昨日、子ども子育て支援新制度の実施について、「増税延期によって先送り」という朝日新聞の報道が、下村文科相に明確に否定された ことを紹介しましたが、そもそも、子ども子育て支援新制度とはどのようなものか、財源はどうなっているのかについてお知らせしたいと思います。



 まず新制度について、ポイントをお知らせします。


○ 自公民3党合意を踏まえ、子ども子育て関連3法が成立(平成24年8月)し、幼児教育・保育・地域の子ども子育て支援を総合的に推進。


消費税の引き上げにより確保する0.7兆円程度を含め、追加の恒久財源を確保し、すべての子ども・子育て家庭を対象に、幼児教育、保育、地域の子ども・子育て支援の質・量の拡充を図る。


新制度は平成27年4月の本格施行を予定。市町村が、地方版子ども・子育て会議の意見を聴きながら、子ども・子育て支援事業計画を策定し、実施。



 さて、新制度ではH27~29年度の間に40万人の保育の受け皿を確保する事(量的拡充)を柱として、職員配置基準の改善等(質的拡充)にも取り組むとされております。


 制度に要する費用としては総額1兆円超と見込まれており、その内訳は量的拡充に0.4兆円質的拡充には0.3~0.6兆円と幅を持たせております。


 新制度の財源としては、消費税が0.7兆円その他0.3兆円超の追加の恒久財源が確保できた場合に、1兆円超の範囲で実施するという事であり、消費税分の0.7兆円は確保できるとして、0.3兆円分は中々確保の目途が立っていないというのが、増税延期前の状況でした。



 0.7兆円で確実に実施するものとしては、以下のものがあります。詳細はこちら をご覧ください。


<量的拡充>(0.4兆円)

 ◎認定こども園、幼稚園、保育所、地域型保育の量的拡充(40万人)

 ◎地域子ども・子育て支援事業の量的拡充(一時保育と、三木市でいう所の子育てキャラバン、放課後アフタースクール等)

 ◎社会的養護の拡充(保護者のない児童や、保護者に監護させることが適当でない児童の養護

<質的拡充>(0.3兆円~0.6兆円超)

◎3歳児の職員配置を改善(20:1→15:1)

◎小規模保育の体制強化
◎減価償却費、賃借料等への対応
◎児童養護施設等の職員配置基準の改善

その他、私立幼稚園・保育所等・認定こども園の職員給与の改善などは一部実施し、追加財源の0.3兆が確保できたら全年齢での職員の配置改善を実施するという状況でした。



 今回、消費増税が延期されたという事で、消費税分の0.7兆円すら無くなるのではないかと、心配された訳ですが、以前からお知らせしているように、安倍総理、菅官房長官は「子育て支援新制度は増税を延期しても予定通り」と明言したという事であります。

 

 では、財源はどうなるのかという事であります。

 

 増税先送りにより、単純計算で7000億円のうち、2800億円が不足する見通しのようですが、政府は、増税を先送りする間の財源として、「つなぎ国債」を発行する方向で調整しています。


 つなぎ国債は、償還確実な財源がある場合に発行できる国債です。10%に引き上げられたときの消費税を財源に充てる予定という事です。

 

 このように、消費増税延期でも、「子ども・子育て支援新制度」は予定通り実施する訳でありますが、一方で、医療・介護など他の「社会保障の充実」については実施が遅れる事になります。

 

 三木市の場合は、平成28年度から子ども・子育て支援事業計画に基づく、幼保一体化の実施、保育料の無償化、子ども医療費の無料化を計画しています。
 国の財源0.7兆円が無ければ、保育料の無償化は難しいというのが現状だと思いますが、首相が「予定通り実施」と明言した以上、今の所は影響が無いと私は考えています。


 と、朝日新聞の報道前にはこのような事が政府から説明されていた訳ですが、どういう理由か全くわかりませんが、朝日新聞は11月28日の朝刊1面で、「子ども子育て支援新制度は先送り」という報道を出しました。

 そして、これについては下村文科大臣から完全に否定されたという訳であります。


 政府には、是非とも、予定どおり、最低限の0.7兆円は必ず確保していただきたいと思います。