参議院選挙が終わったのも束の間、今度は首都東京の知事を選ぶ都知事選が始まります。

 しかし、今回の都知事選挙はカオスでどうなるのか全く見えません。
 
 都民の皆様は大変だなと思います。

 そもそも、今回、急きょ東京都知事選挙となったのは、舛添前知事の政治資金に関する疑惑からでした。

 都市外交などと言って、豪華なホテルに泊まる海外出張費のムダ使い国会議員時代からの公私の区別がついていない「せこい」収支報告などの数々の問題が炎上し、辞任に追い込まれる事となりました。

 私もさすがに、「書道がしやすいから」という理由で中国のシルクの服を買ったというのを政治資金収支報告書にあげているのは失笑せざるをえませんでした。

 自治体に外交権は無く、あっても普通は友好都市とかそのぐらいの交流ですが、オリンピックをやるからという理由で、目立つパフォーマンスばかりであったという批判もありました。

 舛添氏の前の猪瀬知事も不祥事で辞任しており、2代続けて任期途中での知事辞任となったため、舛添氏辞任後すぐの段階では、「地味な実務家に都知事になって欲しい」「また知名度だけで選んだら大変だ」という声がTVでもよく聞かれていたはずです。
 
 実際、自民党の実施した世論調査では、前総務次官の桜井俊氏が支持率トップという事でありました。桜井氏はアイドルグループ嵐の桜井翔さんのお父さんという間接的な知名度もあり、地方行政を主管する総務省の役人のトップとして実務能力もあるという点が支持されていたように思います。
 私も全く同意見でありました。
 
 しかし、桜井氏が出馬を固辞すると知事選は一気に混迷の度を深める事になります。
 
 まずは小池百合子氏が突如、自民党東京都連の方針に反旗を翻し、出馬を表明しました。

 小池氏は小泉政権で環境大臣、第一次安倍政権で防衛大臣と要職を歴任してきましたが、安倍総理が再起をかけた自民党総裁選に安倍氏ではなく、石破氏を担いだ事によって、要職からは外れた感がありました。
 国政で活躍ができない小池氏にとっては政治生活の締めくくりに都知事になりたいという思いがあったのでしょうが、国会議員出身の舛添氏の不祥事もあり、自民党都連として小池氏を擁立する事はありませんでした。

 それに反発した小池氏は、都議会自民党が舛添問題を起こしたそもそもの温床であると、
関係の深い小泉氏譲りのスタイルで都議会自民党が「抵抗勢力」だと切って捨て、知事に権限の無い冒頭解散にまで言及しました。(知事は不信任可決時しか解散権はありません)
 メディアを上手く使って敵を作った小池氏はどうなるのか、小泉劇場の再現となるのか、私にはよくわかりません。
 

 一方で、自民党都連は元総務大臣、岩手県知事の増田寛也氏を候補に決定しました。
 増田氏は地方行政にくわしく、実務能力があるとは思います。
 また、自公の推薦を受けて、組織での選挙戦に臨むと思います。

 しかしながら、50年後に女性人口が半減する都市を「消滅可能性都市」と定義し、地方消滅を回避するため、東京一極集中の是正を呼びかけてきた張本人であります。
 東京都知事として、例えば待機児童を減らすなどと東京を良くするという事は、一極集中を批判してきた言動と矛盾するのではないかと思います。


 民進党では、当初は参議院議員の蓮舫氏、衆議院議員の長島昭久氏が都知事候補として挙がっていました。
 しかし、蓮舫氏は参議院選挙出馬でその芽が消えました。
 長島氏は「民進党にいるのが不思議」と言われるほど憲法改正にも前向きな保守論者であり、自民党との相乗りが期待できると見られていましたが結局は無くなりました。

 出馬断念の会見で長島氏は「私は元々国政レベルでも共産党との共闘を民進党が本当にやるべきなのかと大いに疑問を持っていました。別の人間を立てるという事で私としては断念せざるをえない」と述べました。
 私も長島氏と全く同じ意見です。

 次に、俳優の石田純一氏が野党統一候補による立候補を表明しましたが、会見ではもっぱら都政に関係ない国政批判(安倍政権批判)を繰り返し、都政についてはこれから考えるというような姿勢であり、デモに参加したぐらいで政治活動も皆無のため、インターネット中心に大きな批判を浴びました。
 
 その次に公示直前になり、野党統一候補として、ジャーナリストの鳥越俊太郎(76歳)の擁立が決まりました。
 鳥越氏は参議院選挙の野党惨敗の結果を見て、都知事に出なければという思いを持ったらしく、国政については語るが、肝心の政策についてはこれからという姿勢でありました。鳥越氏と石田純一氏とどこが違うのでしょうか
 話を聞いていても全く同じレベルでした。公約も無く、一般論しか言えない。
 しかも、何度もガンを患い、76歳と高齢で体調面の不安もあります。
 これが知名度だのみの候補者ではなくて何なのでしょうか

 また、鳥越氏による野党統一選挙に乗った共産党ですが、元々は、前回の都知事選挙で支援し、98万票と次点であった宇都宮健児氏を擁立すると見られていました。
 しかし、参議院選挙と同様に、降って湧いた鳥越氏を推薦する事に決め、宇都宮氏のはしごを外す事になりました。
 私は好きでは無いですが、宇都宮氏は過去3度知事選に出馬し、東京のための政策を掲げていると思います。
 その候補を取り下げ、政策も全く無い民進党の候補を応援する
 これが野合ではなくて何なのでしょうか。

 宇都宮氏自身の言葉を引用したいと思います。
 「野党4党から全く話は聞いていない。密室で協議されており、都政に対しての政策協定も発表されていない。これでは著名で勝てる候補を探してきた与党と一緒。野合と言われても仕方ない」
 「共産党から出馬断念を説得された。石田さんは石田さん、古賀さんは古賀さんなりに人生をかけて決断したと思うんです。野党の皆さんは候補者のことを何だと思っているんだ」

 いったい民進党、共産党とは何なのでしょうか
知名度だけで選挙に勝てば良いのか。あまりにも都民をバカにしていると思います。まあ勝てないでしょうけど。

 今回の都知事選挙では、知名度頼みの候補はやめよう、地味な実務家を選ぼうという選挙では無かったのか

 メディアはそんな事はもう忘れたかのように、面白おかしく視聴率が取れるような報道をする事でしょう。政策なんて二の次になっています。

 都民の皆様、大変でしょうが、各候補の政策で慎重に選んでいただければと思います。

 私は賢明な都民の皆様は、きっと適切な判断を下すと私は思っています。