6日、7日の2日間の日程で開催された、全国の市長や学識経験者らが都市の課題などを話し合う「第78回全国都市問題会議」(全国市長会など主催)に行ってきました。

 

今年度は「人が集いめぐるまちづくり―国内外にひらかれた都市の活力創出戦略」をテーマに、初日は事例報告、2日目はパネルディスカッションが実施されました。

 

1日目は開催市の岡山市長、法政大学陣内教授、橿原市長、筑波大学大学院教授で大学発ベンチャー「サイバーダイン社」の社長でもある山海嘉之氏の発表がありました。

私は陣内教授の発表から聞きました。

 

 

陣内教授は都市の景観、個性のあるまちづくりの先進事例について発表されました。

地方の古民家など歴史的景観を活用し、アーティストとのコラボなどで人が集まる施設にする取組。また、東京のお台場、大阪の北浜テラスやロンドン、ニューヨークなど、水辺の景観が世界的に注目されている事。

最近では、NHKの「ブラタモリ」などで開発で風景が変わっても、地形は変わらない事が再発見されている事など、色々と勉強になりました。

 

奈良県橿原市の森下市長は、時折笑いを取り交ぜながら楽しい発表をされました。

日本最古の都「藤原京」(推古、斉明、持統の3名の女性天皇の時代の都)の所在地であり、日本最古の天皇「神武天皇」を祀る橿原神宮がある橿原市での歴史を活かした橿原市の誘客の取組を説明されました。

次に、奈良県と県内各市が連携して様々な行政課題に取り組む『奈良モデル』の取組について説明されました。

震災時に機能しなかった事を教訓として県内39自治体が消防を広域化した事、複数の自治体で広域のバス路線の存廃を協議し残すべきものは相互に協力する仕組みや、ゴミ処理の広域化、水道の県水の引き下げなど、『奈良モデル』では、様々な面で県と市が一緒に協議して、県が財政負担もしてくれる仕組みとなっていると説明されました

県との連携が非常に大事だと力説され、三木市も見習わなくてはと感じました。

 奈良では、『大仏商法』という言葉があるらしいです。言い方が悪いですが、大仏があるから勝手にお客(修学旅行等)が来てくれるという商法です。その結果として、奈良県はホテル数・宿泊客が全国最下位となったそうです。

市長はその状況を改善するため、市役所の新庁舎にホテルを併設した複合施設を建設する事としました。建設費抑制のため、民間資金を活用するPFIの手法がとられています。

とはいえ、これによって、選挙では対抗馬が立ち、危ない目にもあったそうですが。

 若者の魅力的な働く場の確保策として、今まで卒業生がほとんど市内に残らなかった県立医科大学のリニューアルと周辺の新駅設置をする予定だそうです。

 

1日目で一番おもしろかったのは最後の山海教授の発表でした。

タイトルは「革新的サイバニックシステムによる社会変革・未来開拓への取組」という事で、正直なんのことやらと思っておりましたが、やっている事は非常にすごい技術で、人に貢献する素晴らしい事業です。

山海氏は大学発ベンチャー「サイバーダイン」で介護用ロボットスーツ「HAL(ハル)」 を開発しました。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」でも紹介された方です。

介護用ロボットというと、介護者が使うパワーアシストスーツみたいなものを私は想像してましたが、そうではなく(サイバーダインにはそういう商品もありますが)、色々な難病や外傷で足が動かなくなった人の脳の神経信号を読み取り、ロボットが足を動かすというものです。

動画を見せていただきましたが、5年間足がピクリとも動かなかった人が足を動かすという事を考え、練習すれば、ロボットの足が思ったように動くというものでした。

 また、ロボットが動くだけではなく、HALで練習して神経が繋がる事で、ロボットを外しても、足が動くようになりました。つまり、ロボットで足が動くだけでなく、リハビリに大きな効果があるのです。

 北播磨総合医療センターは急性期病院なので、HALの導入などは無理と思いますが、こういう技術が当たり前になって欲しいなと思います。

 

 山海氏はこういう製品を作りたいと思っても、中々動いてくれる会社がなく、自分で作ろうという事で、大学発ベンチャーの制度自体も国に働きかけて作りながら創業しました。

 なんとこの分野のISOの新たな企画もほとんど自分達で作ったそうです。

 起業家としての取組にも大変刺激を受けました。

 サイバーダインは東証マザーズに上場し、時価総額は3000億円以上の会社となっています。まだ赤字状態のようですが、黒字に転換して頑張って欲しいと思います。