本日、16時半からラジオ関西の「時間です!古田編集長」に出演してまいりました。

 その感想を記事にしたいと思います。


 私は同番組はもう5回目の出演となります。

 飲酒運転の死傷事件のニュースは一過性で大きく取り上げられる事はありますが、しばらくすると関心が薄れてしまうものです。後程説明しますが、世論の注目というものは飲酒運転による死亡事件などにとって非常に重要だと私は考えています。

  

 私は毎年、度々出演させていただいていますが、この番組のように飲酒運転の犯罪被害者の生の声を伝えてくれているメディアというのは他には無く、犯罪被害者の一人として、非常に感謝しております。


 今日はスタジオで私と一緒に尼崎市の3人が亡くなった飲酒運転の犯罪被害者遺族の岩田瞳さんと、そのお孫さんのこころさん、ももかさんと出演させていただきました。

 岩田さんの事件は危険運転の判決では非常に重い懲役23年の判決が出た事件でした。

 こころさんは当時4歳で街頭での署名活動をしてから、おばあちゃんと一緒に飲酒運転根絶の活動を続けています。

 

 岩田さんの事件では、犯人に親戚が酒を提供した上での事件でした。その当時、危険運転のほう助の罪がまだできておらず、岩田さんは民事裁判で犯人の親戚と争い、裁判では相手が一定の責任を認め和解が成立しております。

 危険運転のほう助を民事で一定認めさせたのはこれまでに例の無い前進でありました。




 また、電話での出演で、千葉の井上保孝さんも出演されました。

 井上さんは飲酒運転の大型トラックの事故でご本人が大けがをされただけでなく、1歳と3歳の2人の娘さんを亡くされましたが、当時、危険運転はまだなく、犯人はたったの懲役4年の判決となりました。

 井上さん達のご尽力によって、私の被害事件でも適用された危険運転致死傷罪が新設されました、被害者の1人として非常に感謝しています。

 

 番組では主に未だに無くならない飲酒運転の犯罪被害に対する被害者の思いを訴えました。


 最近でも、5月に大阪アメリカ村での2人死傷事件、6月に北海道砂川市での一家5人死傷飲酒ひき逃げ事件(4人死亡)など重大事件が頻発しています


 まず、古田さんからまだまだ事件が無くならない事について聞かれました。

 私も毎年1回命日の近くには亡くなった友人の実家を訪ねますが、友人のお母さんは5年の年月が過ぎても昨日の事にように思え、あの時こうしておけば良かったと、自分を責める気持ちもあるとおっしゃっている事をお話しました。


 岩田さんは危険運転のほう助について裁判で闘ってこられたご自身の経験から、飲酒運転の周りの人の責任について言及されました。

 

 こころさんも飲酒ひき逃げのニュースが無くならない事に「人が亡くなるのがイヤ」と答えていました。


 次に、私の事件について聞かれ、私の事件では飲酒ひき逃げをした犯人がたまたま現場に戻ってきたから危険運転になりましたが、もし現場に帰って来なかったらアルコールの証拠が無く、危険運転にならなかった可能性が高い事を述べました。

 飲酒ひき逃げの逃げ得が私の事件の場合、たまたま無かっただけの事で、危険運転には未だに非常に高いハードルがあります


 アメリカ村の事件では一審で加害者女性の訴える「アクセルとブレーキを間違えた」との訴えがそのまま通り、たったの禁固2年または100万円以下の罰金という判決となりました。

 判決後、再審に向けて遺族は現在、署名活動を一生懸命されています。


 一方で、小樽市の4人死傷(3人死亡)の飲酒ひき逃げ事件では最近懲役22年の重い判決が出ました。小樽市の事件では結果的に懲役22年もの判決が出ましたが、当初検察は過失致死で立件していました。

 それが署名活動によって危険運転に訴因変更され、結果として重い判決となりました。

 3人殺しておいて、当初は最高7年の刑でしか無かった訳です。


 遺族が署名活動するか、メディアが大々的に取り上げなければ、危険運転にはならない。これが未だに飲酒運転の犯罪被害の現実なのです。


 私はこういった事実を是非皆様に知っていただき、広めていただきたいと思います。


 番組の内容に戻りますと、井上さんの事件では幼い子供2人が亡くなってたったの4年でした。

 ひき逃げにより、助かったかも知れない命を放置して、それが逆に刑罰が軽くなる逃げ得の状態であった事に許しがたい思いをおっしゃっていました。

 現在では逃げ得に対して、アルコール影響等発覚免脱罪という刑罰が新設されました。

 

 私から井上さんに、「危険運転のはハードルが高く、飲酒運転をしておきながら、過失の罪になってしまう事についてどう思うか」と質問しました。


 井上さんからは、「お酒を飲んで車を運転する事自体が過失ではないんだ。故意犯なんだ。危険運転になるような犯罪が逃げる事によって軽い「過失の罪」になる。こういう例が全国にある事を知って、だから私たちは全国で署名活動を展開している」とご説明いただきました。



 最後に、私は井上さんの意見を受けて、「飲酒運転の犯罪被害というのは自分の意思でお酒を飲んだ上で起こしたもので、被害者にとっては殺人と同じ。殺されたという意識は全ての被害者が持っていると思う。そういった気持ちを、お酒を飲むとき絶対に運転しないという事で皆さんにも考えていただきたい」と申し上げました。


 私の意見が少しでも飲酒運転の犯罪被害を無くす事に繋がればと祈る思いです。