日本がまだ高度成長期の真っ只中にあったころまでは、交通違反も立派な「犯罪」でした。
つまり、ありきたりな違反でも、違反者には罰金刑、悪質なものについては懲役刑が科され、いわゆる「前科者」になっていたわけです。
このころはまだまだドライバーのマナーも悪く、車両保有台数は少なかったのに年間事故死者数は1万人を超えていました
そこで警察は、取締りをガンガン強化します。
結果、検察庁が処理すべき犯罪総数のうち8割を交通違反が占める、という事態にまで至ってしまいました。
これでは検察庁でも裁判所でも処理が追いつくわけがありませんし、一億総前科者になりかねません
そこでたどり着いたのが、現在の反則金制度。
つまり、軽微な違反(いわゆる青キップ)については刑罰としての罰金は科さず、代わりに「反則金」を指定期限内に納付すれば起訴しない(裁判所にも検察庁にも送らない)というものです。
カネさえ払えば前科者にならずにすみ、おトクだということです。
そのお手軽さのゆえに、ほとんどのドライバーは簡単にキップにサインしてしまっています。
しかし、キップへのサインとはすなわち「自白」です。
確かに違反背反かもしれないが自分にも言い分がある、などという場合、自らその言い分を放棄したに等しいのです