本日、神戸連続児童殺傷事件の加害者の手記が出版されたというニュースを見て非常に憤っております。
当時、隣の神戸市で、同じ年代の少年(当時:酒鬼薔薇聖斗と名乗る)があのような残虐な事件を起こし、また、同じ年代の少年が被害者となったという事で、私も非常に大きな衝撃を受けました。
その後、自分自身が友人と一緒に(友人は亡くなりました)犯罪被害者となって、被害者少年のお父さん土師守さんが、犯罪被害者の支援活動をされている事を知りました。
土師さんは、ご自身の辛い経験から、いつ誰がそうなってもおかしくない、犯罪被害者に対する社会的な支援を呼びかけられており、また、少年法改正など、その活動によって、実際に社会を動かしてこられた方でもあります。
非常に尊い活動をしていらっしゃるとかねてから尊敬しておりました。
つい、先日も神戸新聞で被害者支援制度の拡充を求める手記 が発表されたばかりでありました。
土師さんは前々から、加害者の元少年に対して、手記のような物は出さないようにと注意していたという事です。
それにも関わらず、それを知った上で、あえて元少年は手記を発表しました。
それに対する、土師さんのコメントは以下のとおりです。
「彼に大事な子どもの命を奪われた遺族としては、以前から、彼がメディアに出すようなことはしてほしくないと伝えていましたが、私たちの思いは完全に無視されてしまいました。なぜ、このようにさらに私たちを苦しめることをしようとするのか、全く理解できません。
先月、送られてきた彼からの手紙を読んで、彼なりに分析した結果をつづってもらえたことで、
私たちとしては、これ以上はもういいのではないかと考えていました。
しかし、今回の手記出版は、そのような私たちの思いを踏みにじるものでした。結局、文字だけの 謝罪であり、遺族に対して悪いことをしたという気持ちがないことが、今回の件でよく理解できました。 もし、少しでも遺族に対して悪いことをしたという気持ちがあるのなら、今すぐに、出版を中止し本を回収してほしいと思っています。」
土師さんのお気持ちは当然だと私は思います。
ニュースを見ると、少年は本の中で、出版する事が被害者遺族を苦しめる事はわかっていたが、書かずにはいられなかったという旨の事を書いていました。
どういう意図があったか私も理解できませんが、被害者の思いをふみにじる行動だと思います。 結局のところ、全く反省などしていないのだと思います。
巻末では「被害者のご家族の皆様へ」と題し、「どれほど大切なかけがえのない存在を、皆様から奪ってしまったのかを、思い知るようになりました」と書いてますが、言行不一致で全く信じられません。
また、新聞によると 「現実社会の厳しさに直面しつつ、周囲の人々の支えによって罪と向き合う姿がつづられている」のだそうです。
なりふり構わず、一生懸命働くなかで、「生きる事のすばらしさ」がわかったと言います。
そして、これまでの間、ずっと事件の事を考え続け、自分の思いを語りたい、それが自己救済の唯一の道だと思い手記を書いたのだそうです。
少年法に守られ、自分が罪を犯した事も社会には知られてもいないくせに、自分は身元を隠して一生懸命働くうちに改心したんだ。自分の罪と向き合い、自分が楽になるために本を書きましたと言われても何の共感も湧きません。本当に許しがたいと思います。
また、加害者だけでなく、こういった事で金儲けしようとする、出版社のモラルも疑います。
出版社は「少年犯罪について本人の心境を当事者が語るケースは皆無に近い。全体を読んで事件について考えるきっかけになれば」などともっともらしい事を言った上で、
「男性が書いた手記を見て、事件前後の彼の心境について、社会がもっと知るべきだと思ったので出版を決めた。本は本人の手紙を添えて遺族に届けたい」 と、遺族を馬鹿にしたような事を言っております。
犯罪被害者はこのように何回も傷つけられる事になるのです。
本当に腹立たしい気持ちです。
良心があるならば、早く本を回収してほしいと思います。