まだ決定した訳ではありませんが、にわかに衆議院の解散総選挙の動きが活発化しているようです。

 今回の争点は消費増税を延長する事の是非についてのようです。

 と言っても、「消費増税が出来なければアベノミクスは失敗」とご立派に批判していたはずの野党第一党の民主党は増税回避を容認して争点隠しをするようですので、争点になるかはまだわかりませんが。


 一部の左派メディアでは、今は自民党の支持率が高いから解散するので党利党略だ。

 大義の無い解散総選挙だと野党に同調して批判しているようです。

 私は消費増税を延期するのは政局の動き、党利党略そのいずれもあるでしょう。

 しかしながら、そんな事を言えば、自民党よりも支持率が低い野党の実力不足が悪いのです。

 そもそも、民主党政権当時の経済状況はどうだったんでしょうか。

 完全失業率5.1%(現在は4.0%)、超円高、株安、デフレ脱却の出口は全く見えませんでした。

 言いたい事はいくらでもありますが、問題の本質ではありませんのでこの辺りにしておきます。


 話が横に逸れましたが、国政政党と上下関係の無い立場の私や一般の国民の立場から見れば、政局の話はどうでも良い事です。


 今本当に気にすべきは国民経済であります。


 今年4-6月期のGDP成長率は前期比-1.8%、年率換算-7.1%にまで落ち込みました

 何故、このように景気が悪化したのでしょうか?


 これは消費増税の悪影響以外の何物でもありません。


 また、消費増税の反動減と言っていますが、増税からもう半年以上経っても、未だに経済は回復の兆しを見せていません。

 以下に指標を見ていきます。


CPI


 まず消費者物価指数(CPI)ですが、これは日本の場合3種類あり、CPIから生鮮食品を除いたコアCPI、コアCPIからエネルギーを除いたコアコアCPIがあります。

 通常、先進国ではコアコアCPIが指標を判断する際に使われます。

 政権交代後~消費増税前にかけて、CPIとコアCPIは100を超え(インフレ)ましたが、コアコアCPIは超えていませんでした。

 これは原発停止等の日本の電力事情によるものです。

 それが、消費増税後には一気に2ポイント以上増加しています。

 当然ながら、これは、物がたくさん売れるから物価が上がる「良いインフレ」ではなく、消費増税により、自動的に3%値段が上がった事が原因です。

 増税によって、今年は前の年と全く同じ買い物をしても、3%余計にお金を払わなくてはいけないのです。消費増税は景気を冷やす「悪いインフレ」と言えます。


 また、消費増税の影響を除けば、物価はむしろ増税前よりも減っている可能性があります。

 そうであるならば、消費増税はむしろ「デフレ政策」ともいえます。



実質賃金

 次に、実質賃金指数を見ます。実質賃金とは賃金から物価上昇率を差し引いたものです。

 4月に実質賃金も2ポイント以上下落していますが、原因は消費増税です。

 上で述べたように、消費増税によって、使えるお金が減ったという事を表しています。


消費者態度指数

 次に、消費者態度指数を見ると、4月の消費増税を底に、あとは回復していくと思いきや、9月10月には再び大きく落ち込んでいます

 消費増税の影響としては、駆け込み需要と反動減があると言いますが、税率は変えない限り恒久的に8%のままなのです。

 需要に関係なく物価を押し上げる消費税によって、使えるお金が減ってしまった事で、みんながお金を使わなくなったのではないでしょうか。



 以上を踏まえて、私が思うのは、そもそも、消費増税が本当に財政再建につながるのかという事です

 思い起こせば、前回97年の3⇒5%への増税時には、翌98年からデフレ不況が始まり、消費増税で税収は増えるどころか減少してしまいました。

 消費増税をした結果、景気を冷やして、税収を減らしてしまえば、無意味どころか逆効果という事になります。

 財政再建の事を考えれば、消費増税をせずに経済成長を実現して、自然増収によって財政を改善していくべきでした。

 現に昨年度は消費増税をしなくても3兆円以上税収が増えたのです。

 しかしながら、今は、消費増税による景気悪化対策で政府がお金を使って、それでもまだ景気が悪いという状況です。


 そもそも、安倍政権の目指す「デフレ脱却」とは、物がよく売れ、企業の業績や個人の所得が増え、景気が改善する「良いインフレ」を目指す事だったはずです。

 私は日本がこれ以外に経済成長を実現し、財政を健全化する方法は無いと考えます。


 上記で述べたように、消費増税は「悪いインフレ」政策に他ならず、アベノミクスとは真逆の政策です。

 それにも関わらず、「増税ができなければアベノミクスは失敗」などと言うのは完全な言いがかりでしょう。


 この間、増税推進派が「消費増税は国際公約」「増税を延期すれば国債、株価が暴落」などと財務省の御用エコノミストやマスコミが増税延期危険論をまき散らしてきました。


 これは本当でしょうか。アメリカの財務長官からも「消費増税で景気後退するのは大きなリスクと指摘されました。

 また、消費増税の延期が濃厚になってから、先週金曜日には株価は暴落するどころか、今年の最高値を更新しました。

 今や、世界のマーケットは消費増税こそが日本の経済や財政再建のリスクと捉えているのです。

 つまり、増税推進派の言ってきた事は大嘘です。

 新聞などは全紙が8%の消費増税を推進しておきながら、私が前から指摘してきたとおり、非常に景気が悪化しても一切責任を取りません。

 それどころか、増税を主張しておきながら、自分達の新聞だけは軽減税率を求めている有様です。


 そんな無責任なマスコミが、「増税延期を争点にした解散に大義があるのか」などと議論する資格があるのか、私には大いに疑問があるところです。


 その前に、消費増税を煽ってきた自分達の主張を総括して、責任をとって欲しいと思います。