以下引用
税率10%への消費増税を、予定通り2017年4月に実施するのか、先送りするのか。
安倍首相がいつ、どう判断するかに関心が集まっている。
増税はもともと15年10月の予定だったが、首相は一昨年秋、先送りを決めた。その際の記者会見で、リーマン・ショック級の混乱や東日本大震災並みの災害に見舞われた場合を除き、「(増税を)再び延期することはないと断言する」と語った。
この判断基準について、首相は基本的に変えていない。経済指標を見れば、現状が「リーマン級」「大震災並み」と言えないのは明らかである。
過去最高を更新してきた企業収益に陰りが見え、熊本地震も起きたが、長期的な視点に立って消費増税は予定通り実施するべきだ。
(中略)
■再分配政策の大切さ
近く発表される1~3月期の経済成長率はゼロ近辺にとどまるとの予測が多い。海外経済の不安や円高基調を背景に、長く好調だった企業収益は減益に転じそうだ。
今後のカギを握るのは、国内総生産(GDP)の6割を占める個人消費の動向だろう。
企業全体の利益水準はなお高く、蓄えはたっぷりある。法人減税で企業を後押ししてきた政策を改め、家計の所得につなげる仕掛けを考える。一部の金持ちだけが潤っても経済成長はおぼつかないから、貧富の差をならす。そうした再分配を強化するには、所得税や相続税を含む税制全体の見直しが必要だ。
老後や子育てに不安が強ければ、財布のひもを緩める気にはなるまい。税制とともに再分配を担う社会保障 のほころびを繕う作業も続けねばならない。
(中略)
■長期の視点で判断を
安倍首相は、14年4月の8%への消費増税が予想以上に消費に影響を与えたと懸念する。消費がさえない原因はしっかり分析する必要があるが、自らが一翼を担った可能性についても省みるべきだ。
第2次政権発足直後の12年度末に成立させた大型補正予算は13年度に順次執行され、増税を控えた駆け込み需要とあいまって景気を押し上げた。それが増税後の落ち込みを深く、長くしたという専門家は少なくない。
首相に求められるのは、将来を見すえ、社会や経済の構造を変えていく政策判断である。目先の選挙を意識し、有権者の歓心を買おうとするかのような対応は、政策をゆがめ、国民にツケを残すだけだ。
以上引用終わり
都合の良い時だけ世論を利用する朝日新聞社ですが、この場合、7割以上の国民が反対している消費増税反対の世論はどう解釈しているのでしょうか。
そもそも1997年の消費増税後の失われた20年こそ後の世代への重大なツケだとこのブログでも何回も指摘してきました。
朝日新聞こそ将来を見据えてはいかがでしょうか。
結局、メディアって国民から選ばれた訳でも無いのに、記者クラブなどの特権を振りかざして、頭悪い論で国民を騙して民意を動かし、それが間違っていても誰一人責任を取らない。
これで民間企業や政治家を批判できるのか。
そもそも、自分が絶対正しいと信じて疑わない。
情報をもらえる財務省にはしっぽを振って、財務省に逆らうような事は書かない。
これのどこがジャーナリスト宣言だと呆れます。
また、格差拡大の部分だけでは、リベラルっぽい事を書いているじゃないかと思われるかも知れません。
私も消費増税しつつ法人減税はおかしいと指摘してきました。累進課税の強化も考えた方が良いかも知れません。
しかし、ここがこの記事一番の突っ込みどころです。
格差縮小を目指すなら、なぜ真逆の消費増税をしなければならないのか。全く矛盾した話です。
皆様ご存知のとおり、消費税は金持ちも貧乏人も一律の税率であり、逆進性がある税です。
増税されても金持ちはそんなに負担は増えないかもしれませんが、貧乏な人には負担が重くかかってきます。
貧乏人は手元の所得が大きく減る一方で、金持ちは所得全体の比率から見ると少しだけ所得が減る訳で、これが格差拡大政策でなくて何なのだと思います。
結局のところ、朝日新聞にとっては、格差拡大よりも財務省の言う緊縮財政の方がプライオリティが高いという事だと私は理解しました。
朝日新聞は完全に経済右翼新聞だなと改めて認識した社説でした。