2日目のパネルディスカッションの参加者は東大大学院の西村幸夫教授鈴鹿市長の末松則子氏ひたちなか市長の本間源基氏中央大学法学部の工藤裕子教授、Jリーグファジアーノ岡山代表の木村正明氏、私も前から注目していた一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス代表理事の木下斉氏でした。

 

 まず鈴鹿市の末松市長は、F1グランプリ、鈴鹿8耐など、モータースポーツの聖地鈴鹿の取組として、色々な取組を説明していただきました。F1開催中の渋滞などの対応として、帰りの込み具合をチェックできるスマホアプリなどが特徴的でした。

 

また、子育ての悩みを相談できる子育て支援センター、具体的な子育ての方法などを伝授する子育て応援館を整備しています。

また、特色ある教育という事で、特に驚いたのは、小規模校について、早期から英語教育を実践し、特例で区割りを廃止し、全市から生徒を受け入れるという事も行い、15人以上の校区外の生徒が

 やはり教育では適当な規模の集団の中でコミュニケーションを行い、良い意味での競争意識を持つという事も重要になると考えます。

 三木市でも既に複式学級となっている小規模校もあります。鈴鹿市の事例は大いに参考にしたいと思います。

 また、鈴鹿は自動車関連のものづくりのまちでもあり、その分野でも特色ある取組をされていました。

 まず、市の公用車を電気自動車に変え、水素ステーションを設置。

 三重ライフイノベーション総合特区に入っている事を利用し、大学で1日目の山海先生の企業ともコラボしてロボットを開発。

 企業誘致については、新規の企業誘致だけではなく、既存企業の研究開発投資のための増設(マザー工場化)への補助も効果を挙げているようです。

 既存企業のマザー工場化に対する助成制度の創設ついても三木市は今後検討すべきだと思います。

 また、企業からのニーズの多い、工業系高校の新設についても県に要望しているようです。

 工場等で働く外国人が7000人と多い事も市の特徴ですが、色々な対策もとられているようでした。

 

 次に、ひたちなか市の本間市長の講演ですが、これもおもしろかったです。

 日立関係の企業が多く立地しているという事です。企業の税収が大きいだろうと思いますが、やはり、販売不振の商品の生産が中止になったり、産業の変遷による影響が大きいようです。

 ひたち海浜公園には美しいネモフィラの花畑があり、国内最大級の野外フェスであるロックインジャパンフェスも開催されます。

 ひたちなか市では特に廃線を乗り切ったローカル線も有名です。

 ピーク時は200万人の輸送量のあったひたちなか海浜鉄道湊線は、70万人にまで落ち込み、廃線の危機にあいました。その時、市民の中で応援団が結成され、市も三セクとして残す事になりました。市長は3セク運営会社の社長を公募し運営を任せましたが、その結果、輸送客も年間100万人に回復しました。

 ローカル線を立て直した社長として全国的にも有名になったそうですが、立て直しには市民の力も大きかったようです。応援団は三セクとして運営し存続するとなれば、活動が普通は停滞するところですが、今でも非常に活発に活動されているそうです。

 こんなに市民の協力が得られるのも、企業城下町として全国から様々な人が集まっており、自分達でルールを決めようという精神があるからではないかと市長はおっしゃていました。

 

 次に、工藤教授の話では、国内で活発化してきたアートフェスティバルなどの取組について説明がありました。

 瀬戸内国際芸術祭や、廃校を利用した中之条ビエンナーレなど、先進的な取組を紹介いただきました。

 アートイベントの海外の事例として、イタリアでは、哲学、文学、果ては一見観光に結びつかなそうな経済までも小さいまちが、アートイベントとして開催しています。

 いずれも2000年頃から歴史は浅いですが、人を集めているそうです。

 また、自治体の芸術活動の支援の問題点についても指摘され、イタリアのイゼオ湖での島をつなぐ浮橋のアートの事例が紹介されました。

 アート自体の建設費などのコストは作家が負担したものの、人数が想定よりも大幅に増加した事、費用面では交通インフラ、警備、救急などの費用がかかった事、経済効果はあったが、短期集中での誘客になり、いつものバカンス中心の宿泊行動から消費が変わった事、作家の意向により無料開放した事で、費用の回収ができなかった事などを指摘されていました。

 やはり、アートイベント

 

次に、ファジアーノ岡山の木村氏は一度もJ1に昇格していないJ2のチームでありながらも、1試合平均1万人の観客を集める「チャレンジ1」という取組をしています。

 現在9800人を見込み、目標達成まであと少しという事です。

 スタジアムに来てくれるファンを獲得するには、地域の名前を名乗るだけ、強いだけではダメで、徹底して町に出る事が重要という事でした。

 選手は茶髪を禁止し、自治会にあいさつに行ったり、出前サッカー講座を何回も開き、サッカースクールには多くの子どもが在籍しています。すごいなと思いました。

 プロスポーツがある云々はおくとして、スポーツを通じて、まちが盛り上がり、市民の中で様々な交流が広がるという事が必要だな思います。

 

 最後に、私が前から注目していた木下氏ですが、「稼ぐインフラ」をテーマに、全国の先進事例を紹介し、分析してくれました。

 全国に公的不動産は570兆円あるそうです。

 人口減少社会においては公共施設の維持費を考えると今のままではもたない。現在、国の指導で総合管理計画の策定を進めているが、一時期に縮小均衡をしているだけでは同じ繰り返しになるのでダメだ。

 これからは公共施設を「稼ぐインフラ」に変えなければいけないと指摘しました。

 

 春日井市のTANEYAでは、古民家をリノベーションし、若手の経営者がシェアしてそれぞれの事業を行うまち起業シェア店舗としています。補助金は使わず、銀行で資金調達しています。

 札幌市の公園では、夏にビアガーデンをやって人を集めています。

 千代田区の3331Artschiyodaでは廃校を利用してアートギャラリーをしています。

 岩手県紫波町のオガールプラザは、県から買って塩漬けになった「日本一高い雪捨て場」と言われていた土地に、官民で三セクを立ち上げ、建設費は全て三セクが銀行から資金調達し、併設する体育館、スーパーマーケットは全て民間持ちで建設し、賃料も市に支払われ、公共施設部分の維持費にあてられています。

 

 木下氏は「まともな民間」「劣悪な民間」というきつい言葉を使っていました。まともな民間とは自前で資金を調達し事業を展開する企業の事、劣悪な民間とは補助金をあてにした事業を行う企業の事です。そろそろ行政はまともな民間と組むべきだという指摘でした。

 また、シンクしないシンクタンクという言葉も使っていました。シンクしないムダなコンサルは使うぐらいなら、先進自治体のアイデアを買った方が良いという事でした。

 

 「稼ぐインフラ」に関しては私も以前議会で質問しました。その際、市は理解は示しましたが、実施についてはまだまだという感じでした。 

 今の指定管理などとは次元の違う、民間活力導入を本気でしないといけないと思います。

 正直に言って、三木市は「稼ぐインフラ」はまだまだだと思いますので、今後更に政策提言をして、稼ぐインフラとなるように提案していきたいと思います。