『今夜、ご飯食べない?』
この一週間の中で二度目のお誘いのメール
行けない事は、無い
本音は、逢いたい
けど…
デスクの中を整理していたら、不意に出てきた古い携帯電話
充電器を繋げてうろ覚えのロックNo.を打ち込むとメール画面が開く
君とのメールが、そっくり保存されていた
10年前の、熱く駆け抜けた日々が蘇る
そして、2人を襲った突然の嵐
苦しみ、悩み、地の底に落とされる様な思いを供に味わった、辛い過去
メールは、その後のやり取りまで続く
あんな目に会いながら、あんな苦しみを味わいながら、あの後も僕等は逢う事を止めなかった
君が、九州へ行ってしまうまで…
古いカセットテープから、懐かしい曲が流れる
『…ずるいよ、君から去ったクセに
こんな時だけ呼び出して
少し大人になった僕と、あの頃のままの君が居る…』
歌詞がタイムリー過ぎて、笑ってしまう
この曲の主人公は、果たして彼女の元へ駆け付けたのだろうか
3年前の僕みたいに…
『ゴメン、今夜は…って言うか、会社と家の事が落ち着くまで無理だよ』
そう打ち込んで、送信をクリックする指が止まる
逢うべきじゃない
けど、逢いたい
あの曲の主人公は、あの後どうしたのだろう…
