リオオリンピックでは日本人選手が連日のメダルラッシュと大活躍しており、私も夢中になっております。

 皆様はいかがお過ごしでしょうか。

 祭りや会報の配送などもあって、ご報告が遅くなりましたが、8月2日(火)~4日(木)にかけて行ってまいりました民生生活常任委員会の行政視察についてご報告いたします。 

 今回の視察先については、私は福井県鯖江市を視察先に挙げていたのですが、先方の都合が悪く受入れができませんでしたが、他の視察先も有意義なものとなりました。

 今回の視察先は北陸地方の以下の4市です。

1.石川県加賀市 高齢者お達者プランの取組(2日)
2.福井県福井市 観光おもてなし市民運動(3日)
3.石川県羽咋市 神子原地区の特徴的な取組(3日)
4.富山県小矢部市 アウトレットパークの誘致(4日)


1.石川県加賀市 高齢者お達者プランの取組
 加賀市の視察については、介護の全体的な取組についての説明がありました。

 

 まず加賀市の介護施設の特徴としては以下のようなものです。 

 ①特別養護老人ホームが足りている(石川県全体でも全国平均を上回る。加賀市ではわゆる待機高齢者があまりおらず、数カ月待ちで入居可能)

 ②老人保健施設が多い

 ③訪問(在宅)介護が弱い

 ④通所系は中程度

 

 そのような中で、加賀市では今後は大型の特養を建てず、郊外に建てられ老朽化した大型の特養を分散・小規模化して地域密着型の特養を建てるという方針で整備が進められています。

 これにより、地域包括ケアシステムの拠点として新たな支援を考えていくという方針のようです。


 例えば、100床の大型特養を、ショッピングセンター跡地42床の本体施設、2地区に29床ずつのサテライトを建設するという具合に分散化がすすめられています。


 これに対して、私は老朽施設を建て替えるのと分散・小規模化する事の経費の差についての考えを質問しました。

 整備のイニシャルコストに関しては補助金が活用できるので、そこまで大きな差は無いが、警備や管理部門などの人件費が増えるため、ランニングコストはやはり高くなるという回答でした。


 また、加賀市ではデイサービス、ショートステイ、ホームヘルプの3機能を提供する介護予防拠点として、小規模多機能ホームを全中学校区で整備する予定となっております。

 これらは全て民間の負担で整備するという事で良い制度だなと感じました。


 高齢者お達者プランについてはサポーターの養成講座でサポーターを養成し、地域の人とともに各地で教室等を開催しています。

 また、今年4月からは介護予防の総合事業を見据える中で、シルバーとJAの婦人部に委託し、家事支援事業をスタートさせました。(1時間個人負担200円、市負担600円)

 これも具体的な良い制度だなと感じました。


2.福井県福井市 観光おもてなし市民運動

 2日目の1か所目は福井市の観光おもてなし市民運動について視察しました。

 福井市は県庁所在地県の中核都市で、三木市とは規模の違いはありますが、観光についての考え方は非常に参考になりました。


 福井市は観光振興の課題として、まずは「福井市民が福井の魅力を知らない、自信が無い」という課題に着目しました。

 これは最近ネスタリゾートがオープンしたとは言え、三木市についても共通しているのではないでしょうか。


 福井県の県民性として、大人しく、人に声をかける事もためらいがち(迷惑ではないかという思いから)であるという事でありました。良い意味でのお節介さが足りない市民性だという事です。


 福井市はそういう市民の皆様に対して、研修やシンポジウムなどを通じて、観光おもてなし市民運動を広げています。

 また、特にタクシーなどの直接観光客とふれあうサービス事業者に対しての研修に力を入れているという事です。

 また、観光地にアンケート用紙を置き、観光客に対して抽選で地元の名産品があたる「おもてなしアンケート」を実施しているとの事です。アンケートには良い感想だけでなく、苦情も受け入れており、アンケートの結果を「おもてなし体験だより」として冊子にまとめてあります。

 現在85%が高評価ですが、今後は95%を目指していくとの事でありました。


 「困っている観光客を積極的に助けるか」という設問で市民意識調査も行うという事です。

 来年は福井国体が、平成33年には北陸新幹線が福井まで開業という大きなイベントもあり、国体ボランティアや観光ガイドの養成などに運動をつなげていきたいという事でありました。


 市民がよそから来た方に対して、自分達のまちを紹介できる事、これはまちの規模に関係無く実施できて、非常に大事な事だと思います。

 市民意識調査、おもてなしアンケート、市民・事業者向けおもてなし研修など、観光おもてなし市民運動の精神を三木市でも是非取り入れたいと思いました。


 その他にも、福井市は元ANAの広報担当を市の広報担当に据え、観光パンフレットは全国の観光パンフレット審査で最優秀賞を受賞したという事です。

 また、パンフレットに付属の小冊子では、飲食店など料理の写真付きで作ってありました。 

 行政が特定の事業者を取り上げるのは難しいので、市民からの紹介という形で挙げたという事です。

 今回の視察先の他市のパンフレットでも、地元の商店を料理の写真付きで紹介している所が多くありました。

 三木市もこうした面はしっかりと見習わないといけないと思います。



3.石川県羽咋市 神子原地区の特徴的な取組

 TBSの日曜劇場「ナポレオンの村」のモデルとなった、羽咋市の神子原米のブランド化の取組については、いわゆる「スーパー公務員」と言われる人は個人でもすごい事ができるなと感じるものでありました。

 コシヒカリの名産地である神子原地区(450人 20年間で半減)ですが、高齢化率が54%といわゆる限界集落と言われる状況となりました。

 そうした中で、元々メディア関係の職についていた一人の公務員が「農業を職業の選択肢の一つにする」事を目的に、地元の美味しいコシヒカリを神子原米としてブランド化する事にしました。


 とは言え、最初ブランド化に賛同した農家は3件しかなく、「そんな事できるわけない」という反応が大半だったようです。


 ブランド戦略の方針としては、農家が自ら値段をつけ、ターゲットは超高級志向のロイヤルインペリアルユーザーとし、デパートの地下食品売り場で販売するという方法を採りました。


 また、メディア出身者だけあって情報戦略が非常にうまく、神子原という地名から、ローマ法王に米を献上し、宣伝するという方法を思いつき、それを実現したという事もありました。


 ニュースなどに取り上げられる事により、宣伝費をかけずブランドをPRする事ができました。

 東京の外国人記者クラブで記者会見する事により、海外で神子原米が取り上げられ、それが逆輸入の形でより大きく日本で取り上げられるというPRも行ったという事です。


 完成した米は1俵1万3千円⇒4万2千円と3倍に上がり、神子原米で作った日本酒は日本一の値段720ml/33,600円で販売するなど、高付加価値な商品ブランドとなりました。


 米のブランド化以外にも様々な施策を実施しました。

 空き家と農地をセットで月2万円で貸し出す「空き農家・農地情報バンク制度」や、大学生の夏休みに農業の手伝いをしてもらいながら泊まってもらう「烏帽子親農家制度」や「援農合宿」、「農家カフェ」の開業など、移住人口と交流人口の増加策を積極的に展開してきたという事です


 これらの施策により、神子原では、数十年ぶりに子供が産まれたり、平均年齢が下がった事で一時的に限界集落を脱したという事でした。


 しかし、担当者が退職した現在では実施されていないものが多く、少し残念でした。


 私も以前、農地と家屋のセットでの農村移住を考えるように三木市に提案しましたが、こういった取組を三木市の農村地域でも是非実施していきたいと思います。



4.富山県小矢部市 アウトレットパークの誘致

 3日目の最後は小矢部市のアウトレット誘致について聞いてきました。

 

 小矢部市は市長がアウトレット誘致を公約に掲げ当選しましたが、トップセールスによりアウトレとの誘致に成功したという事です。


 小矢部市の誘致では、市は用地の取得、造成、移転補償、道路等のインフラ整備までを行い事業者は土地の賃借料を支払うという形態での誘致でありました。


 用地取得・造成等の費用が30億、インフラ整備に8億ぐらいかかるという事です。


 用地費等の30億については、貸付収入年7800万円固定資産税・法人市民税収年1.5億円等で16年間でペイできる予定となっています。(誘致助成制度は投資時の1億円のみ)


 アウトレットとしては北陸初の進出で100キロ圏内に他の事業者が無く、交通の利便性も高い立地であった事が誘致の要因でありました。


 用途地域も始めから準工業地域と開発地域であった事も大きいと思います。


 年間の入込目標は350万人ですが、その目標を達成しているという事です。


 単にアウトレットだけにお客さんが来てもまちの発展にはつながらないため、少なくとも350万人の1%はまちなかに呼び込むという事を目標にしていますが、全体として3%の入込増加につながっているという事です。

 アウトレットのすぐ近くに道の駅もありますが、相乗効果で3割増と客数が大きく増えています。宿泊も3割増となっています。

 地域の商店街については0.4%と目標の1%には達していないものの増加しているという事です。


 雇用については1500人~2000人の雇用が生まれたという事ですが、アンケートの結果(回答数250人程度)では正規社員が4割程度を占めているという事です。

 (地元の雇用は1割程度との事。小矢部市の人口は3万人で金沢の隣接市などで仕方ないと思います)

 ファッション関係だとアルバイトなど非正規雇用が多いのではないかと思っていましたが、そうではないようです。 小矢部市の担当者も思ったよりも多かったと言っていました。

 

 小矢部市も例に漏れず、少子高齢化で人口減少が進んでいましたが、アウトレット開業の効果により、数十年ぶりに社会増に転じたという事です。


 誘致の決め手となったのは、地権者全ての同意が取れたからだという事です。

 それによって初めて民間が意見を表明してくれたようです。


 改めて、アウトレットの経済効果、人口に与える効果は大きい物があるなと思いました。

 市の知名度の点でも、アウトレットのある小矢部として有名になったという事でした。

 三木市の進める大型集客施設の誘致とは環境が大きく違いますが、こういう先進事例を大いに参考にしていきたいと思います。



 今回の視察も様々な質問をして、丁寧に教えていただいた結果、実りの多い物となったと思います。