《曲目解説①》7/13(土) いずみシンフォニエッタ大阪 第52回定期演奏会 | 住友生命いずみホールのブログ

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2024年7月13日(土)16時開演、いずみシンフォニエッタ大阪 第52回定期演奏会「スペインの風景―庭から望む森」が近づいてまいりました。

公演プログラムに掲載いたします解説序文と楽曲解説を3回に分けてご紹介いたします。

初回①では川島素晴プログラム・アドバイザーによる序文を掲載いたします。

 

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いずみシンフォニエッタ大阪(以下ISO)ではこれまでにも何度か、国や地域を挙げて特集企画を打ってきたが、今、なぜスペイン特集なのか・・・。故・西村朗音楽監督が提案したものであり、冥土の土産となってしまった今となっては、真意は定かではない。しかしこうして、スペインの作曲家による作品を並べてみたとき、そこに漂う、ラテン気質由来の明るさと裏腹な哀愁を帯びた風情には、大阪人気質との共通点がありやしないか・・・と思い至ったとき、西村朗がこの企画を「是非やっておきたいが、未だやり残している企画」と強く思っていた可能性に思いを馳せる。


 アルベニス(1860-1909)、グラナドス(1867-1916)、ファリャ(1876-1946)という、19世紀末から20世紀初頭にかけての作曲家たちによる「典型的なスペイン音楽」を聴く前半。その中でファリャの今回上演する《スペインの庭の夜》は、ISOでも2015年、第35回定期でも既に取り上げた《恋は魔術師》のような直球のスペイン色というよりは、印象派のフィルターを通じた繊細さを併せ持つ夜想曲としてのスペインを、萩原麻未のピアノ独奏を迎えて。


後半は時代をくだりつつ、日本初演となる2曲を上演する。まずは、《アランフエス協奏曲》で誰もが知るロドリーゴ(1901-1999)の、珍しい曲《ある庭園のための音楽》。《アランフエス協奏曲》は1939年に書かれたロドリーゴ初期の作品なのであり、残念ながら日本ではその作品群の全貌が知られているとは言い難い。子守唄を軸に、独特なイマジネーションに貫かれた、懐古的ノスタルジーとモダニズムを併せ持つ世界。「庭」つながりで、よりファンタジックな情景に誘われる。


ここで終わればISOの名が廃る、最新のスペイン音楽を紹介することを忘れない。カサブランカス(1956- )は現代スペイン作曲界の巨匠。山道を降りつつ精神が圧迫される様が描かれた文学作品の一節に由来する本作は、ホルンの名匠ヴラトコヴィッチが世界初演した。それを、(国際的ホルンソリストとして後継世代を代表する)福川伸陽のホルン独奏で日本初演する。


「情熱のスペイン」に始まり、ファンタジックなファリャを介して、後半はダークファンタジーに至る。年代を追うとともに、スペイン音楽の陰陽、両面を体感するひととき。二人のソリストを迎えての、音を巡るスペイン旅行である。

 

川島素晴(作曲家・いずみシンフォニエッタ大阪プログラム・アドバイザー)

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次回は前半で演奏する楽曲の解説をお届けいたします。お楽しみに!

 

いずみシンフォニエッタ大阪 

第52回定期演奏会

スペインの風景ー庭から望む森


2024年7月13日(土)16:00開演
プレコンサート15:30 プレトーク15:45

 

飯森範親(指揮)
萩原麻未(ピアノ)
福川伸陽(ホルン)
いずみシンフォニエッタ大阪

 

 I.アルベニス(I.Dobrinescu編)

 スペイン組曲より “アストゥリアス”
E.グラナドス(J.Choe編)

 12のスペイン舞曲集 op.37 【弦楽合奏版】より
 ファンダンゴ/アンダルーサ/マズルカ ロマンティカ
M.ファリャ(川島素晴編)

 スペインの庭の夜
J.ロドリーゴ

 ある庭園のための音楽[日本初演]
B.カサブランカス

 ・・・ 灰色の森が彼の下で揺れ動く

    ホルンと室内管弦楽のための室内協奏曲 第2番[日本初演]

一般 ¥5,500 U-30 ¥1,000

第52回+第53回定期2公演セット券 ¥9,000

 

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https://www.izumihall.jp/schedule/20240713