昨日の毎日新聞に選挙序盤情勢についての世論調査(22日、23日実施)が出ておりました。

 

 まだまだ序盤情勢ではありますが、見出しは「改憲勢力3分の2うかがう」となっており、「憲法改正に前向きな自民、公明両党など4党が、非改選も含めて改憲発議に必要な3分の2(162議席)に達する78議席の獲得をうかがう」という内容となっておりました。

 78議席という事になると、安倍首相が設定した「勝敗ライン」改選過半数61議席を大きく上回る事となります。

 

 自民党の予想獲得議席は58議席以上と、参院自民単独過半数の57議席を上回る予想となっており、公明党も改選前議席を上回る見込みとなっています。
 おおさか維新は改選2議席を数議席伸ばす見込み。


 一方で、党は伸び悩み、改選議席数46議席を半減する可能性もあると指摘されています。


 共産党は現有3議席から大きく伸ばす見込みで、野党の票の食い合いをしている感があります。

 社民は比例で1議席獲得(1議席減)。

 その他は議席獲得の見込みが立っていません。

 全国で32か所ある「一人区」は、民共主体の野党統一候補が注目されましたが、現時点では自民党優勢が26選挙区与野党拮抗しているのが3選挙区野党優勢は宮城、山形、沖縄の3選挙区にとどまっています。

 

 以上のように、まだまだ選挙序盤の情勢ではありますが、与党圧倒的な情勢が伝えられております。


 前回、私は対案を全く示さず、安倍政権批判に終始する民進党・共産党を批判する記事を書きましたが、世論調査を見ると、多くの国民の皆様も同じ感想なのかなと感じました。


 参議院選挙は衆議院選挙とは違い、政権交代選挙ではありません。

 

 とはいえ、現政権を批判するだけで、何ら対案を示さないという態度は国民から見て、「この人達は政権を担う気持ちは無いのか。それなら投票しても無駄だな」と思われても仕方がない私は思います。


 

 そんな中で、昨日はイギリスのEU離脱の国民投票で離脱が決定されました。

 

 実際にEUを離脱するのはまだ先の話ですが、離脱は無いと見込んでいた金融市場にとっては非常に衝撃的なニュースとなり、世界的同時株安が発生しました。

 「有事の円買い」という言葉どおり、いつも通り日本も大きく円高、株安となりました。


 私自身も昨年のアイルランド独立の国民投票を見ても、最終的には現状維持が選択された事もあり、離脱は無いだろうと思っていただけに、大きな衝撃を受けました。

 



 英国民がなぜEU離脱を選んだのでしょうか。

 背景にはやはり急増している移民・難民問題があると思います。


 イギリスは日本と違い、元々移民、難民が多く入っている国です。

 移民人口は2010年で645万人、その後も増え続けており、シリア難民問題で去年1年間で33万人増えたと言われています。人口6410万人ですから、優に人口の1割を超えています。


 フランス、ベルギーでは移民の子供がテロを起こすというホームグロウンテロが起きるなど、治安の問題や、低賃金の労働者が増える事による雇用問題についての不満が非常に高まっています。


 これは何もイギリスだけの問題ではありません。欧州各国では、「EU離脱、移民受け入れ制限」等を掲げる右派政党への支持が高まっております

 シリア難民の受け入れのきっかけを作ったドイツでさえ、ドイツのための選択肢という右派政党が躍進しています。


 リベラルの人達はすぐに「日本の移民受け入れが少ない」「ドイツを見習え」などと言っていますが、急増する移民・難民という現実に直面している国がどういう行動を取ったのか、この現実から目を背けてはいけないと考えます。


 今回のイギリスの離脱は、欧州各国のEU離脱ドミノの最初の動きだと見る向きもあります。

 ユーロ内の勝ち組ドイツはともかく、特に経済的に厳しい南欧諸国には、既に国民投票を決めている国もあり、後に続くのは十分考えられます。


 次には主権の問題です。


 欧州議会には議案の提案権が無く、EUの官僚が決めた政策が加盟国に押し付けられるという体制であり、イギリス国民から見れば、主権が侵害され、自分達で決められないという不満があります。

 また、EUに対するイギリスの分担金は1兆5000億円。今後アフリカからの難民が増えれば、更に上増しされる事になります。


 また、イギリスはEUに距離を取ってきた独自路線を取っていた国です。

 共通通貨ユーロを採用せず、自国通貨ポンドの継続使用しています。

 このように元から独自路線なので、離脱がしやすいという事もあるでしょう。


 ユーロ加盟しなかった事には大きな意味があります。

 ユーロに加盟すると、ユーロ加盟国全てに対して一つの金融政策しか取れなくなり、つまり、金融政策の自由を失う事となります。


 例えば、ドイツがバブル景気なのに、フランスがデフレ不況の場合、金融政策で不況対策で緩和策を採るのか、バブル対策で引き締め策を採るのか、どちらを選ぶかは非常に難しいかじ取りです。


 私からすると、共通通貨なんてそもそも無茶な話だと思いますが、その点、イギリスはユーロには入らず金融政策の自立性を保ったまま、EU加盟により関税はかからないというしたたかな経済戦略を実行しておりました。


 だからこそ、イギリスはそのメリットを捨ててまではEU離脱はしないだろうと思っていました。

 しかしながら、移民問題、イギリスの主権に対する考え、プライドの高さなどから離脱意見がメリットを上回り離脱が決定されてしまいました。


 離脱の影響は非常に大きく、リーマンショック並の世界恐慌に陥る可能性すらあると私は考えます。

 

 余談ですが、安倍首相に批判的なメディアはサミットでの安倍首相の発言に対して「リーマンショック前とはとても言えない」などと批判し、安倍首相も「リーマンショックのような状況ではない」と後で否定しましたが、リーマンショック前という言葉は今になって見るとあながち間違えでは無かったと思います。



 試算ではイギリスの経済成長は3%~6%のマイナス成長となり、50万人の失業者が発生する言われております。これは大きなダメージです。


 イギリスは金融立国と呼ばれるように、戦後の製造業が不振になった後、金融経済にシフトして生き延びてきたという歴史があります。

 ロンドンのシティでは外国為替の取引高が世界の4割を占めるほどで、世界の金融センターとして、各国の企業が支社を置いています。


 しかし、イギリスがEUとのつながりが薄くなり、ポンド安が進み不況となれば、当然、イギリスに企業を置いておくメリットが無くなるため、イギリスから海外企業の撤退が進むでしょう。


 この風向きが変わるというような状況は当分無いでしょう


 それどころか、今はまだ何とかごまかしている中国経済の不況が表面化する可能性すらあります。そうなってはリーマンショックどころではありません。



 このように今日の世界の経済状況は大変な危機的状況にあります。

 

 話を参議院選挙に戻すと、こんな危機の事態に、経済政策の対案が一切出せない野党には私は全く期待できません


 今回のイギリスのEU離脱は、元々3分の1すら取れないという予想が出ている民進党・共産党などの野党にとって益々不利になる事態になると私は思いますが、皆様はどう思われるでしょうか。


 日本においては、EU離脱で不安定化したポンドやユーロに対して急速な円高が進みます。