前のブログでは消費増税延期は既に既定路線であり、あとはどのように延期すべきかが問われるという事で、増税延期に関する3つのシナリオがあると書きました。


 ①ベストシナリオ:5%に戻す消費減税

 ②次善の策:無期限の増税延期表明

 ③最悪手:1年限りの増税延期


 現実としては、②と③の間に当たる、安倍総理は自分の総裁任期中の2年半の延期の考えをリークしたという事であります。

 つまり、自分の任期中はやらないという事です。


 改めて、マスコミの報道ぶりを見ますと、まず、麻生副総理、谷垣幹事長が「増税延期するなら国民の信を問うべき」と述べた事を受けて、政権内部からも批判というような報道が出ております。


 「増税するなら衆議院解散しろ」という事が増税反対を表面化したという解釈になるのか、ちょっと私には理解できません。

 安倍総理周辺の台本のある芝居という可能性は考慮しないのかと不思議です。普段はある事ない事言うのに。


 大前提として、内閣支持率、政党支持率を見ても、自民党が有利な状況があります。

 また、最新の世論調査で66%が消費税反対という圧倒的な世論(しかも若者になるほど反対が多くなる)もあります。

 

 そもそも、そういう中で、消費増税延期を掲げて、衆参同時選挙をした所で、自民党が負けるのかという問題があります。

 自民党が勝つのなら、衆院解散も政権や党へのダメージにはなりません。



 何せ、野党第一党の民進党は「予定どおり増税しろ」⇒「この状況では増税延期もやむなし」と発言がブレてきました。

 その上で、「消費増税延期はアベノミクスの失敗」などとよくわからない事を言っています。

 

 このブログでは消費増税は本来のアベノミクス(金融・財政一体政策)の真逆の政策だと言ってきました。財政出動で国民の所得を増やすどころか、増税で国民所得を奪うからです。

 

 民進党は、自分達も含めた、自公民3党で決めた消費増税が経済の足を引っ張ったのが明らかであるのに、消費税による経済への悪影響を無視して、アベノミクスに責任を転嫁しているのです。


 もちろん、消費増税をして、本来のアベノミクスを実施しなかった安倍政権に大きな問題はありますが、一方で対案も無く、リベラル政党を自称しながら、リベラルな経済政策である金融・財政一体政策を批判し、増税を推進してきたのに、最近になり変節した民進党の方が信用できないと多くの人が思うのではないでしょうか


 民進党がアベノミクスが本来やるべきであった事をしっかりと実施して、間違えであった消費税を5%に戻すと公約するなら、私は民進党を支援します。

 しかし、現実にはこういう対案を出し、本質的な政策論争を民進党が行うようになるとは思えません。

 

 野党第一党がこの体たらくでは自民党が勝つでしょう。

 本来なら、与野党の勢力が均衡し、緊張感があるというのが望ましいのですが。


 金融・財政一体政策をしっかりと実施し、消費税5%に戻し、安全保障などは現実路線という政党があれば良いのにと個人的には思います


 

 余談が長くなりすぎましたが、私は麻生、谷垣両氏の発言は安倍総理に解散する大義名分を与える言動ではないのかと思います。

 総理周辺から解散せずに増税延期を提案したという報道もあり、この報道が正しいとすれば私の説は間違いという事になります。


 いずれにしろ、以前からこのブログでは増税延期して衆参同時選挙には賛成だと言ってきました。

 後は増税延期して、どうやって経済を立て直すのかが問題です。

 

 安倍首相はサミットで「リーマンショック前の状況に戻りつつある」と言ったそうです。

 

 本来のアベノミクスを1年だけやって、消費増税で振り出しに戻るという、つい最近やってしまった過ちをもう一度繰り返さないように、安倍首相にはしっかりやっていただきたいと思います