昨日の東京都知事選は3強の戦いといわれておりましたが、小池百合子氏が増田氏、鳥越氏を大きく引き離して圧勝。東京初の女性知事誕生という結果となりました。


 事前の予想どおりですが、個人的には子供の頃から東京が嫌いだった候補都知事にならなかった事も含めて小池氏で良かったなと思います。

 注目を集めた今回の都知事選ですが、投票率は59.73%(前回46.14%)。都市部の選挙としては非常に高かったのではないでしょうか。


 先に結論的な事を書くと、今回は保守分裂、野党統一の選挙でしたが、地方政治と国政は別物であり、国政政党の推薦、組織力はそこまで影響は無いという事だなと思います。



 私と小池氏ではスケールが違いますが同じ政治家として、小池氏の今回の動きは本当に上手く時流に乗ったなと感心しています。相手陣営の自滅も多分にありましたが。

 とても勉強になりました。


 舛添氏のスキャンダルによる辞職後の都知事選でした。 (舛添都政は共産以外のオール与党)   

 都民は舛添都政を生んだ、都議会に対して政治不信があったのではないかと思います。


 本来なら受け皿になってもおかしくない野党統一候補にそういった批判票が全く流れずに、保守分裂をしても議会改革の姿勢を打ち出した小池氏に票が流れたという点がそれを裏付けています。


 今回の都民の選択は都議会に対して無言のプレッシャーを突きつけると思います。

 今回、自民党都連は石原伸晃会長と、都議会のドン内田茂幹事長の連名で、小池氏を応援した党員は親族も含めて処罰するという通達を出しました。


 親の罪が子に及ぶというような、非民主的な時代錯誤のお触れを出したのは完全な逆効果でありました。

 石原伸晃氏については、父親の石原慎太郎氏が小池氏を「厚化粧の嘘つき」と言って、逆に女性からの評判を落としたという事もありました。


 内田氏については都議会を牛耳る権力者という事が度々取り上げられるようになり、同僚の自民党都議が内田氏に恨みを抱いて自殺したという報道や、自身が役員を務める会社が五輪関係工事を受注したという報道も出されています。



 昨日の記者会見で石原氏は謝罪のコメントは出したものの、記者の質問は受け付けず帰ったという事です。


 都議会のドン内田氏は「小池支援の議員への処分は?」などの質問に終始無言だったという事です。


 余談ですが、自称「聞く耳を持つ」候補の鳥越氏は選挙特番での厳しい質問で知られる池上彰氏の質問を拒否。この人は本当ダメだなと改めて思いました。

 勉強不足、言行不一致、他人に厳しく自分に甘い人柄や過去のスキャンダルがばれただけで何も良い事がなかったのではないでしょうか。

 はい、もうどうでもよいですね。



 来年には都議会議員選挙があります

 石原、内田両名の処分をきちんとしないと都議会で圧倒的多数を占める自民党東京都連と言えども、小池新党が立ち上がり、議会でも保守分裂となれば選挙で負ける可能性もあるのではないかと思います。


 自民党都連にとっては、石原、内田の責任を追及し、新体制をアピールするというのが賢い選択肢だと私は思いますがいかがでしょうか。

 さて、今回の都知事選挙の国政への影響はどのようなものでしょうか。

 結局のところ、与野党のバランスが逆転するというような影響が出る事はありえないと私は考えます。


 上述のように、自民党も都議会では多少ダメージを受けるでしょう。

 しかし、それは分裂選挙となった自民党よりも、野党(特に民進党)の受けたダメージの方がはるかに大きいため、相対的に自民党へのダメージは少なくなるからです。


 安倍首相は情勢を読み、ビデオメッセージだけで直接の応援には入りませんでした。その辺りは流石だなと思います。閣僚の石原伸晃氏が失点したぐらいではないでしょうか。


 方や野党についてですが、民進党は岡田代表が都知事選挙最終日に党代表辞任の意向を表明するなど非常に混乱しています


 岡田氏自身は「ゲスの勘繰りだ」と否定していますが、都知事選挙に野党統一候補を党本部主導で立てておきながら惨敗の責任を取るという引責辞任というイメージを回避するため、結果が出る前に代表辞任の意向を示したと言われています。


 どう言い訳をしようが、誰がどう見ても選挙の最終日(=投票日前日)に辞任の意向を伝えるなどおかしいとしか言いようがありません

 図星を付かれて怒っているのでしょう。民進党東京都連は別の人(I'm not ABEの古賀茂明氏)を擁立しようとしたところを党本部が鳥越氏を連れてきたのです。


 岡田代表に対しては身内からも「敵前逃亡だ」「鳥越を連れてきた責任を果たせ」という声が公然と上がり、岡田氏主導の野党共闘路線に対する疑念の声も高まってきつつあります。

 

 9月の代表選挙で新代表が誰になるかによって、今回の都知事選が野党共闘の最後となるかも知れません。


 共産党は野党共闘を優先するためこれまで推薦してきた宇都宮健児氏をひきずり落とした事は信頼を失う大きな失点でしょう。

 宇都宮氏は過去2回の都知事選挙でともに共産党の推薦で100万票近く獲得してきました。

 正直、政策が無く知名度だけの鳥越氏よりも宇都宮氏を野党統一候補にした方が良かったのではないでしょうか。

 

 中盤以降、鳥越氏の情勢が悪くなってくると、野党陣営は自分達が立候補をやめさせた宇都宮氏に応援演説してくれと泣きつきましたが、宇都宮氏に「鳥越氏は女性の人権問題(例の女性スキャンダルの事)を説明しないので応援できない」と断られ、それに対して「もっと立派な人だと思っていた」などと逆ギレで攻撃するという始末です。

 

 女性問題の出た鳥越氏は「女性によし」とか意味不明な事を言っていましたが、共産党他野党の女性議員が多く応援に入っていました。あの人達はどう思っているのでしょうか。

 自分の身内の問題ならば普段言っている事を無かった事にするのか。


 裁判で文春、新潮の主張が正しいと認められれば、普段は「弱者の味方」などと言っている共産党の化けの皮がはがれる事になります。(訴訟になる前に鳥越氏は訴訟取り下げるというのがもっぱらの評判ですが)


 今から楽しみです。