むかしは、広島を離れた地域で食べる「広島風」お好み焼きは、姿かたちは広島と同じであっても味はまったく別物といっていいほどだったそうです。
違いはなにかというと、ソースでした
広島ではお好み焼きのソースといえばオタフクソースに決まっているのですが、ほかのところでは辛口のウスターソースを使っていたのです。
オタフクソースは、広島から出発した会社で、1922(大正11)年の創業当初は酒や醤油などの卸・小売を生業としていましたが、やがて醸造酢の製造・販売も手がけるようになり、戦後からはソースの製造も始めます。
さらにお好み焼きが戦後広島の人々の間で広く食べられるようになったので、お好み焼き用ソースの製造を始めます。
当時のお好み焼きソースはほとんどがウスターソースで、ハケで塗るとソースが鉄板に流れ落ちてしまったのを、さまざまな試行錯誤を経て、ソースにとろみをつけたお好み焼き専用のソースが考案されたのです
やがてお好み焼きが全国に普及していくにつれ業績を伸ばし、お好み焼き用ソースでシェアトップとなりました。
現在では広島風お好み焼きは全国あちこちで食べることができますが、その陰にはオタフクソースの地道で着実な努力があったのです。