皆様こんにちわ~。
(*゚ー゚*)
先日
【宇宙銀行物語「僕の預金額教えて下さい」】を
投稿しました。
実はその物語には
相反するペアストーリーがございまして、
それを今日はお届けしたいと思います。
(▰˘◡˘▰)
☆.。.†:*・゜☆.。†.:*・゜
宇宙銀行物語:
「お願いです。
あなたの預金を使って下さい!」
雪が降り始めた冬の午後のことだった。
彼女はコタツに入り、ぼんやりと外を眺めていた。
テレビがついていたが、
それは忘れられていた・・・。
*
「井口春奈様ですね?
私は宇宙銀行:行員の営業マンです」
この寒いのにコートも着ていない。
男性はブルブル震えながらも一礼した。
彼女は戸惑った。
銀行の営業マンなど、自身に無関係な存在だから。
すると彼は続けて言った。
「唐突ですが、春奈様には多額の預金がございます。
当行はお支払いするチャンスをうかがって来ましたが、
なかなか好機に恵まれず、
今日は直接お知らせに参りました」
「な・・・なんのことですか?」
彼女は少し身を引いた。
*
春奈は数年前からヘルパーの常勤職員として働いていた。
介護保険を利用する家庭に訪問し、
様々なニーズに対応するハードな仕事だった。
一日に何件もこなしたが、
毎月の収入は手取りで13万ほどだった。
古ぼけたワンルームの一人暮らし。
家賃は高くない。
だが生活はキツキツだった。
多額の預金などあるわけがない。
*
すると行員は、
彼女の思考を読んだかのように言った。
「春奈様は地上銀行、
つまり”地銀”のことをお考えだと思います。
けれど当行は”宇宙銀行”:宙銀です」
「ちゅうぎん?」
「春奈様の預金残高は、
現在・・・
一兆八千六百万円
・・・でございます」
「い・・・いっちょう・・・・・?」
”これはなんの冗談?それとも勧誘?”
春奈は思った。
雪はますます激しくなった。
彼はガタガタ震えながら言った。
足をモジモジと動かしている。
厚着の春奈は、彼ほど寒くはなかった。
*
「当行をご存知ないと思いますが、
宇宙銀行は、善意ある心遣いや、
思いやりなど、損得なしにとった行動。
そしてご自分の才能を活かして世界に貢献されたことなどが、
映し出されて預金されます。
その秩序は果てしなく精密です」
「”才能を活かして世界に貢献?”
私、関係ないと思うけど・・・」
彼女は内心思った。
実のところ、今の仕事は彼女の適職とは言えなかった。
業務は効率を求められた。
けれど利用者の心情が繊細に読める彼女にとって、
時間通りテキパキ作業を終えることは困難だった。
上司からは、
「要領よく仕事しなさい。
時間単位で決められた枠なのだから」
・・・と、常に言われた。
でもなかなか彼女にはできなかった。
*
すると行員がその思考に割って入った。
「確かに春奈様のお仕事は、
ご自身の資質を最高に活かせているとは言えないかもしれません。
けれど、日々の介護で給与以上に人に尽くしておられることは、
地上銀行には反映されずとも、
当行には着々と預金されております」
「それじゃなぜ・・・」
春奈は言いかけて言葉を止めた。
そして心の中で言った。
「なぜ…私の生活はこんなに苦しいの?」
「春奈様よく聞いて下さい。
これからお話することをお届けするために、
私は遥か彼方から”船”で参りました」
「船?」
「でもまさか地上服着用が
こんなに苦痛だとは知りませんでしたが・・・」
彼は苦笑いしながら言った。
「地上服って何?」
彼女には理解できなかったが、
行員は続けた。
*
「ここからは大事なお話なので、
お名前ではなく”あなた”と呼ぶことをお許しください」
春奈がうなずくと、
彼はグッと息をのんで話し始めた。
*
「どうかあなたが自分自身を大切に思えること。
自分自身を誇り高く思えることを望んでください。
そうでないと宇宙銀行は
あなたにサポート循環することができません」
「長い間やりたいと思っていながら、
諦めていることはありませんか?」
そう言われると、
春奈は華道に憧れていたのを思い出した。
彼はすかさず言った。
「あなたは生け花を習ってみたいと思いながら、
自分の給料ではとうてい叶わないと、
その願いを口に出さずに閉じ込めました」
「でも、もしそれを言葉に出して、
稽古代の予算はないけれど、
どうにかしてやってみようとした時、
宙銀はあなたを支援できます」
「たとえばあなたの訪問先の上田さん。
彼女は外出がままらない体調ですが、
その昔、華道の師範でした」
「上田さんは自分の人生があと数年だと予感していて、
”お代などいいから、誰かに最後のお花を教えたい”
・・・とずっと心の中で想っています」
「その願いを私たちはつなぐことができるのです。
宇宙銀行は現金を介さないやり方で、
個別にミラクルスタンバイできるのです!」
ここまで言われると、
この行員が本当に自分のことを知っているのだと
認めざるを得なかった。
春奈は無言で彼の言葉に聞き入った。
*
「あなたはいつも支出を気にしています。
やりたいこと、ふと”いいな”と思ったこと、
ちょっとしたオシャレも、
いつもいつも我慢しました」
「かわいいレースのワンピースを着てみたいと思っていても、
安い店のバーゲンで無骨なものを選んでいます」
「それではいったい私たち宙銀は、
どこであなたにお支払いすれば
いいのでしょうか?」
「あなたはいつも下を向き、
たくさんの望みに気づかないようにして、
毎日を黙々と過ごしています」
=彼女の胸にこみあげる何かがあった=
「あなたの宇宙銀行口座には、
多額の預金があるのです」
「どうか今生でそれを活かして下さい。
あなたは前世でも預金する一方で
使うことをしませんでした」
「私は行員ですから、
あなたが今生において、
なんの目的で地上に来たのか、
そこまでは進言できません」
「けれど少なくとも今のままでは
ご自身の魂の表現と完全性を、
この地上で発揮できないと思いませんか?」
春奈は寒さも忘れて聞き入った。
雪は絶え間なく降り続いている。
*
「宇宙はあなたを愛しています。
どうかその熱いエネルギー支援を受け取って、
ご自身がこの地上に携えて来た、
才能や資質を開花させてください。
地上銀行にある口座だけが、
あなたの預金ではないということを忘れないで欲しいのです」
「あなたには両親の口癖だった、
”貧乏人が高望みしてはいけない”
”身の程知らずのことをしてはいけない”
その言葉が染み付いています」
「けれども宇宙銀行は、
あなたが本当に望んでいること、
歓びに満ちて
心とパッションが開いている方向にしか
支援することができません」
「つまり、逆を言えば、
あなたが望まないことばかりを続けている間は、
お支払いすることができません。
当然と言えば当然ですが・・・」
「宙銀は、
あなたがあなたを真っ直ぐに愛した時、
最大の効力を発揮します」
「・・・・・・・・・・」
春奈はもやは彼の姿が見えなくなった。
なぜなら涙が溢れそうになったから・・・。
*
全ての涙がしたたった後、
そこに彼の姿はなかった。
そして立ち去ったと思える通路には、
雪がしずしずと積もっていた。
足跡は一つも残っていない・・・。
*
「そうか。宇宙船で来てくれたんだ。
ありがとう・・・・」
春奈は小さくつぶやいて微笑んだ。
*
雪の日の夕暮れは早かった。
奇蹟の雪の日が暮れていった。
完
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宇宙循環と宙銀。
深く感じて下さったら嬉しいです。
皆様は預金の有効利用はできていますか?
( ̄∇ ̄+)?
現金以外のミラクルスタンバイにも、
敏感になってくださいね〜。
*
この作品は1年前発表した際、
ある有名な方から、文章のみ抜き取りシェア拡散がありました。
そのため既読の方もいらっしゃるかもしれませんが、
作者は泉ウタマロで、元からこの挿画がついている作品でした。
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泉ウタマロは作家・アーチストです。
最新作は:豪華絵読本
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