※この物語は、生まれながらに不安障害を持った男が、2018年頃から現在に至るまでに辿った『実話』である。

 

 

 なおプライバシーの関係上、全ての人物は偽名とする。

 

 〈前回のお話〉




 

《第23話 今日も今日とてタンクです》

 

 

 夜、俺はモバをプレイしていた。

 

 いつものようにタンクで出撃。

 

「あ、このアタッカーの人たち……」

 

 またこのパターンか。

 

 攻めたいが、なかなか踏み出せずにいるのが分かった。

 

 俺は前に出て敵の攻撃を受けて、アタッカーが攻撃し易い形を作った。すると、二人のアタッカーのプレイヤーが一気に相手に攻め込み、敵を倒していった。

 

『ありがとう』

 

『ありがとう』

 

 アタッカー二人からクイックチャットが飛んでくる。

 

「よし、勝利!」

 

 今日も勝率七割と上々。

 

 モバはこのくらいにして、俺はイヤホンでテレビを観つつ、モンストのイベントクエストをプレイ。

 

 モバは協力プレイ。対してモンストは基本ソロ。

 

 協力プレイでしか得られない味がモバにはあるが、それゆえ緊張も生じる。

 

 俺にとって、それを解してくれるのがモンストだった。

 

「今日はこんくらいにしとくか……」

 

 モンストを早めに切り上げた時だった。

 

 スマホに着信が。

 

「……もしもし?」

 

『ああ和泉さん?』

 

 沢井さんの声だ。

 

『ちょっと言い忘れてたわ。次来るとき、通帳と身分証の写しを持ってきてちょうだい』

 

「あ、はい、分かりました」

 

『ごめんなさいね急に。それじゃ』

 

 通話は切れた。

 

 明日、コンビニでコピーとるか。

 

 

                   【第24話に続く】