会社や学校帰り、休日の散歩などで立ち寄りやすい場所といえるでしょう。個人的に柏を訪れるのは2回目ですが、前回は仕事でした。駅周辺の地理に詳しくなかったこともあり、最初は迷いましたね。

 

3階に入るとスタッフの方と警備員の方に「こちらからどうぞ。無料です~」と案内され、ドアを開いてもらいました。ギャラリー自体はそれほど広くなく、通常の一般的な美術館の展示室1室というところでしょうか。

 

市民ギャラリーそのものは以前からあったようで、今回は新装オープンとのこと。その記念すべき今回の展示は肉筆浮世絵や花鳥動物画の名品を蒐集している摘水軒記念文化振興財団のコレクションの中から、選りすぐられたという作品の数々ということです。

 

前期展示は『肉筆浮世絵』。展示作品数はわずか34点ではありましたが、感想としては「素晴らしかった!」のひとことです。状態がいいのはもちろん、土曜とはいえ人もあまり多くなかったことからじっくりと一つひとつの作品を楽しむことができました。

 

最も印象に残ったのは『上野浅草吉原図』(筆者不詳)です。江戸時代の上野(寛永寺)や浅草の町中、そして吉原の風景が描かれた屏風図ですが、寛永寺を良く見ると小さい女の子が座敷に“乱入”して飛び跳ねているんですね。後ろ姿ではありますが、実に可愛らしくていい感じです。身内らしき人物が慌てているような姿も笑えます。

 

当時の浅草の繁華な雰囲気も伝わってきますし、吉原では男性客が遊女といちゃいちゃしている俗っぽいシーンなどもしっかりと書かれているので、結構楽しめます。

 

あと、歌川国芳の『三美人化粧の図』も素晴らしかったですね。かなり至近距離で鑑賞できることもあり、モデルの美しさはもちろん小道具や背景にいたるまで、すごく丁寧に描かれているのがよく理解できます。角度を変えて眺めてみるとキラキラと輝いている部分があるのも分かり、思わず見入ってしまいました。

 

周幽斎夏龍の『扇子を持つ美人図』、抱亭五清の『粧い美人図』、どちらもこれまで鑑賞する機会が少なかった絵師の作品なのですが、リアリティにあふれており、個性的で異彩を放っている感じがしました。結構インパクトを受けます。

 

ほかにも菱川師宣、宮川長春、懐月堂安度、西川祐信、祇園井特、鈴木春信、司馬江漢、磯田湖竜斎、鳥居清長、喜多川歌麿、勝川春章、鳥文斎栄之、歌川広重、月岡芳年、葛飾北斎、菊川英山、渓斎英泉といった著名な絵師の肉筆画が飾られていたほか、東洲斎写楽の版下絵もありバラエティに富んだ内容でした。

 

肉筆ならではの細かな描き込み、絵師の腕の見せ所という感じでなかなか楽しめました。単眼鏡で熱心に作品をのぞきこんでいる人の姿もありましたね。入場はなんと無料。それでこれだけのすぐれた作品をじっくりと拝めるなんて、かなり贅沢なような気がします。チラシには「『ボストン』まで行く?いえいえ『柏』で見られますよ。」とありましたが、ボストンとは比較にならないくらい近いとはいえ、決して簡単に行ける場所ではない柏までわざわざ足を運んだ甲斐があったというものです。

 

前期展示は30日(月)まで。全作品が入れ替えとなり、後期展示は6月1日(水)から。こちらは『花鳥動物画』が展示されるとのこと。全33点で、出品目録によるとその顔触れは有名どころだけでも伊藤若冲、曽我蕭白、森狙仙、葛飾北斎、谷文晁、中村芳中、長澤蘆雪、円山応挙、与謝蕪村、狩野山雪、狩野探幽、岡本秋暉、酒井抱一などそうそうたるメンバーですので、再訪したいと思います。

 

柏市民ギャラリー

 

帰りは柏駅前をぶらぶら。想像以上に開けていて歩いている人も楽しそうでした。千葉駅よりも雰囲気は華やかです。若い人が多いのも目につきました。

 


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