先日、米国政府がUFOの映像を公表した。

残念ながら、気象状況によっておこるものだと説明が

ついてしまう。

でも小説の世界では・・・・・・SFショートショートです

良かったら読んでください。

 

宇宙からの侵略者

 

「ダン」、甘い囁きとともにマリに揺り起こされた。

日の出前のかわたれ時、休日だというのに表を歩く人の気配がするというのだ。

私は眠い目を擦りながら、ベッドを降りてそっと窓から表を窺った。

確かに表の道を歩く奇妙なテンポの足音は聞こえるが、姿までは確認できなかった。

暫くすると気配は去り、夜明けを迎えた。

 

その日の夕食時に私とマリは、早朝の異変について話した。

マリが町に買い物に出かけたときに聞いた噂では、見慣れない宇宙船が

裏山に着陸したらしい。

どこかの国の船が不時着でもしたんだなと結論付けて、自分たちの結婚式の招待客

についての話に内容が変わっていった。

 

町で起きた出来事を知ったのは次の日だった。

船は異星からのもので、町の大きな建物はことごとく異形の者に破壊されたそうだ。

町から帰ってきたマリは私に駆け寄り抱きついてきた。

よっぽど怖かったんだろう。

真っ赤に泣きはらした大きな眼からは涙がこぼれていた。

 

その日を境に私たちは異形の者から身を隠す生活になった。

夕暮れ時、友人から送られたブーケを大事そうに抱えたマリと、村はずれの

廃墟で肩を寄せ合っているときだった。

突然、表から足音が聞こえてきた。

1、2。

1、2。

やはり1、2、3とならない、あの日の奇妙なテンポの足音が廃墟の前で鳴りやんだ。

彼らは不安定な2本足で立っていた。

ここは危ない。

私は裏から逃げるように目配せすると、マリは3つの大きな眼で頷いた。